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496○ 昔の話

「昔の話」

昔の話が今も残っている
覚えたはずはないのに
必然という、特別な箱に入れて
大事に仕舞っているのである
迷惑な砂埃を巻き上げて
少しでも早く進もうとする人間たち
足元の出っ張りに足を取られて
走れなくなった者が忘れた
懐かしく柔らかい過去が
泣きながら空へ消えていく傍ら
燦然と佇む会話が
私には今のように聞こえる
語り継ぐというなど
大袈裟ではなく
時代の呼吸を聞いていたこと
真実を忘れないように
私であることを忘れないように

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なかじ

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