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さよならGoodbye #1
第一章 一人暮らし
彼の東京での生活は、杉並区 新高円寺で始まった。
田島 晃 22才 関西の大学を何とか留年する事もなく卒業出来る事になったのは良かったのだが、あいにくの就職氷河期にあたり、就職先はなかなか決まらなかった。40社を超える会社を受けまくり、そして落とされまくった。
やっと旅行用品を販売する会社から内定をもらった時は、もう桜が咲く季節になっていた、、、
「はい、アパートは新高
さよならGoodbye #2
第二章 営業会議にて
「田島君、例の阪和交通社で5月に催行されると言う500名のシンガポールツアーの件だが、どんな感じだ?うちに貰えそうか?」
毎週の定例会議では、各営業マンが担当する、旅行会社のツアー毎の確認が定例になっていた。
すなわち、一本一本のツアー毎にどこの旅行用品店を使うかどうかを旅行会社側が、それぞれの業者の貢献度合いによって振り分けているのだ、貢献度合いとは、簡単に言うとキック
さよならGoodbye #3
第三章 阪和交通社にて
「あっトリップワンの田島さん!奇遇ですね?」
声をかけて来たのは、ライオン堂の矢崎だった。」
何が奇遇だよ?毎日会ってるだろ?彼は、この
同い年の矢崎のわざとらしさが、大嫌いだった。
「そう言えば、今度のシンガツアー どんな感じですか?」
「シンガ?ツアー?」
「嫌だなぁとぼけちゃって、うちはね、協力金は青天井で行きますからね!今も渡辺さんからもほぼライオン堂で
さよならGoodbye #4
第四章 新橋の居酒屋にて
「晃先輩!すみません遅くなりました。井上のオヤジに説教くらってたんですよ!くそ!あのオヤジ頭にきますよね?」
井上のオヤジとは、あのトリップワンの営業課長の事だった。
「まぁまあ、落ち着いて!座んなよ!」
「あっ紹介しますね、彼女、有島陽子 二十歳!
ぶさかわいいでしょ?」
さっきから後輩の副島孝司の後ろで変な踊り?をしているおかしな女がいたので見ないようにし
さよならGoodbye #5
第五章 隣の女
社会人になってからのバイクデビュー!
彼の愛車は、カワサキのGPZ400!
何故、バイクの免許を取りたいと思ったのか?
特に大きな理由は無かったのだが、何となく親から離れての開放感からバイクを乗るようになったのだろう。休みの日には奥多摩までバイクを飛ばしたり、夜の歌舞伎町までバイクを飛ばしてデンジャラスな歌舞伎町の雰囲気を楽しんでいた。
その日も彼は歌舞伎町を夜中の3時頃まで
さよならGoodbye #6
第6章 安野由美
「おはようございます」
彼の出社時刻は、8時55分、、いつも始業時間のギリギリの出社だった。営業部のドアを開けた彼の目に飛び込んで来たのは、人事部の安野由美!あの憧れの安野さんだった。
「えっえっ安野由美さん?」
「おい、田島!心の声が出てるぞ!」
井上課長の鋭い指摘で真っ赤になる彼だった。
「はい、皆んな揃ったので、安野君に挨拶をしてもらうぞ、、、では安野君!よろ
さよなら Goodbye #7
第7章 香山里佳子「えっ保険金出ないんですか?保険を勧められた時には、対物事故も補償しますって言われたので加入したんですよ!」
「申し訳ございません。バイクの運転中に対物事故を万一起こしてしまった場合には、保険金のお支払いの対象になるんですが、今回の事故は、バイクの運転中の事故では無いので補償の対象外となります。」
保険会社の担当者の突き放した様な話し方に愕然とする彼だった。
「そ、そうな
さよならGoodbye #8
第8章 付き合う?
「外、もう真っ暗だよ!」と安野由美、、
「本当ですね?もう9時ですね」
彼と由美は阪和交通社のシンガポールツアーの準備でここ数日は、残業続きだった。
「やっと準備も整ったね!」
「そうですね!お手伝いありがとうございました。」
「いえいえ、楽しかったですよ!準備も出来たので、今日は、田島君のおごりかな?」
「あっごめんなさい!そうですね!夜おごります!」慌てる彼、、、
さよならGoodbye #9
第9章 二股?
「晃先輩!何か隣りの部屋の看護婦さんとツーリング行ったって自慢のメールが来てましたけど、詳しく教えて下さいよ!もうやっちゃった?」
「ばっ、ばか!声でかいよ!」
「あっすみません。ちょっと調子に乗ってしまいました。」と珍しく謝る副島孝司、、
すかさず、後ろから、、例のアホ声が、、、
「あい、スイマテーン!」
その声の主は有島陽子だった。
「何で?いつも後ろから突然現
さよならGoodbye #10
第10章 里佳子
土曜日の夜の11時、彼はベッドに横になりながら
隣の香山里佳子の部屋に明かりがつくのをカーテンの隙間からボーっと見ていた。
部屋には、当時流行っていたU2のFireが流れていた。U2の最初のヒット曲だ!そしてFire終わり次の
曲 Tomorrowが始まった頃に香山里佳子の部屋の明かりがついた。
それからの、30分間、、彼は、里佳子の部屋に行こうかどうか?立ったり座ったり
さよならGoodbye #11
第11章 怪しい雰囲気
「ねぇねぇ、あの本棚にあるビデオってエロいやつでしょ?」
「違いますよ!何言ってるんですか!」
「マドンナって書いてあるからエロビデオかと思ったよ!」
里佳子はすでにバドワイザーを何缶も飲んでおり相当出来上がっていた。
「里佳子さんはマドンナ知らないんですか?アメリカの女性アーティストですよ!」
「知ってるよ!来年アルバムも出るらしいよ!」
「またまた、無茶
さよならGoodbye #12
第12章 作戦実行の日
「おい、田島!お前、髪の毛ボザボサじゃないか!」
出勤と同時に井上課長に怒鳴られる彼・・・
「すみません・・・時間がなかったもので・・」
「今日は、赤坂見付のTTI社に同行営業する日だぞ!ちゃんと段取り取ってるのか?」
「はい、そちらは準備万端です。来月の団体旅行用へのセールスプロポーザルもすでに印刷済です。」
「OK!いつになく計画的じゃないか!どういう風の吹き回し
さよならGoodBye #13
第13章 そして1か月が経った
山王男坂の事件から1か月が経った。井上課長は、未だに意識不明の状態だった。
副島孝司は、事件の後、会社にも出社しておらず、警察も彼の行方を追っていた。
そして何故か安野由美も会社をずっと無断欠勤していた。
「田島君!田島君!何?ボーっとしてるの?」
その声は、 井上課長の後任の吉森課長だった。
「あっ!吉森課長・・・」
「田島君は、安野さんと仲が良かったんでしょ
さよならGoodbye #14
第14章
昨夜の有島洋子の話が頭から離れず、不安いっぱいの中で、翌日会社に出社した彼は、廊下に貼られた人事メモに
数人の人が集まって何か話合っている光景を見るのだった。
掲示板の前の人と人の肩越しから、人事メモを見た彼は息を飲んだ。
そこには、営業部 安野由美 6月1日付退社 と記載されていた。
「え?え?どうして・・・」掲示板の前で戸惑う彼
隣で掲示板を見ていた、社内事情通のAさんが彼