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小説

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こちら時空管理局。何らかの影響によりこのアカウント内に小説が発生してしまった。パルス誘導システムを使用して、マガジンに閉じ込めておいた。もし興味があったら見ておいてくれ。以上
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2023年7月の記事一覧

恥ずかしいとき

恥ずかしいとき

おれのコンビニの向かいに、新しくコンビニが建った。おれの店と瓜二つだ。なのに挨拶の一つもない。腹が立ったおれは、向かいのコンビニに怒鳴り込んだ。
「おい、いい度胸しているじゃないか。店長を出せ」
しかし、店内には誰もいない。腹いせに店先に小便でも撒いてやろうと、下半身を露出させていると、向かいの店先ではすでに下半身を露出しているおれがいた。
おれがびっくりしてちびりそうになると、向かいのおれは大量

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変化あり

変化あり

 有名なSNSのアイコンが青い鳥からXに変わったらしい。一度もSNSをつかったことがないおれには全く関係がないのでその日はもう寝ることにした。
 翌朝は気持ちのいい朝だった。
 家の前にある電線にとまった鳥が、チュンチュンと鳴いている。もしやこの鳥がXになっているのでは、と思ったかもしれないがそんなことはない。鳥は気が済むまでチュンチュン鳴くとどこかに飛んでった。
 しかしあまりにも気持ちのいい朝

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神社の縁日

神社の縁日

 この話は、おれが地元に帰るたびに友人のYから聞かされる話だ。以下はYが語っていると思ってほしい。
 ───その年の夏は、例年に比べると蒸し暑かったような気がするが、もしかしたらそれは、気の所為だったかもしれないし、本当に蒸し暑かったのかもしれない。
 夏休み最初の週末、私は祖父と一緒に近所の神社に向かっていた。日没がもうわずかという時間、毎年恒例の縁日へと向かう私の足取りは軽やかだった。家を出る

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