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今週の木刀素振り日記・3

▼2021年5月28日~6月3日の日記


5月28日/激辛グルメの金曜日
◆明星食品のカップ麺「宮崎辛麺50辛」がひねりなしに辛い。唐辛子に特有のすぐに来る辛さ。「買ったときからすでに辛かった」と時系列ががぐちゃぐちゃなことを言いたくなる辛さ。「辛麺屋一輪」の味を再現したもので、50辛は店の最高レベルの辛さ「マグマ」にあたるらしい。
◆と、そのほかの辛さのネ―ミングが気になってサイトへ。そのものずばり「辛さを選ぶ」という項目に6段階の表示があった。
◆低いほうから順に並べると、
 ・0~5
 ・6~10
 ・11~15
 ・16~20
 ・21~25
 ・マグマ
 である。
◆ほとんどがただ数字である中、なんとマグマだけまんまマグマだ。なにもない平坦なアスファルトからいきなりマグマが吹き出すかのように思える。なるほどどうりで辛い。
◆丸一日、木刀素振りせず。

5月29日/決めつけの土曜日
◆この歳(84歳)になって「名探偵コナン」劇場版シリーズをちらちら観ている。やってることは90年代のハリウッドアクションそのもの、つまり爆破と陰謀とアクションだ。つまりそれは『ダイハード』や『スピード』を観ているのと同じことだ。
◆つまり、それらを観て育ったこどもとは、90年代を過ごしたぼくたちそのものなのである。
◆丸一日、木刀素振りせず。

5月30日/すれ違いコメディの日曜日
◆Sさんは最近カフェインに対してアレルギー反応が出るようになってしまい、その日もコーヒーゼリーを食べたところ、数十分後、えづいてしまうような症状が出た。「しんどいね」と声をかけると「もう自分で作るしかないのかな、カフェインレスのやつ。自分で作れんのかな」と言う。そこでたんぽぽコーヒーの話題になった。
◆たんぽぽコーヒーはたんぽぽの根を焙煎して作るコーヒーのこと。もちろんカフェインは入っていない。かねてから存在は知っていたが、そうか、こういう場合(アレルギー対策)に使われるのか、と腑に落ちたが、そこで「ん?」と引っかかる。Sさんの言う「自分で作る」とはどういう意味だろう。まさかそのへんでたんぽぽを採ってきて自前で焙煎するつもりなのだろうか。と、そのときちょうどSさんが「ああ、ゼラチン入れればいいのか」と独り言を言った。
◆びっくりした。てっきりぼくは「たんぽぽコーヒー」について話をしていると思っていたが、Sさんのほうは「たんぽぽコーヒーゼリー」について話をしていたのだ。こういうことってありますか。ぼくは初めてでした。
◆丸一日、木刀素振りせず。

5月31日/エスニックグルメの月曜日
◆初めて作ったタイカレーを一口食べるととんでもなく薄かった。ココナッツミルクやカレーペーストなど一式が揃った「タイカレーキット」みたいなやつを使ったのだが、とんでもなく薄い。分量通りに作ったのはずなのに。結局、食卓塩をかけて味を強化したうえで食べた。ようやくうまい。ちゃんと風味があって味もしっかりしている。
◆というのが「タイカレーの塩強化」ということわざの由来です。意味は「料理を作るときは味見をしよう」です。
◆丸一日、木刀素振りせず。

6月1日/Tシャツデザインの火曜日
◆自宅のすぐ隣はほぼ更地の駐車場だが、きょうそこに、近くの工事現場の作業員の方々が黒いハイエースを停めていた。朝一から夕方まで、しかもドアはずっと開け放たれており、車内では作業員さんたちが延々おしゃべりをしている。いや、べつにおしゃべりはいいのだが、問題は、そのハイエースが停められた位置がぼくの部屋のベランダのすぐ隣だったことだ。ものすごく近い。ぼくの部屋のテレビで流れる『徹子の部屋』が車からふつうに視聴できるほど近い。しかも一日じゅうずっと近い。ベランダを挟んではいるが、おしゃべりの全内容が聞こえてくる。ほとんど同じ部屋にいるのと同じだ。知らない人たちと同部屋。かなり気になる。
◆昼、ぼくはそのベランダに洗濯物を干した。風に揺れる洗濯物。その向こうに作業員さんたちの姿がちらちら見える。はっきり存在感がある。どうしても気になる。というか、ぼくが気になるということは作業員さんたちだって気になるにはずだ。
◆だが、そこは両者とも大人。1メートル足らずの至近距離にいながら、互いを「いないもの」とみなし、1日じゅう見てみぬふりをし続けた。実際、その後ぼくの洗濯物が風で飛ばされても作業員さんたちは教えてくれなかったし、それに気づいて拾いに行ったぼくも「おまえら洗濯物飛んだの見えただろうが。教えろや」とは思わなかった。これが都会の距離感。ドライな関係性。砂まみれのTシャツ。その胸に大きく「DRY」のロゴ。
◆丸一日、木刀素振りせず。

6月2日/相対性理論の水曜日
◆全力を傾けてプレイしているアクションRPG『ニーア オートマタ』の展開の重さに引きずられ、1日暗い気持ちに。すると突然洗面所から大きな音がして、見に行くと照明のかさが落ちて割れていた。
◆総プレイ時間はすでに40時間を超えているが、まだまだ先がありそうだ。もちろんこの40時間にはゲームを放置したままコンビニに行った時間も含まれるし、右手でゲームをしながら左手でウーロン茶を取ろうとしてグラスを倒してたいへんになっていた時間も含まれる。おおげさに言えば、時間という概念はわたしたちという存在すべてを含むのだ。
◆丸一日、木刀素振りせず。

6月3日/ワクチンの木曜日
◆薬局で働く知人はきょう2度目のコロナワクチンを接種するという。こちらからするとほとんど強化人間のようなイメージだ。「なあ強化人間、先にお風呂入る?」と親しみを込めて呼びかけることもあるだろう。
◆しかしふと考えると、SF作品などにおける強化人間は望まざる結果として「強化人間になってしまった」悲しい存在であることが多い。だから、いくら親しくても気軽に強化人間と呼んで区別してはいけない。むろん単に「強化」と呼ぶのもだめだ。それもまた差別の温床である。
◆丸一日、木刀素振りせず。

以上です。
早くワクチンが行きわたりますように。
それではまた来週!

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