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詩)高架の地下鉄

夕暮れの地下鉄は
なぜだか高架を走っている
改札抜けて君が見えたから
少しだけ早足で

久しぶりな気がしないねと
照れ笑いに見えた

手に入らないことの価値提げて
ケーキの上の蝋燭吹き消した
電話がなった

あの時君の告白に
首を縦に振って
浅瀬で傷つけあえたら
どんなにか最高だったろうな

今から君の手を取り
首を傾けこのまま
波間に船を浮かべては
傷つける最低な夜だよな

欲しい言葉だけ
摘みとって しまった

酔いどれの地下鉄は
なぜだか高架を下っている
トンネル潜って平坦になったら
少しだけ横を見て

もう二度と会わない気がした
一生忘れないと

触れずに逸れた指 誤魔化して
ラベンダー色のマフラーを巻いた
明かりを戻そう

あの時君の手を取り
走り出していたのなら
未来は寄せては返す
泡沫の夢にできぬまま


あの時君の告白に
首を縦に振って
浅瀬で傷つけあえたら
どんなにか最高だったろうな

明るさが変わった
もうすぐ夜の出口

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