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ダンス教育を考える

今回は長年のダンス指導経験を元に、指導現場に想うことを、実直に書いてみたいと想います⭐️決して批判ではありません

まずダンススクールにも種類がありますね

大手の総合スクールから
地域密着のスクールなど

それを指導環境として分けると、以下の感じに分類されます

A.本当に上達する・させるレッスン
B.上手くなった気にさせるレッスン
C.汗をかかせて楽しませるレッスン

これらは意味が違いますね

色々なレッスンを選択出来るダンスの総合スクールも
クラスや指導者によってABCがまちまちだったり…

そこにフィットネスが混じると「上達」というだけでなく「健康」というコンセプトぎ加わるから、余計にややこしいという…

ただプロ育成の「学校」「養成機関」は、絶対にAであるべきです

しかし…生徒数という経営の分母を確保する為、実態はBがほとんどだったり

これは難しい問題で…
以下にそれを深掘りしますね

①プロ育成の現実

本物を育てるなら、入り口(入学・入会)を狭くしないといけません

真剣さと素質ある人材だけを指導出来たら…当然プロは育ちますよね

海外の育成機関にはオーディションがあります

しかし日本の専門学校などの教育機関は、オーディションは基本ありません(あってもカタチだけで、ほぼ全員合格とか)

これは学生が学校ビジネスのお客様であり…
学費で学校を運営する以上、避けられない矛盾なのですね

大手芸能事務所だって、ビジネスの実態は…養成所収入を経営の柱にしてるところがほとんど

有名な子役育成事務所なども、少子化で子供の数が減ったからシニアタレントと称して人集めしてるでしょ?

実態はせいぜい、エキストラの仕事しかありません
(10年ごとに売れっ子の子役が出て、彼らが広告塔になって人が集まるのです)

ダンスはアスリート要素も必要なので、技術習得が必要な割に出口(就職先)は狭き門

ダンスの学校機関はわかりやすい進路に向けた「就職予備校」的運営で、未来が拓けるイメージを演出し、学生を集めるわけですね

現実は数%しか、行きたい場所に就職など出来ていないのに…

私が昔、13年間お世話になった大手専門学校は(現在は退職)

表向き就職率100%を謳っていましたが…

実際は劇団の養成所に入ったり、制作会社へのバイトなども含めてのこと

学校経営ビジネスを成立させるには、学生数確保が最優先なので…

プロ育成という名目で大勢を入学〜卒業させ、人を循環させるのが学校の本質ということ

当時の講師会(ミーティング)では、運営側より
「生徒をプロに育てて欲しい、しかしドロップアウト率が学校の評価になるから、辞めさせないで欲しい…」という注文をされていました

辞めさせないようにしながら、プロを育てる???

そもそも「学校に入れば何とかしてもらえる」という甘い考えで、何のレッスンもカラダ作りもせず入学した(夢の王国のTシャツを着た)素人と

バレエ経験15年の子達を、一緒くたにしてしまうのですからね

入学者は入学金&初年度の学費を最初に払うから、学校は損しません

様々な現実を知って辞める子がいるのは仕方ないわけで…

しかし中間管理職の教務スタッフには、自分の成績・評価に関わる問題…
彼らには入学者数とドロップアウト率が最重要課題

入学者を確保する為に、色々な指導者を集めるわけですが…生徒の好みがどこにあるか?を狭めない為に、色々なジャンルのダンス講師が存在します

生徒が選択する授業はバイキング形式で、コース料理形式じゃありません
つまり連動性が無いのです

広く色々知るメリットはあるけれど…

枝葉が増えても根や幹は育ちにくいわけです
それじゃ実は成りにくく、枝は折れてしまうのが自然の理

プロになるなら根や幹を育てるからこそ、多くの枝葉に実が成るのに…

枝葉だけ増やすシステムなら…
1レッスンごとにキャッシュやチケットで受講出来る、一般のダンススクールと何ら変わらないわけです

だから最初に書いた様にプロ育成も実態はAでなく、Bだということ

プロを本気で育てるなら、海外の様に公的な機関や支援だったり、寄付で成り立てば良いけど…

日本ではダンスなどは、生産性の低いものと扱われますなら、なかなか難しい課題ですね

②指導者と生徒の問題

ここにも大きな課題がありますね

有名なダンサー=良い指導者でないことも多くて

それでも上手くてカッコ良い先生に習いたい生徒としては、会えるだけで満足な人もいるでしょう

客商売としてはそれも正解のひとつ

好きな先生から習える!というのは顧客満足に繋がるサービスにもなるので

しかしそれだけじゃ上達はしませんね

先生が「主役」になったら、生徒は「脇役」もしくは「観客」にならざるを得ないから

私が想うに…先生は「ガイドさん」的立場で良いと想っており

ダンスの魅力や楽しさを伝えつつ、上達の道案内をするのがベストではないでしょうか?

