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静寂の歌 あとがき


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 ここまで、長い文章におつきあいいただき、誠にありがとうございました。
「逢魔伝」「天地伝」と、読了されている方は、ますます、小さなところの仕掛けなんかに、面白みを感じていただけたのではないか、と思っています。
「静寂の歌」の中では、「天地伝」で姿を消したはずのタイマ、らしき人物が出てきましたが、お気づきの方も多くいたかと思います。
しかし、私的にあれは、「天地伝」を生きていたタイマでも無ければ、黄泉の世界を生きていた天狗のタイマでもない、また、現世を生き、死んだ後の一人の異形として、描いておりました。
とは言え、八枯れの記憶や、赤也、登紀子の記憶が無い訳では無い、それこそ、「静寂の歌」という「名前のない欲望」を体現しているかのような、そんな人物像になっていたら、いいなあ、とは思います。
過去を知っているし、未来はない。だけど、化け物として、生きている。そういう生物は、基本的に退屈な時間軸を生きている。
そのため、赤也の精神世界に現れては、からかい、時に退屈を紛らわしていたのかもしれませんね。

 番外編に関しては、本編とは違った意味で、乾いているイメージを付与して、書かせていただいています。
現代の奇妙な乾き。冷たさ。その裏にある異様な執着と憤怒。
赤也は、「逢魔伝」の昭和の時期から、平成を駆け抜け、現在の令和に生きる一人の人間であり、時代の分岐点に立ち続ける人物として抽出されています。
 そのため、如何せん、まだ熱量が温かいのですが、「静寂の歌」の時代はいよいよ、令和という少し乾いた世界につながっています。
 現在、同時並行で掲載しております「筆の森」は、まさにそこから更に先へ向かい、次回作である「紅筆伝」では、赤也の娘「坂島真子」と、「タチバナ」という、二人の少女を主人公にし、八枯れや赤也はそのサポート役へと回りながら、新しい次世代を描いてゆこうと、構想中でございます。

 その中で、明治の終わりから大正時代「天地伝」、昭和から平成の「逢魔伝」、そして令和から先の時代(未来)「紅筆伝」にて、本編の時間軸は完成を迎えますが、個々のキャラクター達による、様々な時間軸も、一緒に描いてゆこうと、思っております。
 縦にも、横にも、斜めにも、縦横無尽に「逢魔」ワールドは広がり、一つの小宇宙を描き出せたら、良いほうかなー、と思っております。
 もちろん、読者様あっての作品でございますので、皆さんに楽しんでいただける作品を今後も作り続けてゆこうと、思っておりますので、引き続き、よろしくお願い申し上げます。
 第一次の企画は、年内で終わりますが、第二次企画を、年明けから開催予定しておりますので、今回の作品から「はじめまして」の方も、今までの方も、奮ってご参加いただけたら、幸い至極にございます。

親愛なる読者様、作者様方々へ愛をこめて。


第一次企画→「小説の挿絵募集します。」令和4年12月31日23時59分まで。

第二次企画→「続・小説の挿絵募集します。」年明けより開催予定。


当麻 あい

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