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勝負師の条件

 とある本によると、私がかわいそうだからこうしてください、ではなく、あなたが得をするからこうしてください、というのが交渉の基本らしい。

 これを小説に置き換えてみる。私=作者がかわいそうだから/がんばったから買って読んでください、ではなく、あなた=読者が楽しめるから/プラスになるから買って読んでください。そんなところだろうか。

 ゆえに作者は価値あるものを作るしかない。読者に書籍代以上の得をさせなければならない。そういうことができてるというのがいい小説だって話じゃね。

 新人賞を狙っていれば毎度毎度が勝負である。よりよいものをと技を磨き続けて書き倒す。そうしてなんぼがんばっても勝ち負けはあるし、俺も負け続けてるし、だがそれでもまだ勝負に挑むことというのがもうね、性か業かミッションかわからんが、とにもかくにもやらねばならぬ人々がいて俺もそのひとりなのだった。

 価値のあるものを目指して書いて、そんで送っていざ勝負、幾度も挑戦して、負けても心折れず、または折れたら治して、しぶとく立ち上がってと。不肖あたくし、長いことそうやってきました。

 実はそのしぶとさ、ゴッホの言葉に学んだものが核にある。

「九十九回倒されても、百回目に立ち上がればいいのだ」という言葉。

 まったく救われるものであるなあ。

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