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549○ 星の住人



「星の住人」

待ち焦がれていた歳月がとうとう実現する時がやってくる。本当に現実であるのかという問いとなくていい疑問を拵えて、まさに浮き足立つ数日間。とうとう目にしたその瞬間から、どばああああと流れてくる夢のような光。全く混じり得なかった「しばらくの間」は完全に重なり、まるで星の周期にそっくりだった。私たちは星である。間近で見るとお世辞ににも美しくない様相であるし、飾り立てることで騙すことを覚えたから。光は目で見れるものではなく、その人のもたらす行いが錯覚させるのである。あの夏の最中、私はどこかの島に居て、夜空の星を眺めていた。海のさざめきが止まない側の砂浜で、空間に体を預けながら手を伸ばしていた。掴めなかった星は目の前にあった。緑の蛍光たちがそこら辺りを舞う。ゆらゆらとまとわるように。高い空と目前と体内の光が交差した瞬間だった。

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NAKAJI

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