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512○ 仮想の席

「仮想の席」

後は神頼みという
万事休すの場面を迎えた
全身から吹き出る凍る汗と
この後の無限なる時間に
身を任せ命預けた僅かな安堵
しかしてそう簡単には
神は許してなどくれない
人には持ち時間があって
それを知るのは決まって終わる時
私は願った
まだここにいたい執着と
まだ終わるわけにはいかない漠然が
私の中を埋め尽くしていた
願いを聞いてくれることはないと
特等席など二度はないと分かった
既に私はその椅子に座りながら
場面を夢想している
私たちは何を見てきたのだろうか
理は猿芝居とでも
言うべきなのだろうか

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NAKAJI

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