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離職率が上がってしまう「多様性」の罠

「ダイバーシティ企業」
「多様性のある会社へ!」

ビジネスの場、特に人材に関する事柄において、『多様性』という言葉が当たり前の様に使われ、取り入れるべき重要なものとして扱われています。


もちろん私も多様性が重要であるというのは同じ意見ではあるものの、ぜひ皆さんに問いたいことがあります。それは

『多様性のリスク』をちゃんと把握していますか?

と言うことで今回は、中小企業の経営者やマネージャー向けに、「これを知らずに多様性を掲げると痛い目をみますよ!」その根拠と必須要素についてお伝えしようと思います。





そもそも中小は人材の「多様性」が必須

これは他の記事の復習になりますが、生産労働人口(16歳~65歳)はピーク時の1995年に比べて8割の人数しかいません。そして向こう26年で更に30%減ることが確定しています。

加えて、実質賃金が低下し続けている中、労働者が会社選びに重要視する要素として「賃金」を挙げる人が増えてきており、中小企業は大手企業との人材の奪い合いで不利に立たされている。

つまり、数年前まで人材を「選ぶ立場」であった中小企業が、「いかに選ばれるか?」にコストと思考をシフトする必要があり、その結果、多様な考えや経歴、ビジョン、国籍を持った人材を受け入れざる負えなくなってきているのです。



多様性は大きなリスク

部署やチーム内のメンバーの属性(社歴、性別、役職、国籍、年齢層…)が多様化するほど、

●人間関係の問題が増加
●パフォーマンス(生産性)の低下
●離職率の増加
●満足度の低下

が起きることが分かっています。つまり、多様化には大きなリスクを伴うということ。しかし、下記の2点を満たすと、人材の多様化がプラスの影響をもたらすことが分かっています。

【参考文献】
Tekleab, A. G., Quigley, N. R., and Tesluk, P. E. (2009). A longitudinal study of team conflict, conflict management, cohesion, and team effectiveness. Group & Organization Management, 34( 2), 170-205.



「会議」を見れば、多様化を活かせられるかが分かる

人材の多様化がプラスの影響をもたらす条件は

  • 「意思決定の方法」を確立している

  • 決定に対する合理的な説明が行われている

この2点です。


「結局、部長が好きなように決めればいい…」
「決定事項がツルの一声で変わるなら、勝手に決めて欲しい…」
「みんなで決めようとするから、決まらないんだよね…」
「ぼやっと決めるから、誰の責任で動いてるのか分かんない…」

こう言った「『決め方』を決めてない」チームや部署では多様性をプラスにはたらかせることが難しくなります。そして、様々な中小企業を見てきましたが、ほとんどの企業がこの意思決定能力が欠如しており、その原因になっているのは、それに気づいていない会社の代表なのです。


多様性を活かすのは、あくまで公平“感”

部署やチームのメンバーの公平感が欠如すると、多様性のデメリットが大きく表に出てしまうということが分かっているのですが、公平感を保つ上で重要なポイントがあります。それは

「結果」ではなく「過程(プロセス)」を公平にすること

統計調査によると、評価や昇給の場面においても同じことが言えるのですが、給与の額や昇進の有無といった「結果」よりも、どんな手順でその結果に至ったか?というプロセスの公平性を示す方が、メンバーは公平・公正であると感じやすいのです。

また、面白いのは「結果」が公平であると感じるときよりも、「プロセス」が公平であると感じたとき方が、メンバーのパフォーマンス(生産性)が高まるという点です。

つまり、意思決定においても、その決定に至ったプロセスを合理的に説明することで公平“感”を生むことが重要なのです。


まとめ

今日は中小企業のリーダーが「多様性への対応力」を身に着ける上で、“2番目に重要なことを2点お伝えしました。(決定方法の確立・合理的説目による公平感の確保)

なぜ2番目なのかというと、最も重要なのは『関係性の質』を高めることにあるから。なぜなら、仮にチームがどんな決定をしたとしても、最終的に“全員が決定に従い全力を尽くす態勢”になれるかどうかが重要であり、態勢づくりに最も影響するのが「関係性」の質だからです。

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