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【書評】SVO!!!SVO!!!『会話もメールも 英語は3語で伝わります』中山裕木子 ダイヤモンド社

こんばんわ。休日なのになぜかExcelを開き、Excelで「卒業に必要な授業と単位」を表に打ち込むという、公務員の事務作業みたいなことをしていた美川です。

今回書評するのは、特許翻訳者、中山裕木子氏の

『会話もメールも 英語は3語で伝わります』

という本。

書店でみかけたときに、「お!!」と思いました。というのも、英語を学問として勉強している身なので、「英語」にまつわるものには目がないのです。帯も魅力的でした。「私は英語の教師です」を、3語で表す、というので

My job is....
と長ったらしい文章を、

I teach English.

と変換してました。素晴らしい。これは愛人だ。購入確定。

ということで、1日で読み終えました。夢中になりすぎた。

英語を言語学として、「ことば」の面からアプローチしてる私。こうした「英語の熟練者」にとっても、「へえ~!!」となる内容が盛りだくさん。基本文法のSVOの便利さを徹底的に解説してるからです。

何が(主体)+どうする(行動、動詞)+何を(目的語、対象となるもの)

このフォーマットわかりやすさ。シンプルさ。本書は、その特徴を余すところなく紹介しております。分かりやすい例文と、読者が主体的に取り組める練習問題もついており、本書を読み終えた暁には「クリアで分かりやすい英語」を書けるようになるでしょう。

また、「3語英語」を解説することは、「思考をクリアにする」という狙いも込められているみたいです。

「3語の英語」の究極の目的は、「頭の中をはっきりさせる」ことです。そしてそのような明快なコミュニケーションを通じて、「考えを伝える」ことだけでなく、「よく考える」ことまでを目指します。p.191

英語は「だれが」「なにを」「どうする」をハッキリ言語化させる、ものすごく分かりやすい言語

なんですね。これだけ広く使われ、今でも覇権を握ってるのにはちゃんとしたワケがあります。英語はとにかく「使いやすい」言語なんです。だって主語、目的語、動詞さえあればたいていのことを伝えられるし。もちろん大英帝国が植民地を広げたという要因もありますが、それでも長年使われ続けているということは、それだけ「使いやすい言語」として定着してる、ということなんですね。

日本語はあいまいな文章でも伝わってしまうので、英語とのギャップを感じやすい。

「あれとって!!」「誰??」「いやだな。」

というように、主語を省いても伝わるには伝わる。

英語だとこれができない。「いやだな」という感情を伝えるときにも、「I」をちゃんと入れないと、文法的におかしくなってしまいます。

この観点からいっても

3語英語のトレーニングは、「Clearly」明快に「Think」考えることのトレーニングにもなる

ということです。

本書は「円滑な」コミュニケーションをする、というのを念頭に書かれています。例えばIt構文。

It構文は、It is ~ というように、言いたいことがすぐに伝わらない、めんどくさい文法です。聞き手は「もったいぶってないで早く話の要点を言え」と感じるわけです。
It構文は、日本語でいうとこんなかんじ。

It is easy for me to do my homework.

あれは簡単なんだよね~、それは僕にとってなんだけど、宿題をするってのは。

と、「あれは~」の部分が冗長に聞こえます。話の要点「僕が宿題をするのは簡単」が、文章の後半部分にきてしまう。これだと、聞き手も理解するのに労力を使うし、話し手も文法のミスを起こしやすくなる。

なので、中山さんがいうように「3語英語」にしたほうがいい、ということになります。

I do my homework easily.

宿題なんて簡単さ。

どうでしょう。さっきよりかなりスッキリしたんじゃないでしょうか?

これも基本は3語です。

何が(主体)+どうする(行動、動詞)+何を(目的語、対象となるもの)

I+do+my homework (+easily).

「4語じゃないか!!」という突っ込みはごもっともですが、easilyは副詞。副詞はあくまで「サブ」のものなので、消しても問題ないです。なので、文章の必要上件ではありません。試しにeasilyを指で消して読んでみて下さい。消しても文法的に問題がでないのが、副詞です。

と、こんな感じに「複雑な文章」→「3語のクリアな文章」への添削が、セクションごとのテーマでひたすらまとめられている

というのが、本書の特徴。後半部分では、徐々に練習問題が増えてきて、読者も、本に書き込みながら、「3語」への書き換えをしていく。という、「読む」だけでなく「書く」ことで、「3語英語」を定着させようとする工夫がみられます。本書の素晴らしい点のひとつですね。受験生に戻ったような、新鮮な気分で、英語を「学び直す」ことができました。楽しい本。

【結論】

『会話もメールも 英語は3語で伝わります』は、「英語の奥深さ」ではなく、「英語の使いやすさ、シンプルさ」を教えてくれる本。英語は難しく考えすぎなくていい。華麗な文法も、難解な単語も使わなくていい。「3語」の基本を叩き込むことで、英語が引き締まるとともに、日々の思考もシンプルに引き締まる。

ちなみに、この結論部分を書くのに熱中しすぎて、電車を乗り過ごしそうになった。あぶないあぶない。

自分の好きな本の方向性がわかってきました。それは

「シンプル」
「表紙がシンプル」
「内容がシンプル」

とにかく「シンプルなもの」が好きなようです。美川は。

美川

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