ペット・ショップ・ボーイズ（この世を離れて）　　川柳77句

とり・みきの言語でかたりだすゆべし

豚に乳ふくませ映画未完なり

櫻子のあまったものにカフカの忌

ビフテキに零戦という涯てがある

脳をゆくフォン・ノイマンの紫電改

いかづちやつぶれる和風バイキング

盗癖のエルヴィスとかす多胡教授

つちのこと愛撫されあう夏時間

線審をかりあげクンの部屋に留め

ひまわりに雨の現代棄民考

野犬学Ａ子のありかときあかし

いっさいのニコラ・テスラの卸売り

七階にモグラロボットおいて去る

速記者がいきなりちがう青ずきん

黒バナナ原始仏教わしづかむ

逆鉾のたつ月面に蟻地獄

珍犬をボブチャンチンがすててきた

区費の名がくりかえされる犬ヶ島

手記にない亜鉛をつかうパイレーツ

サラダ屋の両のとなりに孔子廟

排外のはげしいレタスおいてゆく

猿人の世界における堀辰雄

土管なりひとつのものと心理学

〆鯖をあしたもジョーがふりはらう

プレステのえいえんに描く燕雀図

ひが大の夏のコントの工作者

伊集院静がふいに焼く土管

カフカ忌のむすんでひらく医者の村

鯖を煮る時間と自己のものがたり

円谷のサンダルをぬぐ新皇居

ミサイルも総集編にふりそそぐ

ノゲイラをつつみそこねる母娘百合

炎帝に言語あたえる猿の脳

江戸城をモスバーガーにむしかえす

サボテンを剃って天皇機関説

すべすべのシカゴ・ブルズに異端の書

麦を溜めこの世すべての寺を焼く

現実の石段のぼる戸川純

北国に献血場というサンバ

砲丸が熟さなかった味噌企業

辞書派らのつぎつぎひらくダウジング

圓楽のきぬがやぶれる能記所記

ビル爆破金魚の死んだ金魚鉢

措辞としてホテルオークラとり外す

すくわれよ八と二分ノ一ノ会

真景に海老がたっするまで念波

梅雨のまえ念波の鉄にかたらせる

小京都ミサイル菩薩かがやけば

蠱毒して糸かんてんがのびてゆく

偽バレーボールのせいで雹がふる

かなづちをおろすところに金田一

死の家にメンズビューティーサロンなし

ラッパーが美文をものす不壊の午後

御三家のかたちに靴をはきつぶす

体内に意味なし県の蛇を飼う

過呼吸がつづくにんにく物語

厭戦の意味からチーズバーガーズ

裏番が電源なくすフラフープ

人類に今しも出あうやまといも

叔父として漱石ねむる全宇宙

この駄句を駄句とおもえば長良川

描写では花火教師にめりけん粉

こしあんを変型ビルにもらうだけ

六月の弥勒金髪なびかせて

壁小屋に電波のひとがあがりこむ

廣末をまつるスージー甘金忌

サバゲーに麩の本質をつかみとる

遺伝子に涯てありにけり竹書房

ロッキーのテーマに揚がるきつねいも

猿股を過剰改造する文枝

忌と日と時ひとくくりする時と日と忌

父の名にコルトレーンの蒸した麺

父の名をウッソ・エヴィンが書きつらね

副詞なきミコの現代民話集

セルゲイがかんぬき外すまでの他者

夢の島たたずむ他力本願者

犬捨ててほんきの地球構造図

#川柳 #エンターテインメント #短詩 #詩歌 #文芸 #創作 #鯖 #サバゲー #ウッソエヴィン #犬