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おやすみ、


画質の悪いきみの携帯電話。
写真を撮るのが下手だからと、たまにしか写真を撮ってくれないし、照れ隠しみたいにその手を止めるから、嬉しさと寂しさが入り混じる。


ヒビ割れたって構わなかった。


今が1番幸せだよねって朝日が登りきった後におやすみのキスをする。
眠りに落ちる最後の瞬きまで、きみの鼓動と体温を感じていたい。


朝方の心地よい風と、じんわりと滲む夏の後ろ姿。
瞳の奥に私だけを捉えて離さないきみを、銀河で1番愛してる。


木漏れ日だけを拾い集めて、これが優しさだと叫んだ夏。
ひとりぼっちでも大丈夫だよ、って笑えるように鏡の前で何度も練習をした。
きみはそんな私を知らないでいて。


きみがいなくても生きていけるよ、
でもきみがいないと、この世界から好きな色が10も消えてしまった気分になるから、どうかきみは私だけを見つめていて。


本当は全部知ってたのにさ、私のは本当に愛なんだって言い聞かせて、都合の悪い記憶を消しゴムで必死に擦った夜。


悲しくないよ、本当だよ。
泣いてなんかないよ、だから笑ってよ。
きみが悲しそうな顔したら、私が泣けなくなっちゃうじゃない。
なんでいつもきみの方が傷ついた顔をしているの?



ひとの心をなんとも思わないような天使に、なりたかった。
そしたらバイバイした後の朝だって、ひとりでぐっすり眠れそうなのに。


たったひとつの言葉で、きみの心を粉々にしたり、きみを真っ黒に塗りつぶしたり、そんな美しい夢ばかりを見ている。


うそだよ。きみには幸せでいてほしい。


愛にも消費期限があるらしいって知ったのは、もう随分と前のこと。
ロウソクの火みたいに少しの息で揺らいで、
綺麗だね、あったかいね、寂しいね。


でも大丈夫だよ、きみが揺らがない限り、私はここにいるからね。
忘れっぽい私は、またひとりぼっちになったとき、全部忘れちゃうから生きていけるんだ。
空っぽの方がちゃんと立ってられるから。


私はやっぱり夜が怖い。
こっちへおいでと手招きされる度に、隠れていた私がひとりずつ死んでいく。


綺麗な赤だね。

おやすみ、あいしてるよ。

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