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固定概念が崩れまくったペルー、ニッケイ料理の会、備忘録。

あまりに衝撃的だった。
まさにカルチャーショック。脳味噌で理解できないのにずっと美味しい幸せな時間だった~

日本のペルー料理店 bepocah×ペルーのニッケイ料理店 SHIZEN
のコラボイベント。
とある友人のペルー料理ガチ勢に誘って貰ったので行けたのだが、、、すっごかった。

・そもそもペルー料理とは。

まぁまずペルー料理とは??ってとこですよね。

ペルーは南米の長細い大国、かのインカ帝国の中心です。
インカ帝国はジャガイモやトウモロコシ、唐辛子の原産国である上に
海沿いの砂漠、アンデス山脈、アマゾン川の流域で食文化が違う。
ほんで縦に長いので北と南でもかなり違う。

それだけでも面白い食文化なのに歴史的にも凄い。
スペイン、アフリカ、中国、日本、フランス、イタリアなどの移民が多くそれらの食文化が混ざり合ってまさにカオス。

ただ何の巡り合わせかどの国も食文化の面白い所なんです!!

荒井商店で食べたセビーチェ

食材の宝庫インカ帝国の食材を使って各国の料理を作り上げ、更には混ざり合っていく。
その面白さがたまらないんです。

代表的な料理で言うとセビーチェ、アレは和食の刺身がベース。
だけどイタリアンのカルパッチョ的要素もはいってるし、ペルーの唐辛子やライム、パクチーなどなどを使う。

荒井商店で食べたロモサルタード、ジャンク。

あと面白いのだと、ロモサルタードという料理。
牛肉と野菜とフライドポテトを中華醤油で炒めてインディカ米と食べる料理。
ペルー、スペイン、中華などがミックスされてて、味付けにバルサミコやペルーの唐辛子アヒアマリージョ、ニンニク、オレガノなどを使う。
もうカオス。でもウマいんだ~~

・そもそもニッケイ料理とは

で、ニッケイ料理について話そう。
日本からの移民がペルーにある食材で作り独自に発展させた和食だ。

代表はセビーチェだろうか。
けど、かなり色々ある。
タロイモで餅を作ったり、向こうの食材で寿司にしたり、ワサビの代わりに唐辛子を使ったり、ライムでポン酢にしたり、本当に面白い。

ペルー食材で和食を作るんじゃなくて、更にペルーに合わせて進化しているから面白い。
よく考えるとその料理の原型がわかるし、これをここに置き換えたのか!?と察しもつく。
そして和食では禁忌というか、考えもしないような作り方や組み合わせなのも面白さのひとつだ。

・とにもかくにも紹介します。

料理は15000円のコースで、ドリンクは別。
ドリンクも面白かった~

ちょっと癖のあるペルービール、ペルーのブドウ蒸留酒ピスコのカクテル、ペルーワイン、美味しかったなぁ~
料理にめっちゃ合う。

ペルーのワインってあんま飲む機会なかったけど、チリと近いんだもんね~
好きになった。

料理はこんな感じ。
(S)と書いてあるのがSHIZENで、(B)と書いてあるのがbepocah

ホタテのティラディート(S)

手前。
辛くて酸っぱくて尖りに尖ったソースで一口目で目が覚める。
その強烈なソースの中でホタテの甘さが際立つ、芋?もろこし?のチュイールの優しい甘さも良い。

真蛸と紫オリーブソース(B)

左上。
旨味の濃いタコに紫オリーブ、ディル。
これも旨味爆弾。組み合わせ的にはスペインのピンチョスっぽい。
鮮やかすぎる紫ウマいわ~

アヒアマリジョ唐辛子のチキアギと紅芋(B)

右上。
こちらはもっと濃い紫。
紅芋の甘塩っぱいペーストに沖縄のさつま揚げが乗っている。
ニッケイの源流を辿ると沖縄料理の影響が大きいのでその文化を感じる。
さつま揚げに唐辛子が練り込まれてるのすっごいペルー。

クリスタルはドライで美味しいビール、夏に飲みたい系。

インカのめざめ、ほうれん草と柚子のカウサ、京人参、牡丹海老(B)

ペルー料理定番中の定番、カウサ!!
ざっくり言うとポテサラなんですが、日本のポテサラとは全然違う。

滑らかなポテトペーストに様々な物を混ぜ、綺麗に整え重ね、彩りも味も豊富に仕立てあげるのだ。
紫の芋を使ったり、黄色の唐辛子を混ぜたり、派手というか色がハッキリしている。

写真が上手く撮れなかったので申し訳ないが、この日はほうれん草で緑の芋ペースト。
そこに柚子と京人参の薄いゼリーを重ね2層になっている。
爽やかな柚子の酸味と人参の甘味と癖、芋のぽってりした甘味が合う~

更には牡丹海老!!
マヨネーズのようなソースと言っていたがマヨとは別物、なんだろうかマッタリだけどサッパリ、ヨーグルトっぽい酸味もある。
細かく刻まれたキュウリが絶妙に(本当に最高な具合で)良いアクセント。
インド料理のライタっぽいな。

