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前回:【小説】なれるよ(10) * 定食屋を出て、洋一はため息をついた。季節はグラデー…
前回:【小説】なれるよ(9) 輪郭のない空間に、静けさが溢れていた。テレビも冷蔵庫も給…
前回:【小説】なれるよ(8) * 「ねぇねぇ、マイ。今月のGENGAR買った?」 「そり…
前回:【小説】なれるよ(7) * リノリウムの床に、靴音が跳ねる。スーツの袖が上下…
前回:【小説】なれるよ(6) 満員電車から押し出されるようにして、祐二は駅のホームに降…
前回:【小説】なれるよ(5) * 電話を切る。スマートフォンを布団に投げた。不採用で…
前回:【小説】なれるよ(4) * 近所のコンビニエンスストアでは、先週から外国人が働き始めていた。煙草の番号を伝えると、まだ慣れていないのか、指を差しながら迷っていた。二分ほど待たされたのに、謝罪の言葉もなく、対応も素っ気ない。レジスターの開く音の方が、まだ温度があった。 片言の「アリガトウゴザイマシタ」に、社会の一員に、俺はレジ袋を雑に掴むことで、抵抗してみせた。外国人は何も言わない。 じめついた夜道を家に向かって歩く。水溜まりに映る街灯の光が、俺のシルエットを
前回:なれるよ(3) 蔦の巻き付いた石垣。ひどく規則的な踏切の音。淡い黄色に塗られた電…
前回:【小説】なれるよ(2) 「でさー、レッツ滝行の福森がグラドルの砂田ひかりを口説いた…
前回:【小説】なれるよ(1) 窓の外はすっかり明るくなってきたようだ。車の往来も増…
覚えていない。 失言で辞職した大臣。震度三の小さな地震。いじめられていた同級生の名前。 …