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掌編まとめ

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短いもののまとめです。
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#掌編小説

『日々貧賤』

 ときどき思う。俺には別の生き方もあったのではないか。たとえば中学時代からの友人Mのよう…

『仙人老境』

 向島に知り合いの仙人がいる。といっても別に不老不死だとか仙丹を作ってるというわけではな…

『イカサマのルール』

 ただ生き延びるために嘘をつくのはいけないことでしょうか。私は生きたかっただけなのです。…

『人間ギリギリ』

 まったくこの町というのは嫌なものだ。およそ洗練というものがない。コンビニに行けば独り言…

『不滅の友人』

 Jが死んだのはあいつが二十六歳だった夏の日で、そんな人生がどういう物差しで長い短いと決…

『陰宅の祖父』

 ジャケットを羽織り、ハットをかぶっていて、手にはステッキを持って歩く。その姿は忘れがた…

『ダーティー・ワーカー』

そのとき、友達はディズニーランドの裏方として札束をカゴにぶち込んでいく仕事をしていたが、俺はゴミの最終処分場で、悪臭の中、石を拾っていた。 持ち込まれたゴミはベルトコンベアで運ばれてくる。左から右へと流れていくゴミを手で漁って石や鉄を取り除く。それが仕事のひとつだった。軍手も作業着もあっという間に汚れていく。取りこぼした石は右から投げられてくる。右にはこの仕事の先輩がいた。 何も考えずにやれる、というよりも、何かを考えていてはこの作業ができない。ゴミを漁るにも集中

『シルク』

隣県に住んでいた折、同居人が猫を欲しがったので、ネットで引き取り手を探していた家に連絡…