見出し画像

ダンス教育を考える②育成編

先日、専門学校でジャズダンスのレッスンをした時に…

振付を増やしたんですね
で、フィニッシュポーズが…

2.3年に1回やるかやらないかくらいのジャズハンド
(ザ!ジャズダンス的な…)

そこで生徒が言ったのが
「ジャズダンスだぁ〜!」みたいな声🤣

そりゃジャズダンスの先生だし…
ジャズダンスのレッスンだし…
「何の授業だと想ってた?」
と聴くと
「整体みたいに癒されるし…」だって😅

私はかなり基礎をやるけれど…
いわゆるジャズダンスの定番的進め方、してませんからね

ジャズダンスの定番のレッスンは…

ストレッチ➡️
アイソレーション・リズムトレーニング➡️
プリエなど体軸トレーニング(時に筋トレ)➡️
クロスフロアやターン➡️
コンビネーション(振付)

みたいな感じかな…

そういう定番レッスンをただ受けるだけだと…
一般のダンススクールに行くのと変わりませんよね?

ここはプロの表現者になる為の学校で…
ダンス経験が長い子と、未経験の子が混じっていて

ミュージカル志望から、映像の俳優になりたい子など様々

オリエンテーションで私のレッスンを選択してくれた子達なので、全員必ず上達させたいし…

踊れる子はもっと高いレベルに仕上げ
初心者も自分なりに、踊りで表現出来る様になって欲しいですからね

私が基礎としているのは
「私のダンス」の基礎というより

根源的な踊りの基礎
人が踊る…という行いとしての基礎
踊りで観客に伝える…という表現の基礎

他の先生のクラスでも上達していく為の基礎…ですね

歌のレッスンなら歌唱指導以前に、ボイストレーニングがあります

声の基礎だけでも、きちんとやるとかなり時間が掛かるもの

ダンス表現の基礎も同じです

ストレッチにしても…
ストレッチの為のストレッチでは意味がありません

単なるウォームアップとしてこなすのでなく(そもそも論として、ストレッチは柔軟性向上のトレーニングのひとつ)、体理を知りながら取り組むべき

アイソレーションなども、カラダのどこをどう動かしているか?体得しないと…単なる体操で終わりますからね

筋トレなど💪間違えてやれば逆効果…

しなやかに踊りたいのに
ガチガチの筋トレしたら?
当然踊りが硬くなるだけ

やるなら踊りの動きに活きる筋トレをすべきなのです!

ダンスレッスンに良くあるのが…

シットアップ(上体起こし)を、僧帽筋にチカラを入れて行う子が居たり(特に早いテンポの音楽でとか…)

プランクも良く見かけるけど…ただアウターマッスルを固めてやったら、カラダ&動きはゴツゴツになるでしょう

キツいとそれなりにやった気にはなるけれど…間違った達成感(という錯覚)でしかなくて
ダンスの上達には無関係

そもそも筋トレの為の筋トレと、ダンスの為の筋トレは違うわけで…
そこに指導者の思想の深さが表れるのです

ストレッチも筋トレも…
踊りでどこをどう使うか?という意識を磨きながらやらないと、こなすだけの練習になってしまうし

それでは創造的なレッスンとは言えません!

ダンスレッスンで受け継がれる内容には、必ず意味があるので…何故その動きをするのか?

指導者はその意味を伝えるべきなのです

基礎は地味なもの…
基礎の動きはダンスそのものに見えませんが、しかし土台となる基礎をしっかり行うことは、必ずダンスの上達に繋がります

アイソレーション=分解運動も、元はモダンダンスのムーブメントでした

感情表現をするのに体幹部が立ちっぱなしと言うのは、日常生活ではあり得ず

ナチュラルな動きを体系化されたものがアイソレーションで、それがより細かくリズム的に進化したのがジャズダンスのアイソレーション

そのメソッドが、30年以上前からヒップホップなどにも取り入れられているなど

ダンスは影響し合っているので、メソッドにも成り立ちの歴史があるのですね

私のレッスンでは、そうした根本的な踊りの基礎をやるので…

自分のカラダを自分のモノにする、想うように動かせる基礎を行っています

いつの間にバランスが取れて、重心移動がスムーズになったり…

音を肌で感じたままに、即興で動けたり…
鏡をちゃんと観て、動きを工夫出来る様になったり

本質的な上達に至るレッスンを心掛けているのです

振付を自分なりに工夫し動きを練って…
人の目があっても堂々と表現に集中出来る様になること

それはダンス以外の全てに通じる、身体表現の基礎と言えますね?

私はシアター系(いわゆるミュージカル系のスタンダードな)ジャズダンスは、ほぼやらないし…

創作ではリリカルジャズ(感情表現豊かなドラマティックなスタイル)がメインだけど…

そもそもが即興のファンキーソウルダンスから踊り始めた私なので、習い事から始めていない分…

指導も即興的で…その時の生徒に必要なことを指導しています

だから「いつものアレ…」みないに、慣れで流して(手を抜いて)受けることは、まず出来ない内容ですね

3.4回ごとに振付のタイプを変えてるので、今回は久々にザ・ジャズ!という感じの振付

曲もノリが良いから「楽しい〜!」と言って、皆頑張って踊ってくれました

初心者も流れについていけてるし
出来なくても楽しければ…
もっと踊れる様になりたい!というモチベーションに繋がります

成長が遅かったり、ダンスに苦手意識ある生徒の特徴は🔽

○何が理解出来ていないか?を理解していない
○余裕が無いので、音を聴いていない
○マイナスな自意識で、鏡を正視出来ない為…周りの動きと自分の動きが見えていない

…などなど

鏡は単に振付を覚えるだけでなく、鏡を通したその先の「観客席」をイメージする為のもの

自信が無いから鏡の自分を正視出来ない=カッコ悪い自分を見たくないという心理が、最初のハードルかもしれません

鏡を正視することは鏡の自分だけでなく、周囲の人をも見ることに繋がり…動きの修得を早めてくれるもの

自分がどんな動きをしているか…想像と現実が乖離していたら?