あくまで道を歩むのは、生徒本人ですから

ダンス指導にも「ティーチング」と「コーチング」の2通りありますが…
それを理解しない指導者もたくさんいますね

多くのダンス指導者は「ティーチング」主体でしょう

現役のダンサーはプレイヤーでいたいけど、それだけじゃ収入にならないから…収入の為にレッスンプロをしていて

本当は踊りたいけど、仕事として教えてる…という人が多いから

ダンス界が習い事ビジネスで回っているので、仕方ない現実とはいえ

自分の踊り方をただ真似出来ればOK…だとしたら、先生のコピーしか出来ないでしょう

上達への道筋や生徒それぞれの体質・気質を見立てつつ、ダンスの本質を伝え、生徒自身の個性に気付かせる(引き出す)のがコーチングです!

マインドがプレイヤーのままの指導者はどうしても、「自分」が主役になるはずで…

だからヒステリックに怒る指導者がいたり…

ダンスが好きなのに、環境が嫌で辞めてしまう多くの原因は、指導者との相性です

特に「教祖タイプ」の先生では、生徒を主役に出来ません!

上達を目的としないスクールならアリだけど、上達させたいなら…

意識を「教祖」でなく「伴走者」に変革すべき

ただ…依存心が強い=自分の正解を見つけられない「羊」タイプの生徒も一定数存在していて

指導者に引っ張って欲しい…という気持ちが出るんですね

教祖タイプと羊タイプは本当に相性抜群で共依存の完成🤭
その結果「村社会スクール」になってしまい、新しい人が入りにくい空気の結界も出来てしまうという…

羊タイプは先生の寵愛を受けることが生き甲斐なので、才能ある新人に意地悪したり…
(ダンスの本質と無関係…🤭)

羊になれない「肉食系」は、そこに収まらないから…
結局教祖や羊とぶつかり、そのスクールから抜けることになるのが世の現実

ちなみに教祖タイプの共通点は🔽
○生徒の目線に降りないこと
○生徒の囲い込みをすること
○「貴方の為に」と言いつつ「自分の為」という発言多発
…ですね

ダンス指導における関係性は
🔽🔽🔽
⭐️師匠と弟子(伝統芸能など一子相伝的教育は、これが正解)
⭐️先生と生徒(一般的な芸事をライフワークとして学ぶ)
⭐️インストラクターとお客様(あくまでサービスを提供する側と、受ける側)
🔼🔼🔼
に分けられるので、関係性を如何に間違えないか…が大切です

③メソッドで考えるべきこと

ダンスの様々なメソッドには、それぞれの良さがありますが、目的に応じた選択が必要です

整体などでも、体質を大別するメソッドには🔽
○野口整体(体癖)
○しん相
○四代体質別理論
○4スタンス理論
など様々な流派があり、どれも素晴らしいけれど…
完璧なメソッドなど存在しないし、医学も現在発展途上の段階

解剖学だって死体を解剖したデータなので、生体の本質が100%解明されたわけではありませんから…

一つの理論だけで全てを行おうとしたら、現実的な無理や論理の破綻にぶつかります

「○○さんは△△タイプだから…⬜︎⬜︎の動きも、△△にしたら動きやすい」
という論理は、一見理に適っていますよね?

しかしもし群舞の振付が⬜︎⬜︎の動きだった場合…△△で動いたら調和を崩すわけで、メンバーから外されるでしょう

ソロもしくは自由度の高い即興ダンスなら良いけれど…

そうでないなら…
振付家のニュアンスを表現すべきなので、身勝手に△△の動きをするのは御法度です
(プロなら失格!)

映画やドラマの台本で、共通語のセリフを「私は関西弁の方が話しやすいから…」と勝手にセリフを変える様なもの

作品を壊すことになりかねません(それ以前に降ろされ干されます!)

ブロードウェイミュージカルの名作の振付など…そもそもアレンジ不可のものも多いですからね!

