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人の心を掴む、いい文章ってなんだろう?

こんにちは、ミナミノマリコです。

私はおよそ8年間、紙媒体の編集者として仕事をしてきました。編集の仕事では、「文章力」を問われる瞬間がかなり多くあります。

自分で原稿を書くときはもちろん、ライターさんから上がってきた原稿をチェックするのにも、ある程度の文章力が備わっていないと良い校正はできません。

編集の仕事をしていると言うと「じゃあ、文章を書くのが得意なんだね」と返されることが多くあります。

しかし実は、私は文章を書くことが、決して得意だとは思っていません

それでも日々、書籍や雑誌などで仕事として文章を書く上で、自分なりに大切にしているマイ・ルールがあります。

今回は、私が原稿作成のときにどんなことを考えているのか、ノウハウやテクニックではなく「心得」の部分のお話をしたいと思います。

1 自分の「胸キュン」ポイントを見つける

私が編集の仕事をする上で、軸となる目的があります。それは「人の心を動かすものづくりがしたい」という思いです。

人の心を動かすためには、まず自分の心が動いた瞬間に気づく必要があります。逆に言うと、自分の心が動いていないのに、人の心を動かすことはできません

人にも、場所にも、物にも絶対に「オリジナリティ」が存在します。そして、受け取った情報の「どの部分」に関心や感銘を受けるかは、個人によって異なるはずです。

話を聞いたときに「この考え方、すごくかっこいい!」とか、取材先を訪れたときに「この空間にいると、幸せな気持ちになる」とか、なんでもいいんです。

自分が感じた一番の「胸キュン」ポイントを見つけてから、文章の方向性や、要点を整理します。

ただし、主観を前面に押し出した文章は、読者を置いてきぼりにしてしまいます。自分の価値観を読者に押しつけないこと。あくまで、事実に基づいたわかりやすい文章を展開しながら、自分が伝えたい要点に読者を誘導します。

その上で余地があれば、最後にちょっぴり自分の視点や考察を添えるくらいがちょうどよいのかな、と思います。

2 リアルさを感じる、血が通った文章を

上手な文章を書こうと思う必要はないの。でも、行った人でないと書けない文章を書いてね

これはかつて、私が雑誌編集をしていたときに、取材前に編集長から言われた言葉です。

上手な文章を書こうとすることも、もちろん大事なこと。だけど、それ以上に、実際にそれを体験した人間でないと伝えられない臨場感(リアルさ)をまず優先してほしい、と編集長から教わりました。これは、先ほどの「胸キュン」ポイントを見つける部分にもつながる部分かな、と思います。

とはいえ、取材なしで原稿を書かなくてはいけない場面もたくさんあります。そんなときでも、なるべく臨場感が感じられる血が通った文章を意識するべきだと思います。

書くことに慣れていない人に多いのが、表現が固くなってしまうこと。この原因は、文章作成の怠慢にあると個人的には感じています。

なぜなら、公式サイトやパンフレット、あるいはニュース報道やプレスリリースに掲載されている文章が、一般的に公的な固い表現になっている場合が多いからです。

やっつけで書いた文章は、書き手が十分に内容を理解し、咀嚼できていないため、資料に依存した固い表現になりがちです。

私自身、時間のないときはこの傾向があるので、読み返して、なるべく誰が読んでもわかる表現で、読者がワクワクする言い回しを意識して書くようにしています。

3 文章は「書くため」ではなく「読むため」にある

「文章の本当の目的は、どこにあるだろう」と考えると、書くためではなく読むためにあるんですよね。

読み手がいなければ、書き手自体に価値はほとんどないと思うんです。誰にも見せない日記でさえ、未来の自分という読者のために書いているのではないでしょうか。

「良い文章ってなんだろう?」という問いに関して、私も完全な答えは出ていません。もちろん、媒体や読者によっても、その定義は異なってくることかと思います。

ただ、良い文章かどうかは、極論は「書き手ではなく、受け取った読み手が決めること」なのかな、とも思うのです。

仕事の文章に限らず、それはプライベートにおいても同じ。SNSを見ていると、自分がただ伝えたいことを並べている人の投稿と、「人を笑わせたい」とか「よい情報をゲットして教えてあげたい」と思っている人の投稿では、受け取ったときの印象(後味のようなもの?)が随分ちがうものだな、と感じます。まあプライベートの内容は、好きに書いてよいと思いますが。

なるべく、読む価値が感じられる文章を、それを必要とする読者に届けたいと思いませんか。


以上が、私が文章を書くときのマイ・ルールをお話しました。

なんだか、偉そうに理想論を並べてしまいましたが…。実際は私も、完璧にできているわけではありません(反省…)。

ただ、伝えたい思う「情熱」と、それを丁寧に届けようとする「優しさ」があれば、まずは十分。テクニックやノウハウは、あとから自然とついてくるものなのかな、と思っています。

最終的に大切なのは「心」ですよね、きっと!

みなさまのマイ・ルールも、ぜひ教えてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございます! 今後も、よい記事を出せるようにがんばります。