一皿での香りの移り変わりが面白いわ~

真牡蠣、アヒアマリジョ唐辛子、キーライム、オリーブオイル(S)

牡蠣をペルー風に食うとこうなるのかな?
近いとこだとタバスコなんかに近いのかな、酸っぱ辛い感じ。

ちなみにアヒアマリジョは淡い辛味で強い旨味の唐辛子で、ペルー料理に欠かせない唐辛子のひとつ。
色は黄色。唐辛子って辛味で気づきにくいけど旨味もすっごいんだよね~

で、この料理はなんというかペルーのを凄い感じた。
唐辛子、ライム、オイル、生の魚介。
どれもここらで、更に少しのパクチー、紫タマネギ、どれもペルーらしい。

ひとくちでと言われて従ったの大正解。
しばらく誰もがモグモグしながらニヤニヤしてた。

ゆずピスコサワー

しっかり濃いカクテルなんだけど、柚子の爽やかさでゴクゴクいけて危なかった~
ライムを使った料理に合いました!!

本マグロ中トロのニッケイセビチェ、胡瓜、大根、茗荷、ロコト唐辛子、醤油、キーライム(B)

きましたセビチェ!
しかしセビチェでは珍しいマグロ。

定番は白身魚なんで本当に珍しい。
けどコレはコレでいい。なんつーか漬けっぽいし、黄身醤油っぽい。

ソースは醤油とライムでポン酢っぽい酸味、ロコトの強烈な辛味。まったり濃厚。
でね!!この料理のすごいのは海苔なんです!!
磯の香りがめちゃいい仕事~

大根と胡瓜も漬物っぽくていいし、ミョウガもいい香り。
ニッケイってこうなんだなぁ~

本マグロ赤身、ホタテ、イサキ、蛸、ホタルイカ、いくらとトビコのちらし、サツマイモのかき揚げ(S)

1番わけわからないけど1番美味かった料理。
ちらし寿司とは??ってなった。

酢飯に魚介がちらしてあるのはそうだけど、周りのソースは唐辛子だし、かき揚げ添えてあるし、魚介に混じってトウモロコシはいってるし、常識とか固定観念は消えましたね。

肝心な味もさ、めっちゃ美味いんだよ~
すごいんよ~~


旨味の強い唐辛子のソースを食べて気づいたのが
唐辛子は醤油ってこと。
何言ってるのか分からんけどそうなんです。
唐辛子の旨味や香りは醤油と被りまくるんだ。きっと。

そう考えるとこの構成も納得。
醤油、それもまったり黄身醤油っぽいタレを周りにかけるならチラシ寿司やわ~

この沖縄っぽいお皿、欲しい!!

でね、もうひとつの問題、かき揚げですよ。
カリッカリサクサクのサツマイモのかき揚げがチラシ寿司に乗ってるの普通に難解。

でも食べると美味いんです。
歯応えの面白さもだけど、後味の甘さが絶妙。

ほんで食べて食うちに思った。
コレは天丼なのかもしれない!!

そうなると全て繋がる。
天丼に七味をかける感じで唐辛子か、トウモロコシごはんの要素もあるんやな、更に海鮮丼の要素まで!!
美味しいごはん物をひと皿にって事なんかな~~~

金目鯛の刺身、ペルー産醤油、ライム、アヒリモ唐辛子(B)

元祖ニッケイ刺身らしい。
ワサビがないペルーで代用に使ったのがアヒリモという唐辛子。
超強烈でビリビリした辛味ですっごい。

ペルーの醤油はどんなもんだろうと味見をしたが、しっかり美味い、少し甘いかな~くらい。
そこにアヒリモ。一気に強烈になる。

金目鯛の濃い旨味にこの醤油と唐辛子が合いまくり!!
金目は酒粕と合わせるのが好きだったがこれもすっごい。

赤身のカレティジェロ、ヒラメのカライ(S)

カレティジェロってのは屋台という意味らしい。
ニンニクやハーブたっぷりでジャンキー、フライドチキンとかにも合いそう。
それがマグロってのも面白いんよ、カツオのたたきにニンニクと薬味たっぷりみたいだ。

ヒラメのコリッとした歯応えと旨味に唐辛子のピリ辛ソース、横についてるのはサツマイモのチュイール。
パリッとした歯応えも最高なんだけど、ヒラメを噛むほどに旨味がでてきてそれと同時にサツマイモの甘味が後追いしてくる。おもしれえ~~

写真はないけど、ペルーの白ワインがめっちゃ相性良かった。
重ための白でさ、今度からはペルーワインに注目したい。

中トロのニンニク、本マスのバター味噌(S)

寿司後編はコッテリ系。
先の二品は寿司の範囲内だったがこの二品は俺の知らない寿司だった。

サーモンマヨ寿司は邪道!みたいな考えがあった。
けど気づいた、完成度が高ければ納得するんだってね。

中トロ、ニンニクマヨ、真ん中のソースは醤油だったかな?
それだけでも充分に美味い。
サーモンマヨを基準に考えるのも変かもだけど、サーモンより鉄っぽくて重たいマグロにニンニクの強さが合う。

そんで中トロと言えばワサビ醤油という決まりというか、常識というか、それを変える勇気に感服。

ただ!ここまでは寿司の範囲内。
訳分からないのはこの上に乗ってる茶色いブツ!!

