装画・挿画『なぞときワールド』シリーズ(全4巻)-メイキング
なぞなぞ本の装画・挿画を担当いたしました。
なぞを解きながら宝石を集めていく、ゲーム形式になっています。
今回のお仕事は、東京へ持ち込み営業をして編集さんたちと直接お話しさせていただいたのがきっかけでした。営業、大事!
1:ご依頼
ご依頼時点では不確定な部分も多かったので、しばらくは宝石などの資料収集をしつつ待機。
絵柄は、輪郭線を引いてクッキリさせるイメージで…とこちらを参考にお話を進めました↓
2:オンライン通話で打ち合わせ
「1巻の宝石はダイヤモンド&エメラルド」とうかがっていたので
エメラルドモチーフの叩き台と、キャラクターのアイディアスケッチを事前に作って臨みました。
ご依頼時点はどういう装画にするかはまだ固まっておらず
同じ汐文社さんで児童向けミステリーの『三毛猫ホームズ』みたいな雰囲気になるかな〜と想像していたのですが
↓
担当さん・デザイナーさん達だけの事前打ち合わせでは、
私が持ち込みの時にお見せした『病気の魔女と薬の魔女』のイメージからふくらませていたとのことで驚きました。
↓
「Oh…だいぶハードルが上がったな…」
という思いと、
「めちゃくちゃ楽しそう。描きたい!!」
という気持ちが同時に湧きました。
『病気の魔女と薬の魔女』は風景が描いてあるわけではありませんが、空間の広がりを感じさせつつキャラクターの可愛さも見せる…ということを意識すればいいのかなと。
風景をしっかり見せようとすると人物が小さくなる、人物を大きく見せようとすると風景が隠れてしまう(1人ならまだしも2人なので)…バランスが難しいだろうなぁと思いました。
そして今回は横書き・左開きの本なので、右側が表紙になります。
帯は無し。イラストの重心は下寄りに。
また、お話ししながら「どんな宝石を使うか」も決めました。
前半が4c(フルカラー)・後半が1c(1色刷り)なので、後者は、単色でも読めるハッキリしたインクの色で表現できる宝石でなければいけません。
使えるインクは緑、オレンジ(濃い黄色)、濃い青、紫…あたりで、そこから逆算して…それでいてマイナーすぎない宝石で…と決めていきました。
3:ラフスケッチ
なぞなぞ本それ自体には明確なストーリーがないので、
イラストから物語性を感じさせて欲しい、とのことでした。
アイディア出しは大変でしたが、とても自由に描かせていただきました。
4:全巻共通のカットイラストを納品
5:装画を納品
Gibbonさんのデザインでよりきらびやかに。
どのあたりにサブタイトルが入るか〜なども確認しながら進めました。
イラストだけを見せられるスペースが狭いので、構図を決めるのが難しかったです(宝石のキラキラを表現するために明暗差も激しいしな〜)。
楽しくカラフルな冒険活劇!感を出したくて、普段よりも賑やかな演出になりました。
6:扉絵を納品
各巻でモチーフになっている宝石の説明をしつつこれから冒険に行くぞ!と盛り上げるページを制作。
最初に作ったエメラルドの叩き台に「むしろ扉絵をこういうイメージで描いてください」と言われたので、「でっかい宝石&両サイドにキャラクター」の構図でまとめていきます。
事前に各ページのフォーマットをいただき、
文字の入るスペースとの兼ね合いを考えながら制作しました。
明確に「⚪︎mm × ⚪︎mm」とサイズ指定されていたわけではなく、こういうレイアウトならこれくらいかな〜と私の匙加減でやらせてもらいました。
完成版はGibbonさんデザインで後光のようなエフェクトが入って、より華やかな印象です。
後半は1c(1色刷り)で、1巻はこんなかんじ。
Gibbonさんの鉱石標本っぽいデザインがとても好みです。
エメラルドの緑、
アンバーのオレンジ、
スタールビーの青、
アメシストの紫…と、各宝石を表したカラーリングになっています。
納品はグレースケールなので、見本をいただいて「こんな色になるのか〜」と感慨深く。
6:カットイラストを納品
いっぱい描きました!
「しっかり描き込んだ1枚絵」と「小さなカットたくさん」を両方こなすのは今回が初めて。
装画や扉絵と、1〜2cm角のカットの雰囲気を合わせるのは難しいですね。
ご依頼を受けた時は装画などの作画コストがもっと低い想定だったので、あとからスケジュールや点数を調整していただきました。ほんとはもっともっとイラスト盛りだくさん!にできたらこども達に喜んでもらえたのかな〜と思いつつ、この時できる最大限でがんばりました。
楽しんでいただけると幸いです。
よろしくです〜
サポートしていただいた売り上げはイラストレーターとしての活動資金や、ちょっとおいしいごはんを食べたり映画を見たり、何かしら創作活動の糧とさせていただきます。いつも本当にありがとうございます!!