ゴールが⬜︎⬜︎なら、△△をどう⬜︎⬜︎な動きに変容させるか?が重要ポイントです

△△のカラダでどうしたら⬜︎⬜︎の動きをきちんと踊れる様にするか?が、体質別メソッドの落とし穴を防ぐことになるわけで…
これはそのまま上達への道筋と言えるでしょう

出来ないを出来るにするには、体質に合わないことを、自分の中で折り合いをつける事が必要不可欠なのです

話しが少し脱線しますが

私の友人の詠春拳・ジークンドー指導者のYさんは

股関節外旋・骨盤前傾優位のタイプの男性
アメリカで20年詠春拳やジークンドーの修行をして10年くらい前に帰国しました

詠春拳の基本型「シーナムタオ」の動きは大腿骨内旋・骨盤後傾です

つまりYさんは体質的に合っていないわけで…

しかし彼は詠春拳の達人に住み込みの内弟子となり(逃げられない環境➕その達人の技に心酔していた為)、骨格に合わなかろうと工夫と努力で克服して指導者になったのです

現在は指導者として、様々なタイプに指導されています

武術はカタチに意味があるわけで(金的を守るとか)
ダンスも同様に偏りの無い思考が肝心ということですね!

メソッドのことを掘っていけば、バレエと関係無いフィットネス関係者が「バーオソル」「ポルドブラ」などという、バレエ用語を商標登録して騒がれたこともあって、問題はややこしいのですが…ここでは触れません

④生徒の親の問題

これはバレエやキッズダンスに言えることですが…
親の理解というのも大きな問題です

ダンスを何の為に習わせるのか…

体力作りや体型作り?
友達作りやコミュ力?

親の願望の押し付けは論外なので、ここでは語らないけど

親がダンスを知らない場合…子供が何故ダンスを習いいたいかをきちんと理解するのが大切です

子供はダンスを楽しみたいだけなのに…

やたらとコンクールやコンテストに出させて、親の財布から金を引っ張ろうというスクール経営者もいますから

無理矢理コンクールに出さされて、自分のペースでレッスン出来ない上…

追い詰められて結果も出なければ、ダンスを嫌いになるでしょう

これは指導者が勧めるケースだけでなく…

親が「どうせ習わせるからには!」と気合いを入れて、楽しみたいだけの子供をコンクールに無理矢理参加させて、ハッパを掛けるのも問題

本人にとってはマイナスしかありません

ダンスが嫌いになるだけでなく、親への不信感も生まれるでしょうね

コンペティションに特化した〈クラブチーム的ダンススクール〉は、特にアメリカにはたくさんあって…
日本でもそれを目指すスクールもちらほら

しかし…賞を取ったその先は?

海外はダンスの市場が大きいし…歌手のMV・PVやブロードウェイなどのメジャーステージや

バレエもスカラーシップなど、次の世界への扉がありますね
つまりコンクールはプラットフォームということ

しかし日本のコンクールは?スタートではなくて、むしろゴールというか…

コンクールで賞を取ったその先の世界も無いに等しいし、賞金なんて雀の涙程度です

だからコンクールやコンテストが承認欲求ビジネスとして、最近では大人バレエのコンクールまで盛んに行われる現実(ビジネスとしては間違いではありませんが…)

子供にダンスやバレエを習わせる▶️
どうせお金を掛けるなら見える対価を得たい▶️
だから子供にコンクールで賞を取らせたい▶️
そんな親の心理に訴えて、集客するスクールもありますね

そこまで極端でなくとも、スクールや教室にサービス業を求める親は、子供の衣装の直しすらしないとか…発表会に非協力的だったりというスクールもあるようです

地域性もあると想うけど、それだけダンスに対する価値観の違いがあるわけで…

スクールの方針と子供の気持ち、親の意識が合うかどうか?が大切ではないでしょうか

私は振付デビュー作が1993年4月開催の、フジテレビ主催LIVE UFO'93ダンスコンテスト(K1グランプリも、このイベントからスタートしましたね)

私は踊らずに、生徒や後輩ダンサーだけで構成したチームで私の初の振付作品が「最優秀ダンス賞」を受賞しました!

これが振付家デビューで、ちょうど31年経ちましたね

200万円の賞金は山分けしました

上手い子ばかりじゃないけれと…結束して取り組めたのが、結果に表れたと想っています

やりたい子だけで構成したから良い結果になったわけで…
賞金以上に結束や経験が1番の収穫でしたね!

どんな有名スクールでも…
無理にやらされるモチベーションなら、コンクールでも良い結果にはならないはず

ダンスを習わせたいのなら、コンクール云々より、子供が何故ダンスをやりたいのか?

この動機こそが最重要!
そこを外さなければ、楽しんで継続することが可能になります

そもそもダンスは古代から生活と共にある芸術活動…

何かを得る為の手段でなく…
踊ることそのものの価値を、再認識してもらえる様な、そんな働きかけをしていきたいですね

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