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話がしたいよ

僕が今でも続く友達の中には、縁としか言いようがない出会いや再会を繰り返す人たちがいる。

引きが強いというか、何かもっているというか、偶然そういったことが起きやすいのだと思う。

高校時代に出会った友達のa君は、縁があった。

高校1年生の時に、同じクラスのa君とは、BUMP OF CHICKENがお互い好きだと言うことがわかり、仲良くなる。

クラスの中心になって盛り上がるタイプを遠くでみながら、教室の隅で、主にBUMP OF CHICKENの話をしていた。

ちょうどsailing day/ロストマンが、発売された頃のことだ。

中学生の頃、天体観測が世の中に出回り、初めて聞いた時の衝撃や、「見えないモノをみようとして望遠鏡をのぞきこんだ」という歌詞をみて、

なんだかワクワクした感覚を共有できる貴重な存在だった。

あの曲が好きだとか、隠しトラックがおもしろいだとか、そんな他愛のないことで盛り上がっていた。

マンガも話題になったが、彼は先見の明があった。ブリーチ、DEATH NOTEはジャンプに掲載された瞬間から僕に、「これは絶対おもしろいからみろ」といっていた。

しかし、高校2年生以降、僕は文系、彼は理系と履修コースが別れ、話をする機会が減る。僕も陸上部で本格的に忙しくなっていく時期だった。

a君とはたまに学校の登下校で、一緒のタイミングになったときに話をする程度になった。

そのままお互い違う大学に通い、もう会うことはないかなと思っていた。

大学生の時に、mixiで再会し、連絡を取り合い、大学4年の時に直接、再会する。一緒にごはんを食べ、カラオケではBUMP OF CHICKENの曲も当然歌う。

その後、彼は県外へ就職するが、僕は公務員試験の浪人生となり、もう会うことはないかなと思っていた。

しかし、公務員試験浪人時代の25歳の夏、また再会する。a君が住んでいる県の公務員試験を、たまたま僕が受験したからだ。

彼に連絡を取り、試験前日の夜、ご飯を一緒に食べた。

結局僕は、彼が住んでいる県の試験は不合格となる。

その後、とある団体の非常勤職員として仕事をしながらも、26歳以降は引き続き、公務員試験を受験した。

さすがに彼とは、もう会うことはないかなと思っていた。

28歳の6月、広島で実施された、とある公務員試験会場で、ばったり再会を果たした。僕の目の前にいるはずのないa君が現れたのだ。

彼は仕事をやめて、こっそり広島に戻ってきていた。そしてこっそり公務員試験を受験していた。

僕は彼との再会を喜び、一緒にごはんを食べた。

そして、お互い仲良く、公務員試験は不合格となった。

その後、僕はとある団体の正職員になり、彼は公務員試験を引き続き受験をした。

公務員浪人生だった僕は彼の状況、想い、辛さ、孤独、その他を痛いほど理解していた。

だから、連絡をするのを遠慮した。


その後、僕は新しい職場で忙しくしていた。

3年の月日が流れた。


31歳の秋、僕は近所の漫画喫茶で、時間を過ごしていた。会計をしようとした所で、偶然また目の前にa君が現れる。

a君は、僕より早く店を出たが、たまたま忘れ物をし、店に戻った所で僕と再会をしたとのこと。

もう少しオシャレな場所で再会したかったが、再会場所が漫画喫茶というのが、絶妙に僕達らしかった。

彼は、公務員にはなれなかったが、ちゃんと会社員として働いていた。そして電車1駅分の場所へ住んでいた。

「ここまでくると何か縁がある」と言い合い、その後は、飲み友達となり、お互いの家を行き来したりする。

部屋で流すBGMはもちろん、学生時代に聞いたBUMP OF CHICKENだった。

飲みながら話題になったが、僕らが気がついたら少年から大人になったように、


青春時代に盛り上がったBUMP OF CHICKENも、結婚したり、不倫したりと色々あったようだ。



そんな彼とは定期的に会っていたが、コロナで少し会う機会が減っていた。


去年の秋の夜20:30、突然彼から電話がかかってくる。

「今、お前の家の前にいる。今から会えないか?今日どうしても会いたい。」


その日は、仕事で21時までの勤務だったので、家で待っても、帰宅までかなり時間がかかること、明日以降なら、夕方でも大丈夫であることを伝えた。

しかし、彼は言った

「今日でないとだめなんだ。今からお前の職場へ車で行く」と。

もう少しで勤務終了だから、職場まで来てもらっても困るので、お互いの中間地点で会うことを提案し、納得してもらった。

何かがおかしい。

いつもお互い空いてる日を確認しあい、会っているのに、突然、家の前に待機するなんて…

今までと違い、切羽つまっている様子が伺えた。

集合場所へと向かう間に、過去に学生時代に仲が良かった友達やお世話になった方と距離を置いた出来事を思い出していた。

突然、怪しい自己啓発セミナーの勧誘をしてきた友達…

突然、何だか怪しいネットワークビジネスの勧誘をしてきたお世話になった方…

あの時も今日みたいに、切羽つまってる様子で違和感を感じた。

彼がそういったことに引っかかるタイプではないとは思ってはいたものの、

過去の出来事と似た状況に、不安がよぎりながらも目的地へ向かう。


目的地へたどり着いたら、彼がスーツを来て待っていた。

そして、紙を取り出した。



「俺の結婚式へ出席してください」と結婚式の招待状を渡された。


全くの予想外だった。彼女が出来たという報告から、半年も経っていなかったからだ。

むしろ少しだけ、連絡をとらなかった間にすでに籍を入れていた。

色々びっくりした。


僕は「それは本当に良かった(色んな意味で)。おめでとう。」と伝えた。


何故、今日でないとだめだったかというと、「駆け足でプロポーズをして、新居を決めて、籍を入れて、結婚式の式場選び、準備などすすめている。招待状を手渡しで渡せる日が今日しかない」と説明をうけた。

ちなみに結婚式は3ヶ月後だった。

せめて一言、「結婚式の招待状を渡したい」と言ってくれれば不安なく会えたが、彼の誠実さゆえ、こちらも何かがおかしいと思う状況になってしまったようだ。

色々安心した。

彼は言った。

「お前とは何かがある。だから出席して欲しい。」

もちろんオーケーした。

3ヶ月後の結婚式では、僕らが良く聞いていたBUMP OF CHICKENの曲は


流れなかった。


どうやら奥さんの意向か、ほぼB'zオンリーのBGMであったことだけが残念だった。


しかし、2人の人柄がわかる、とても暖かい結婚式だった。

会場のテーブルに、彼から僕へのメッセージカードが置いてあった。


僕は、そのカードを大切にスーツのポケットにしまった。

このカードは捨てることなく、これからも大切に、保管しておこうと思っている。 

これからも、色々な思い出や仕事やBUMP OF CHICKENやその他、色々な他愛ない出来事をたくさん僕も話がしたいよ。

結婚式以降、コロナがひどくなったり、僕も職場を異動して、バタバタしてたから連絡とってなかったけど、

そう言えばあいつ元気してるかな?


 



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