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掌編小説

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【無料マガジン】 私の書いた掌編小説を収録していきます。
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2020年7月の記事一覧

赤ワイン

赤ワイン

 山の手の人間が下々の生活に疎いとは言っても、こんな路地裏に在るようなうらびれた酒場の卓上へ大金袋を無造作に出すなんていうのは、あまりに軽率過ぎる行為だ。そうでなくても、この安酒提供場には臑に傷をもつような輩が平然と出入りしているのだから。人目に留まらぬ奥隅の席へ陣取っているとはいえ、気が気ではない。

 私は目の前に差し出された報酬を、そそくさと隠すように懐へと仕舞い込んだ。
「それで、御話を聞

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徳禅和尚が殴られるわけ

徳禅和尚が殴られるわけ

 えぇ、神様仏様に誓って言いますがね?

 あっしぁ、暴力沙汰が嫌いな性分なんでさぁ。そんなもんだから、生まれてこのかた、人様と殴りあいの喧嘩なんざぁした事もねぇんですよ。
 腕っ節に自信がないわけじゃありやせんぜ?
 こう見えても、大工仕事なんぞをしておりやすから、そりゃもう、腕力にはそんじょそこらの野郎共にも負けない自信はありやすとも。
 けどね、喧嘩はいけねぇ!
 近所の寺に〝徳禅和尚〟って

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