そう!せんべい!!煎餅だ!!!!

寿司シャリにお焦げをいれるのは御法度。そりゃそう。食感も香りも味の面でもNG。当たり前。
煎餅ってのは米を焼いた物で、ようはお焦げなんですよ。

どんな発想??
けどそれがめちゃめちゃ良い仕事してて驚愕。
食感の面白さもだけど、口溶けの良いマグロとシャリの後から追いかけてくる煎餅特有の米の香ばしさと甘さ。

改めて寿司は米を食べる料理だなと実感。すげえ。

本マスのバター味噌

あえてこっちにマヨを使わないの好き。
マスはサーモンと違って川魚っぽいというか香りが良い。

同席してた友人が味噌バターとマスってのはちゃんちゃん焼きだね~と言っててハッとした。寿司に昇華するのすごい。
ほんでこっちにもカリッとしたものが、これはキヌアの揚げたので煎餅っぽいけどちょっと違う。
面白いなぁ~

寿司を味噌で食べるってあんまやらないけどこういうやり方は素敵だ。感服。

蒸した真鯛 昆布とアヒパンカ唐辛子とアヒアマリジョ唐辛子の出汁(B)

お茶漬けというかおじやというか。
その場で南部鉄器っぽいので出汁をかけてくれる。

最初に食べたら驚くだろうけど、ここまでコースを食べた結果なんだか安心するというかホッとする味。
日本とペルーの合作。

もうわかる、唐辛子は醤油だ!

赤ワインにしてたんだけど、鯛との相性は不安だった。
けども唐辛子の辛味と濃い旨味と合う。合います。
良い料理。

焼き讃岐うどん ヒレ肉 ウチュクタソース(S)

正直メニューだけを見たところ1番の不安がコレだった。
讃岐うどんを焼く?それにヒレ肉?ウチュクタソースとは??
みたいな感じ。

予想通り予想外の見た目。
和え麺に近いですね。味の系統で言うとすき焼きや明太バターとかそういうコッテリ感。

まぁもう分かると思いますがソースの色は唐辛子です。
と言ってもそんな辛くなく旨味の強いのだ。
ちなみにアンデスの言葉でウチュクは唐辛子、タはソース。

肉はしっかり焼かれててけっこう硬く歯応えと旨味が強い。
噛み締める美味しさ、日本では貴重。
ソースとの相性が抜群、このソース欲しい。。。

ユカもち びわのソルベ、ルクマとミルクの寒天、黒糖、いよかんのソース(B)

甘味です。盛り合わせ。
右からユカもち、ソルベ、寒天です。
日本とペルーの田舎が盛り込まれてるみたい。

ニッケイ人がペルーに渡り、正月に餅を食べたい。という欲から生まれたユカもち。
主原料はキャッサバ!

まぁ同じ炭水化物だからってのは分かるが、日本人の食への探究心の強さに改めて感服する。
食感はモチ?すあま?って感じ。
甘さがしっかりついてて、上面が軽く焦げててキャラメルっぽい感じで、ブリュレっぽいな~とも思った。好き!!

ソルベはびわ、日本らしく。
いよかんのソースは甘酸っぱくてほろ苦くて香り高くていい感じ。

寒天はルクマというフルーツで、ペルーではかなりポピュラー。
ケーキとパンナコッタは食べたことがあったのだけど寒天は初めて。
甘味の強いフルーツで、びわや柿、バナナ、パパイヤなんかに近いかな。
黒糖のクランチのミネラル感というか雑味との相性が素晴らしかった。
甘さとコク深さがたまらない~


写真はないのだけど、最後にいただいたコーヒーもめっちゃ美味しかった。
けっこう飲んだのだけど、しっかり苦くて酸っぱいコーヒーで目が冴える。

・異世界の和食みたいだ。

長くなった。
もっと細かく記録してたら色々書けたのだろうけど、目の前の食事を楽しむことを優先したからこれくらいで。

ニッケイ料理おもしろい。
”異世界転生和食”みたいな?
板前が異世界に転生して、その地の食材でその地の人に合わせつつ和食を作る!!
みたいな?勝手にそんなロマンを感じました。


ペルー料理ってのも面白いのだけど、ニッケイ料理はまた別の面白さ。
日本の料理を知ってるからこそ分かる面白さって言うのかな、唐辛子の旨味を出汁として使ってたり、醤油的な使い方になってたりさ。

あとはなんと言っても自由な発想。
チラシ寿司にサツマイモのかき揚げ、寿司に煎餅、寿司にジャンクなソース、うどんに唐辛子のタレ、
みたいなさ、創作和食と一括りにされるかもしれないけど違う。
個人がアレンジしただけじゃなくて文化として作り込まれている、洋食とか日本のラーメンとかああいう類いかなぁ。


本当に面白い料理だ、文化だ。
日本でニッケイ料理を食べれる場所はほとんど無いけどタイミングがあったら食べて欲しい。
ペルー料理も食べてみて欲しい。


おしまい。



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