表現系のダンスレッスンには客観性を養うべく、鏡というものはとても重要です

逆に鏡を通さずに修得する伝統舞踊や武術・武道などは、客観性よりも内観性を優先して学ぶジャンルといえるでしょう

客観性・内観性どちらも不可欠なので、外からの目と中からの目の陰陽☯️といえるかも…

見る…にも観る・視る・診るなど、いくつも文字がありますからね

さて…上達にはまず、小さな「成長体験」を積んでもらうのが肝心です

ダンスレッスンでは…振付を覚えるのが、はじめの一歩

覚えが遅い人はアタマで記憶しようとし過ぎて、カラダに振りが入りません

カタチが多少違っても、動きの通り道に慣れること!

周りの人の流れに合わせられるように、まずは重心移動とステップを覚えること!

順番に余裕が出てきたら、音も聴こえる様になります

動きながら音を聴く余裕が生まれたら…

動きのカタチ・アクセントやしなやかさ、間の取り方や緩急・コントラストなど、ディテールを工夫する段階に入ります

この段階に入れば…
他人の動きも良く観えるので、良いところを真似したり

自分のカラダや感性に合う動き方の発見段階…と言えるでしょう

上達の道筋(上手くなる取り組み方)がわかると、他のレッスンでもそれに照らし合わせ

指導者が何を伝えているか?
今自分が何をすべきなのか?
を理解出来るので…

受動的でなく、能動的なレッスンの取り組みになるはず

これを積み重ねることで、自分らしさや個性に自信が持てるようになります

目先の配役やオーディションに合格するかしないか…
などに振り回されない、表現者としての強い柱が確立出来るのです

あとは継続するだけ!
継続に必要なのは目標ですね

一つ目は成長目標🔽
180開脚が出来る!とか
ピルエットがトリプル回れる!とか

もう一つは社会的目標🔽
○○の作品で踊る!とか
○○の役を勝ち取るとか

そして…更に大事なのは自分の適性を知ることです

どんなタイプの振付・作品が得意なのか?
どんな役柄だと自分を活かせるのか?

私を例にしてみましょう

私は身長が低いので、こればかりは努力でどうにもなりません(身長は伸びませんからね)

王子様役とかは、始めから眼中に無し🙂‍↔️

身長の低さでオーディションに書類で落ちることもあったし、そもそもバックダンサーには向いておらず…

私自身が、そもそもバックダンサーなどしたくなかったし

生き残るには…
ソロやセンターで踊る技術や表現力、パッションなどが、創り手や観客から評価されるレベルであること

幸い上手くなる為の練習は、自分で工夫しながら積み重ねてきたので

センターやソロで踊り…
振付家・指導者として自己実現してきました

世界で通用するオリジナル作品を創る!という目標は、何度も実現出来たのです

そんな私が指導者として、プロ志望の若い生徒に伝えているのは…

やりたいこととと
求められることを
結べるかどうか…

希望と適性がズレていたら
自己実現は不可能ですから

主役になりたくても…
脇役で光ると判断されたり

センターで踊りたくても…
周りを固めることもあるでしょう

創り手目線でいえば…どんな位置であっても不必要なポジションはありません

野球なら、選手が9人いないとチームは成り立たず

全員が先発ピッチャーにはなれませんからね!

キャッチャーや内野手、外野手がいて
9つの打順があることで、試合が出来るわけです

特に女性はプロになるとしたら、圧倒的に競争が激しくて…まずは選ばれないと次のステップに進めません

選ばれた場で信頼を勝ち取ること…これがステップアップの必須条件でもあります

その時にもし、苦手な振付や役柄だったらどう取り組むか?

取り組み方も創り手は見ているので、課題から逃げない姿勢(強さ)があれば、信頼を勝ち取れるでしょう

信頼の先にしか、自分が本当にやりたいことへの道は繋がりません

この世界は人で成り立つから

実力も経験もないのに選り好みしていたら…?

何年レッスンしても、生徒として発表会に出るだけの存在で終わるでしょうね

技術的な話しから、生き方の話しに進みましたが…
30年以上ダンス指導をしている経験で書きました

ダンスや表現を目指す誰かの役に立つなら、本当に嬉しいこと

毎年数十人の若者に指導していますが、プロになれる可能性あるのは僅かです

そうでない人も…
ダンスレッスンで成長した自信を忘れず、それぞれの道に進んで欲しいし

出来るなら、自分を必要とする現場に出会って欲しい

例え小さな現場でも、誇りを持って活躍して欲しいというのが私の想いですね!

普遍性ある作品創りを大切にしている私は、指導でも普遍的な内容を伝えています

指導は人を創るという、創作以上にクリエイティブな仕事ですから…

渾身の指導をしています!

🔽この投稿に関連する以前の投稿も、是非読んでください!ダンス教育の現場について書きました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?