詩｜井の頭公園にて

風

風そよぎ　木々が揺れる

そよそよそよ　ざわざわざわ

風そよぎ　水面が照らす

そよそよそよ　きらきらきら

風そよぎ　心を撫でる

そよそよそよ　さすさすさす

かいぼり

今日はかいぼり

井の頭池は裸んぼう

七井橋の上に立ちつくし

からっぽの池を見つめていると

心の中もがらんどう

今日はかいぼり

大掃除

水面

水面に映る私に会いにきた

今日も彼女は私を出迎えた

私が右手を挙げると、
彼女は左手を挙げた

彼女が首を右に傾けると、
私は首を左に傾けた

私が「そうじゃないよね」と言うと、
彼女は「そういうことだよ」と言った

似ているようで似ていない、私たち

井の頭公園

人々が集う

小鳥が囀る

木々がそよぐ

ありふれた公園

美しくて

静かで

薄暗い

ちょっと不気味な側面

季節に逆らわず生きる

街の中で生きる

等身大の呼吸