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海外生活 ❃ 在外邦人の私が目から鱗な日本の魅力に気付いた瞬間

自分の周りには海外旅行に行ったり、海外に移住する人があまり多くないのもあって、よく「海外から見た日本の魅力って何がある?」と聞かれます。

この記事をこれから読んでくれる日本人のみなさんは、どのような魅力が思いつくでしょうか?

よく訪日外国人が口にしていたことは、街中にゴミ箱が設置されていないのにすごく綺麗だということ、トイレのウォシュレット機能が充実していること、日本人たちが礼儀正しいということなどですが、私は日本を離れて生活している期間が5年近くあるので、在外邦人ならではの視点でいくつかの魅力を紹介していきたいと思います。


在外邦人が感じる日本の魅力4選


Four Seasons - 四季 -

私は現在マレーシアに住んでいるのですが、こちらは常夏なので、自分が今1年のどこにいるのか見失うことが多くなりました。
これは意外かもしれませんが、365日通じて日本に住んだことがあり、同様に同じだけの年月を日本の外で暮らしたことがある人しか気付けないポイントだなあと思います。

毎年、ハロウィンが終わるとクリスマスにお正月、と街のデコレーションがめまぐるしく変わってしまうのはマレーシアも同じなのですが、春風が肌を撫でる感じとか、風に運ばれてくる金木犀の香りとか、五感で感じる季節感というのがなくなってしまうと、年の瀬感全くなくてあまり気持ちの切り替えができなくなりました。

それに、過去を連想する際に「あの時、○○さんおしゃれなグリーンのマフラーしてたよな」などと、それが夏だったのか冬だったのか、ざっくりといつ頃の出来事だったのかを思い出すための有益材料だった要素が、四季がなくなることで全くアテにならなくなってしまったことも痛感しています。

日本には季節が4つあるからこそ、ファッションや旬の食材、アウトドアスポーツなど、シーズナルに楽しめるもののジャンルも比例して豊富にあるのだなと気づき、これは日本らしさや日本での娯楽を誇張する最大の魅力だなと思っています。

Bath culture - お風呂文化 -

ヨーロッパでは、お風呂は身体をきれいにする衛生習慣のひとつで、それをリラクゼーションとして楽しむ日本人は文化人だなあと思います。

大人になると、入浴は疲労回復や美容目的だったりが主流ではあると思うのですが、少し視点を変えてみると、日本人にとってのお風呂は「家族時間」でもあるなと気づきました。

湯船に浸かりながら、働きながら子育てしていた母と一緒に数を数えたり、今日はどんな一日だったかを話したりと、日本人として、幼少期を日本で過ごした私にとっては尊い時間であったなあと記憶しています。

湯船に浸かる習慣のない東南アジアの人たちにとって「家族時間」とはどんな時間なのか、私にはまだよくわかりません。
大人になってからも懐かしく思い返したり、自分が親の立場になった時に引き継いでいきたい日常の習慣としてどんな時間を大事にしているのか。

もしかすると、日本人と比べて「お風呂」という限定した短い時間よりも長く家族みんなで過ごす時間が長いだけなのかもしれません。

Food culture - 食文化 -

日本に限らずアジア諸国は特に、それぞれの国がそれぞれのソウルフードに誇りを持っていると言っても過言ではないでしょう。
私が現在住んでいる、3つの異なる民族・宗教が共存するマレーシアにおいて、「食」は彼らマレーシア人のルーツ毎に隔たれた壁を越えて、唯一互いに共有できるものであるということをマレーシア人から聞いて、ハッとしました。
なぜなら、逆に言えばマレーシアでの娯楽は「食べること」しかないからです。

インスタやTwitterのマレーシア在住日本人の投稿の9割が食べ物であることがその事実を裏付けていると思ってます(笑)
が、私たち日本人ももともと「食べること」が大好きな人種でもありましたね!

また、「日本食」の芸術的かつ繊細なヴィジュアルと味付けの素晴らしさはもちろんのこと、日本国内で食べることができる外国食がたくさんあることも、日本を離れて生活してみて初めて気が付きました。

イタリアにあるレストランはほぼほぼイタリア料理だし、マレーシアにある西洋料理はクオリティが高いものはあまりなく、ハラルはあってもヴィーガン・ベジタリアンオプションも少ない。

日本という国は他国に比べて移民の数は少ないのに、いろんな国の食文化が輸入されていて、それを日本の人たちが何ら自然に受け入れて楽しんでいるというバラエティに富んだ食生活は日本を離れると少し恋しく感じます。

Literature & Anime - 文学とアニメ -

日本人は本当に文化人だと思います。まず、海外と比較した時に、日本国内の書店の数と店舗の広さに驚かせられます。デジタル化が進むこの時代、年賀状は出さなくなっても、紙の本でわざわざ活字を読む人たちは若い世代にも多いです。

マレーシアにも紀伊國屋や蔦屋があるんですが、そもそもマレーシアで扱われている書籍の数は日本と比べてもかなり少ない。
その理由として、文化的背景の他に国民の識字率にあるのだと思います。

マレーシアは、大きく分けるとマレー語・中国語・英語が主な公用語なのですが、現地学校教育では読み書きのクラスを受講しないという選択肢があると聞いてぶったまげました。
中国語話者が漢字を読めないなんて、サッカー選手がボールの蹴り方を知らないのと同じではないか!!
それでも、日常生活や仕事において不自由がないのだから別にいいじゃないの、という価値観で収まるあたりがマレーシア人らしいというか、私たち日本人が逆に文化的なのだろうと思います。

これからさらにデジタル化が進んだとしても、本を愛する人たちが絶えないのは、日本人が日本語の美しさを知っていて、その文化を衰えさせないように意識的に維持しているからなのだろうなあ。

また、アートとしてだけでなく、ストーリー性としてクオリティーの高いアニメや漫画カルチャーを幼少期からずっと身近に感じられるライフスタイルが根付いていることから、良くも悪くもアニメを通じて得る情報や教養・知識・価値観などが多いと感じます。こういった娯楽があることで、知見を広げるきっかけになるし、表現の手段が増えるなと思いました。


まだ他にも小さな魅力はたくさんあるけれど、主にユニークかつ私なりの視点で絞り出せたのはこの4つです。

海外経験があると比較対象が生まれるので、今まで疑問を感じてこなかったことが不思議だなと感じるようになったり、常識だと思っていたことがあっという間に覆されてしまったりする機会が増えるので、そういった意味で視野が広がるということはあると思います。

日本はまだまだ閉鎖的な国なので、こういう視点を持てるということは、例えば今までAしかないと思っていたことでも、Bというオプションもありだなぁと考えやすくなるんじゃないかとも感じています。

海外での一例を話題に出すと「ここは日本だから」だとか「海外にかぶれてるね」などと言う人たちもいますが、そういったリアクションがまさに日本人らしいというか、そういうことを言っているわけではないのになぁと建設的な会話ができないことを残念に感じることもあったります。

昔、タレントのYOUさんが「自分より若い子たちと話す時は、例え彼女たちが嬉しそうに話すことをとっくに知っていたとしても、"へぇ!そうなんだ!"と知らないふりをしている」とテレビで話していましたが、YOUさんのように既存の知識や、先入観に囚われることなく、誰かの話を一旦はキャッチすることを大切にしながら、これからも異文化について学んでいきたいと思います。


#nowplaying

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