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大停電の夜に

ゆうべ、突然にそれはやってきた。

夕食を終えて、それぞれが椅子に床にベッドにと腰を下ろし

私はといえば

面倒な食器洗いがもう一息で、あとは泡を流すだけ、

と、その時。


この記事は墨字書家・五輪さんの企画
ことばの森図書館の「夏休みこども企画」に参加しています



大きな照明が突然消えた

かと思えば

テレビが消え、扇風機が消え、最後に洗い場の蛍光灯が

カリッ、プチンと

控えめな音を立て、リビングは真っ暗になった。


幸い、食後に飲もうよ

とコーヒーの湯を沸かしていたので

ガスの光を頼りに非常用のランタンを探し出し

とりあえずの明かりを頼りに情報収集を始めた。

近所も同じく停電で、

わらわらと各々の家から出てきて無事を確かめ合うと

前日に載せた我が家のソーラーパネルを話題に

いざというときはゆうのうえんさんちに集まればいいんだなどと

冗談を交わしたり

子供たちは子供達同士で

初めての停電にはしゃぎまわったりしていた。


私は私で夫が以前海外出張の土産に買ってきたアロマキャンドルに

「臭いなこれ」

と言いながら火を灯して皿洗いを終えた。


洗い流しながら漂い始めたのは

電気のない生活の

なんともいえない「まったり感」だった。


小1の息子は初めての停電に興奮していたが、

じょじょに落ち着きを取り戻していた。

そして不意に取り出した

一枚の紙きれ。


ランタンを台に載せると

何やら描き始めた。


壁に寄り掛かりながらそれを見守る。


1枚、2枚、3枚・・・・と、どんどん描く。


「お母さん、紙もう1枚切って」


スケッチブックを切り取ってやると嬉々としてまた描き続ける。


ランタンの灯りは明るいけれど

息子の楽しげな姿は

ランタンの灯りよりも明るく

何より

息子自体が輝いてみえた。


停電がくれた真っ暗闇に

私は、自分の中にある希望の光を再確認できたのである。


まったりと

好きなことに没頭すること。

こういう豊かな時間を

初めて家族と共有できた気がする。


とはいえ読書していた私もだんだん手持ち無沙汰になり

まだ続くのかな。

お風呂今日は諦めようかな。

なんて先の心配がポツポツと芽吹き始め、

近くに住む友達に「こっち停電なんだけどそっちは大丈夫?」

なんてメールを送ろうとした時

またも突然に光が戻ってきた。


正味1時間の大停電。

暑い夜で、

冷蔵庫のアイスが食べたいけれど

食べると冷気が逃げるから開けらない。あぁ暑い、暑い。

と念仏のように繰り返していた夫は

「やっぱり電気がある生活はサイコー!!」と

元気に息を吹き返し、

一方で

煌々と照るライトに目を細めながら

ずんずん描いた紙の束を満足そうに眺める子ども。


いろんな価値感が混雑して

ぶつかったり皮肉を言ったりする家族だけど

そういう人たちと共に暮らす面白さ。


また大停電がやってきても

この人たちといれば豊かな気持ちは保てるだろう。

そして

楽しみを生み出せることは

なんと頼もしいことだろう。


そんなふうに思った夜でした。

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(戦隊モノ大好きなのですが、キャラクターは期せずして
 ゴーヤ、ブドウ、スイカなどなど野菜の名を冠していました)
 

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ことばの森図書館の「夏休みこども企画」締め切りは9月10日!

テーマは下記の通り!!

夏休みの宿題の「絵」や「工作」、「絵本」「読書感想文」「絵日記」「マンガ」の他、宿題と関係ない創作に関わるもの、かーちゃんのために作った「ランチ」「夕飯」「朝食」「おやつ」など・・・

マンマと慕う五輪さんが褒め褒めしてくれるそうですーー😍
皆様もぜひ、この夏の思い出を記録しておきませんか??


・・・・・・・・・・・追記・・・・・・・・・・

商売好きの息子、

今朝おばあちゃんに

880円付録付き

を強調して売りつけていました。😂










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