見出し画像

今日会いに行きたい!気になる土偶#038新潟県立歴史博物館

「人魚のミイラ」は作りものだった…。

今月7日に倉敷芸術科学大学のチームなどが、岡山県浅口市の寺院に伝わる「人魚のミイラ」をCT検査などをした結果、19世紀後半に綿や魚の皮などで作られたものであったと、発表。
「人形干物」の書き付けと共に保存していた寺院では、これからも大事に守っていきたいとコメントしています。

毎日新聞デジタルから抜粋

このところ心が痛むニュースが多い中で、
ちょっとほのぼのさせられるお話ですよね。
なるほど、ふむふむ、と納得の調査結果。

人魚って伝説でしょ?
と言ってしまえばにべもありませんが、
どこかで少し信じたい、信じさせてよ~、という思いがありますよね。
河童や宇宙人などなど、いたらいいなぁなんて。
〝謎の飛行物体が出現〟なんて見出しがあると、
何、なに!と思わず身を乗り出してしまったり。

そんなことも裏を返せば〝眉唾もの〟的なニュアンスに。
残念なことに今の世の中(古今東西でしょうか)、
こちらの方が多いような気もしますね。

その〝眉唾もの〟では?と、
昨秋から疑いを持って見ていた土偶がいまして。
(今となっては私の思い込みなのですが)

右側がその土偶です。

新潟県立歴史博物館

瑪瑙象嵌めのうぞうがん土偶」と表記され、体に瑪瑙めのうを埋め込んでいる縄文晩期の土偶です。
象嵌ぞうがんは「かたどる」、は「はめる」と言う意味で、貝殻や木片、金属や石等々をはめ込んだ工芸品を表します。

では、いっったいどこを疑わしいと思ったのか?

それは、縄文時代に象嵌ぞうがんの技術はまだ無かった、と思っていたことにあります。
今までに見てきた縄文時代の遺物や博物館の説明に、この象嵌ぞうがんの2文字は全く登場せず、書籍などでも目にしたことは無し。

今となっては、見落としていたかも…と自信がないのですが。

そして日本に象嵌ぞうがんされた工芸品が登場するのは、「古墳時代の副葬品」で、それも渡来人の手によるもの、と思っていたのでした。

でした。と、過去形なのは、先週この耳飾りを見たから。

縄文時代の象嵌ぞうがん発見!

千葉市埋蔵文化財センターにて

約4,500年前の縄文時代中期の千葉県月ノ木貝塚から、象嵌ぞうがんされた耳飾が出土していたのです。

しかも約4,500年前ということは、日本オリジナルということ⁉
象嵌ぞうがんは、大陸から朝鮮半島を経て伝わった技術ではないということでしょうか?

そんなことで、怪しい目を向けていた瑪瑙象嵌めのうぞうがん土偶」は、一気に縄文晩期の素晴らしい造形物に変わったのでした。

よくよく考えると、
博物館で怪しげなものを展示することはないですよね。
博物館の皆さま、大変申し訳ありませんでした。
猛省しております。

それにしても、大きな粒の瑪瑙めのうをこんなに埋め込んだ土偶とは、実に贅沢な品ですよね。
きっと特別な意味を持った土偶であったのでしょうね。

「人魚のミイラ」ですが、
江戸時代以降に多く作られたそうで、国内では10数体が確認されているとのことです。(海外にも渡っているそうです)
お寺で人魚に祈ることとは、どんなことなのかしら?
こちらも気になりますね。

*参考資料
・歴史編 日本美術史  山下裕二・高岸輝 監修  美術出版社
・縄文土偶ガイドブック 三上徹也 著 新泉社

最後までお読みいただき有難うございました☆彡

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?