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初期作品群の思い出

以前、といって15年前くらいまでなのかな、HTMLでソースを手打ちしたWebサイトをやってました。当時はSNSなどはなく、ブログがまだ新しいものだった時代ですね。いや、mixiが出始めてたのか?ともあれそういうネットの端っこでサイトを構えてた。

過去ログはたぶんフロッピーディスクに入ってるんで、読もうと思えば読める感じ。あのあたり、最初にサイトを作った20年前、CGIで動かしてた掲示板の書き込みに、まず二、三行の創作を書いた。それはもう本当になんとなく、何も考えずに書いた。思えばそれが小説の萌芽だった。魔道だった。

そのうち書き込むのが数行から数十行になっていって、なんや一丁前に短編を書き始めた。最初の短編がアキバのオタクたちの抗争の話で、池袋うんたらのドラマの露骨な影響下にあったやつ。先代のラジオ会館とか裏路地のゲーセンが登場する。アニオタVSゲーオタで、すったもんだあって、歩行者天国での乱戦の中でヒロインが演説して抗争が終わる。習作としてはまずこれだった。

執筆の味をしめた。もう書く楽しさの虜だった。二作目をやり始める。核戦争後の日本で孤立している町の話。ちょっとグロが入ってるんで友人に誤解されて困った。この町は自給自足でやっていて、そこでの農業と工業と研究、という三つの職種のどれかを選ぶ歳になった少年少女の話。空に常に黒い雲がかかっていて、青空を見ようとして主人公たちは簡単なミサイルを作る。それを飛ばし、上空で爆発させて、一瞬だけ青空が見えたって話。

習作三作目はラノベっぽいファンタジー。ラノベ界隈の流行として「魔王」というワードがあった頃、ふざけんな俺ならこう書くわ、と怒って魔王の話を書いた。中世の錬金術師のフルカネッリとか出してみた(文献を見て不死身と聞いたので)。血の雨がいつも降っている魔界で、ある日それが土砂降りになる。降ってくる血は地上で流された血という設定で、なんで土砂降りか、というとまた核戦争。これは上の話と繋がる。老女が訪ねてくる。ゴヤの『我が子を食らうサトゥルヌス』が掛かっている応接間。老女の正体は大天使で、世界は失敗した、やり直そうとして滅ぼした、という。お前も私が作った、一緒に新しい世界を作ろうと誘われるが、魔王は断る。人肉食をやめる。地上を散歩するのが趣味になる。終わり。

四作目がサイトで完結させたものとしては最後になった。女子高生の話。主人公のあだ名が「北極」といって、この子は喫煙者であって、吐く息が北極でのそれのように白いからという理由。もうとにかくふざけようとして女の子たちにガンガン騒いでもらった。ほとんど変人しか出てこないこの一本、「北極連れてきてよ」といわれたり、当時を知る友人がまだフレーズを覚えてたり、まあ一番人気でした。日常を描いた前半、事件を解決させるフーダニットものっぽい後半。ラストシーンは、誰もいない教室の窓際、一服している北極の携帯が鳴り、「誰か私に会いたいのかな?」の一文でシメ。のち六編のサイドストーリーも書いた。

未完の五作目、これはアンパンマンのパロディ。アンパンチは米海軍のミニッツを沈めるほど強く、ジャムおじさんがマッドサイエンティストだったり、バイキンマンがウザかわいかったり、また大いにふざけて書いてた。あんまりいうと怒られるからいわない。この時代は世界各国で戦争中、南国の「火薬庫」といわれる国を牛耳ったアヤ・ナナキという女のせいでそうなった、と酒を飲みつつジャムおじさんが語る。カネ、情報、軍事の関係の説明も。
アンパンマンが訊く。
「やけに熱心に語るな。欲しいならさらっちまえよ」
「いや、私はスモーカーは嫌いだ」
つまりアヤ・ナナキ=北極であるという繋がり。そのあと数話書いたが完成しなかった。

とまあ昔話でした。書くことが一番楽しく思えたのはこの頃だったな。

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