今週の木刀素振り日記・1
今週もおつかれさまです。
春風駘蕩の1週間、いかがお過ごしでしたか。
木刀で素振りをしたかどうかを記録する日記です。
暇つぶしにお読みください。
2021年5月14日~5月20日の日記
5月14日/モータースポーツの金曜日
◆極太タイヤの自転車を見かけると、いまでも素直に「太いな」と驚いてしまう。情けない。そういうタイプの自転車を見かけだしてもう何年も経つのだし、いいかげん「太いな」は卒業しておきたいところだ。たとえば5台連続で極太タイヤ自転車とすれ違って「5台連続だな」と思ってしまうのならいいが、たった1台の極太タイヤ自転車を見ていつまでも「太いな」と思っているようではだめだ。
◆木刀素振りせず。
5月15日/オカルトの土曜日
◆石田純一を被写体としたものすごくでかい看板をかかげたパチンコ屋の前を通りかかる。理由のわからないでかさだ。ソフトボールができるくらいでかい。純一の右目がホームベースだろうか。
◆ところで「オーパーツ」をご存知だろうか。その時代にはありえない技術で作られた(としか思えない)謎の工芸品(広義で言うとナスカの地上絵も含まれる)を指す言葉だが、この看板もある意味ではオーパーツなのではないか。核戦争が起きて日本全土が廃墟と化した近未来、灰の下からこの看板を見つけた外国の研究者たちは口々に「でかさの理由がわからない」と言い合うだろう。
◆しばらく散歩を続けるうち、でかさの理由は単に「離れたところからも見えるようにしたい」からではないかと思った。気持ちはわかるが、遠くから見えるのはただの純一だ。パチンコ屋かどうかなんてわからない。「なんかあそこにでかい石田純一の看板があるな」で終わりかねない。
◆木刀素振りせず。
5月16日/歯科医推奨の日曜日
◆奥歯と奥歯のあいだにニラがよく詰まるスポットがあり、きょうも詰まった。ニラを食べると必ずそこに詰まり、フロスで取り除くまで取れない。舌先では無理だ。歯ブラシでも難しい。そのため出先で詰まると家に帰るまで取れないこともある。
◆あまりに詰まってあまりに取れないので、もはや近年は「詰まっている状態が標準」という思考法を身につけた。要は「生まれたときから詰まってますけど、なにか?」という表情でいまを生きる術である。悲しい術だと思う。
◆木刀素振りせず。
5月17日/環境問題の月曜日
◆あるテレビ番組でジーンズのストーンウォッシュ加工の一部始終を観た。ミキサー車の後部に似た巨大なタンクにジーンズと軽石を入れ、ぐるぐると回す。やがてジーンズと軽石が擦れあい、あの独特な風合いを生み出すのだ
◆気になったのは、加工作業を終えてタンクを開けると、軽石が「半分くらい無くなっている」という事実だ。加工中に削れてそうなるらしい。
◆さらに気になったのは、タンクを洗浄したあとの排水は削れた軽石が混ざって濁っており、ヨーロッパではそれが環境問題化しているという事実だ。最初から最後までずっと作り話みたいで良い。
◆木刀素振りせず。
5月18日/読書の火曜日
◆たまに湯船で本を読む。なかなか集中できて良いのだが、本が湿気を吸ってぼよぼよになってしまうのが難点だ。いや、べつにぼよぼよになるだけなら考え方しだいではダメージジーンズのようでかっこいいとすら思える。問題は、誰か他人にその本を貸そうとするときだ。そのとき本はただの本から「全裸で読んだ本」へと変化する。
◆他人に「全裸で読んだ本」を読まれるのはなんとなく恥ずかしい。はっきり全裸そのものを見られるのに近い。たとえ貸す本がナイツ塙さんの著書『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』だったとしても、実際に載っているのはネタの分析ではなく自分の全裸写真なのだという気持ちになる。ぼよぼよに膨らんだ本が吸ったのは湿気ではなく自分の全裸写真だとも言える。どういう意味だ。
◆木刀素振りせず。
5月19日/フィットネスの水曜
◆出来心でリングフィットアドベンチャーを再開した。自分の見立てでは「冒険ストーリーの中に各種の運動を取り入れてエンタメ化したところ」が斬新だと思っていたのだが、ちょっと時期を空けたせいなのか、やりながらふと「あれ? いまふつうにスクワットしてるよな」と我に返ってしまった。まぶたを閉じると、部屋の真ん中に謎のリングを持った男が汗だくで立っているのが見える気がした。
◆罰なのか、翌日、超弩級のふともも筋肉痛に襲われてさんざんだった。
◆木刀素振りせず。
5月20日/ラーメンの木曜
◆うまいラーメンは好きだが、果たしてうまいだけでいいのか?と疑問を感じるときもある。もちろんうまいラーメンは食べたいが、同じくらい食べたいのが、学食やサービスエリアのラーメンだ。それらは決してうまいラーメンではない。しかし、まずいラーメンでもない。あえて言葉にすするなら「食べられないほどのまずさではないが、うまいとは言い難い」ラーメンだ。わたしはそれを愛する。そしてそれは「給食居酒屋」的な懐古趣味とも違う。
◆食を楽しむ=うまいものを楽しむ、ではないと言いたい。たとえばきょう食べた日高屋の汁なしラーメン(油そば)はどうだろう。あのなにも越えようとしていない味になにかホーリーなものを感じるのはわたしだけだろうか。
◆木刀素振りせず。
以上です。
果たして日記かどうか意見が分かれるところかもしれません。
また来週!
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