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異訳 Japonca-Türkçe Tanka 2024/02/13

犬がいる! 駆け寄ってみて少しづつ岩だったってことに気がつく

ナナロク社 岡本真帆「水上バス浅草行き」より

Köpek var!   Koştu ve yaklaştı. Yavaş yavaş o taşa haline  geliyordu .

否 光清 トルコ語異訳

犬がいる! 走ったそして近づいた。少しづつそれは岩になっていった。

否 光清 日本語異訳


冒頭の「犬がいる!」これは難なく。オンライン辞書で念の為、犬→”köpek”のつづりを調べて、と。「駆け寄ってみて」か。〜してみる、 の文法がわからず。「駆け寄る」もちょっとそのまま辞書で調べる気にならず。「走る」→”koşmak”「近づく」→”yaklaşım”らしい。たぶん"yaklaşmak"という動詞があるんだろうな。人称接尾辞を付けるために変化したうえでの形。「してみる」は「すると」という表現で代替しよう、大体同じだ、と思い調べる。「すると」→”sonra”
この段階で作ったのが

Köpek var!  Ben koştu ve yaklaştı. Sonra

-tu,-tıは完了形。veは英語でいうand.

更に「少し」→”bir nebze"だそうだが、「ずつ」?「少しづつ」→”yavaş yavaş"だって。出川さんみたい。なんとなくいい感じの響きだ。

この後「犬だったってことに気がつく」に移る。「だった」てことは完了形だな。

あっちょっと待て。人称接尾辞!今の段階で、できた部分のkoştu,yaklaştı完了形にして安心してしまった。それぞれの人称対応付けを忘れてる。ええと、主格は”ben"一人称単数だから、いや待てよ、本当に一人称単数でいいのか?

ここで暫し中断し黙考。そもそもこの歌って、どうゆう。

岡本さんが散歩でもされているんだろう。
犬がずっと先の方にいる。きっと犬が好きな岡本さんは、「犬〜#&$+*””!%♥」って叫びながら愛撫するために突撃していったら、犬と思っっていたその正体は岩だったんだ。
ん?そんな事ある? 岩っていうと孫悟空が亀仙人に修行で動かすように命じられるやつでしょ?岡本さんにとっての犬のサイズってヤバイ(汗)
きっとこれは、親子の情景を描いた歌なんじゃないか。さんぽしている。、そんでその子にとっては岩くらいのサイズの石があった。その子に「あっ!!犬よ。犬がいるわ。ピーターかわいがってあげなさい。」と言って、一緒に駆けていく父親か母親「キャーッ、犬さーんいぬーいーぬーーーーなーんちゃって♥」といってピーターをかわいがっていたんだ、そんな歌なんだ、とも思える。

が、私がこの歌をつくったとしたらという不遜な想像を膨らませてみる。
犬がいる!そしてその犬が駆けるのだ。私の方に。きっと飼い主と思ったのだ。あるいは犬を愛する人物だと思ったのだ。愛撫されようとして突撃した犬。犬loverは、犬が自分に駆け寄るのを見て、憮然として突っ立ている。駆け寄りながら、対象の真実にだんだんと気づきながらも、脚の勢いで私のところまで来てしまった。、ああ邪魔な奴め、と内心で毒づく犬。不動のわたし。

よし、解釈は決まった。主格は犬。つまり三人称単数。”ben"をo"に差し替え、いや、主語は略せるから、ここはシンプルにいこう。三人称単数のとき、人称接尾辞はない!これは楽だ。ということで、

Köpek var!  koştu ve yaklaştı. Sonra

見かけ変わっていない、しかし、前者はその段階における私の解釈において文法的に誤訳。後者は新解釈のもとで文法的に妥当(だと思う)

トルコ人出川さんの呟きも加えてと、

Köpek var!  koştu ve yaklaştı. Sonra yavaş yavaş

"sonra"と"yavaş yavaş"重ねるのはくどい、気がする。

Köpek var!  koştu ve yaklaştı. Yavaş yavaş

つぎ。「気がつく」これが難しい。それも「少しづつ」である。ふつう、気がつくのは瞬間。「気がつく」の現在進行形だとニュアンスだせるかも(この語彙に対してそんな用法あるのかは謎)、完了形も合わせて、「気がついていった」、みたいな。

しかし、そもそも単語レベルで「気がつく」に対応するトルコ語あるのかどうか。辞書検索で、ヒットした単語をさらに英語検索すると、ん?となった。
のでここは視点を変えて、岩主体にしてみよう。

それ(=わたし)が少しづつ岩に変じていったみたいな感じ。「〜になる」="haline gelmek" これを進行形にしたうえで完了も添える。と、"haline geliyordu"に。(進行形と完了を併置するのは妥当か否か定かならず。)岩に→"taşa" も使って、

Köpek var!   Koştu ve yaklaştı. Yavaş yavaş o taşa haline  geliyordu .

完成!
最後に反省を。岩であったのだが、本当はわたし人間なのであるから、三人称単数"o"ではなく一人称単数"ben"を使う手もある、と思う。そこについて思い至らず、終えてしまった。検討してもこの形になりそうだが、検討しないのは違うと。

次は、どの短歌を異訳しようかな♫

二作目はこちら↓


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