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詩 半径五十センチの魔法

世にもいわれておりますが
昔の作家のいうことですが
十分に発達した科学技術は
魔法と見分けがつかない
そう申しますね ただしこれは
私はなにぶん 過去を数十年しか生きておらぬゆえ
いまがどれほど 科学と魔法が近しいか
百年スパンでは計りかねる そういう事情もありますが
数十年の範囲で見てみても いまはたいそう魔法の世界
サイエンス・フィクションは現実化してゆき
サイエンス・フィクションはばかにできないもので
ロボットも人工知能も いまはわりと身近な話
寿司をロボットが運んでくる寿司屋
絵だって人工知能が描きますし
外科手術をする医療ロボットなるものさえあり
ああ こんなのはもう
ほとんど魔法の領域といえまいか
自分の半径五十センチを見てみましょう
私の場合 パソコンとスマホとスピーカー
それらが手の届く 半径五十センチにありますが
ひとつパソコン ここからならば
もひとつスマホ そこからならば
画面を通して地球の果てまで
電子的演算のもと 私の言葉は届きましょう
英語もエスペラント語も うまくできぬ私は
日本語ユーザーの私は 母国日本語だけが頼りゆえ
届いても届かぬ謎の言語と いわれてしまいがちですが
それはともあれ この半径五十センチの魔法から
電子的演算の魔法から 全世界に何か言葉が届いてしまうこと
そうしたことを考えてみた今夜
こいつはファッキンナイスじゃあないか
失礼 つまりクソ最高じゃあないかの意ですが
どかんと叫びたくもなるもので
この狭い部屋から 半径五十センチから
距離を超えて いまあなたに届くのですなあ
何かに似てると 思ってみれば
きっとラジオの海賊放送局に似ているのだろうと
結論づけて 今日ももう眠る時間なのでした



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