のんてり

縄文時代の土偶が大好きです。年間数十の遺跡、博物館を訪ね歩き、また考古講座等で理解を深…

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縄文時代の土偶が大好きです。年間数十の遺跡、博物館を訪ね歩き、また考古講座等で理解を深めています。多くの方に土偶や縄文時代を楽しんでいただけるような記事を目指しています。 ゼネコン勤務→インテリアコーディネーター→現在、土偶・縄文時代を知っていただく方法を模索中です。

マガジン

  • 縄文のおはなし

    不思議な縄文時代のあれこれ… 土偶にこめられた縄文人の気持ちや祈りや、縄文時代の暮らしの様子などを知っていただけたら嬉しいです。

  • 今日会いに行きたい!気になる土偶

    博物館や資料館で出会った数多くの土偶たち。その中で、あまり表舞台にでることのない土偶を紹介しています。 一見何の変哲もない土偶に見えて案外面白い秘密を持っていたり、本当に土偶なの?と思えるような形のものなど、多くの人に土偶の魅力を知っていただけるように紹介していきたいと思っています。

  • 縄文とその周辺

    縄文土器や土偶などの縄文時代に関連したアレコレや、博物館や企画展などの情報の記事です。少しだけ弥生や古墳のお話も。

  • 縄文旅

    縄文の足跡を追って各地を旅しています。「その土地土地の縄文時代」を歩いて、見て、感じて…と訪れることで初めて知る、各地の縄文文化をお伝えしています。

  • 縄文も楽しむ!とっておきの街歩き

    『縄文』と聞くと〝考古学〟というどこか堅苦しいイメージが先行して、なんか難しそう…と敬遠気味の人も多いのではないでしょうか。 そんなイメージの縄文時代に生まれた土器や土偶ですが、まぎれもなく私たちの祖先が作った日本で最初のアート作品です。 まず何千年も経て出会えた偶然を喜び、他のアートと同じように楽しんでみませんか? 街を歩き、アートにまつわるあれこれを感じる…いにしえの人々に思いを馳せ、なにか心に優しい気持ちが灯る、そんな緩やかにアートに包まれるお散歩の提案です。

最近の記事

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透明なキラキラに心は踊らない?

「2492カラットのダイヤモンドが発掘された」 史上2番目の大きさのダイヤモンドの原石が、アフリカのボツアナで発掘されたとのニュース。 手の平をすっぽりを覆う大きさの映像に、指輪やイヤリングがいくつ作れるのだろう…と思い浮べたのは、きっと私だけではありませんよね。 でも縄文人がそれを見たら…これは良い道具になりそう!と言うだけかもしれません。 こんなにも美しく輝く黒曜石 日本各地の縄文遺跡から出土する黒曜石。 光輝く黒い塊は、既に旧石器時代から広く知られていました。 そ

    • 縄文人は化石を見て何を思う?

      「この発想はどこから生まれたのだろう」 縄文土器のたとえようのない文様に、いつも首を傾げるばかりです。 天空の太陽や月や星、あるいは大地の山や川、草木や生き物、それらが伝えたいメッセージと融合して形となっていくのでしょうか。 時に博物館で化石を見ると、ひょっとするとこれも縄文土器のモチーフになったのかもしれない、と思ったりするものです。 実際はどうであったのか。もちろん縄文人に聞いてみなければ分かりませんが、彼らが化石を手に取っていたことは確かなようです。 これは縄文時

      • 今日会いに行きたい!気になる土偶#100:湘南の風に吹かれて/神奈川県立歴史博物館

        湘南の爽やかな海風に髪をなびかせ、粘土を手にする縄文人…ちょっと素敵な光景が思い浮かびませんか? 神奈川県藤沢市の「遊行寺」の西側にある遺跡から発見された土偶です。 この「遊行寺」という名称は、箱根駅伝の往路3区・復路8区にある急坂「遊行寺坂」で聞き覚えのある方もいるのではないでしょうか。 その坂を下ってしばらく行くと、相模湾を望む湘南海岸へ行きつきます。 海の恵みを受けた貝塚のある遺跡からは、縄文時代の土偶、土器等の多くの遺物が出土しました。 高さ13センチ。平たい

        • 北海道の「続縄文」の景色が変わりそうなニュースが届きました

          「北海道の歴史に弥生時代はない」ということに、改めて注目が集まりそうです。 津軽海峡からそう遠くない北海道南部の遺跡から、「弥生文化の影響のある多数の土器や石器が出土した」というニュースです。 北海道には独自の時代区分があり、縄文時代の次は「続縄文時代」となり、狩猟・採集を中心とした縄文的生活が続いていたとされています。 今回の発掘から、 「続縄文時代」の北海道南部の人々は東北北部の人々と盛んに交流し、それにより多くの「弥生文化」が津軽海峡を渡り、水田稲作をも伝わっていた

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        記事

          土偶は壊され、何処へ…

          縄文時代の土偶は人形とはいえ、そのほとんどは完全な形で出土することはありません。 焼き物であるので割れやすく、土の重みなどで壊れる可能性もありますが、それにしてはあまりにも「壊れている率」が高すぎるようです。 山梨県の釈迦堂遺跡からは1116点もの土偶が出土していますが、その大部分は顔や腕や脚、胴などバラバラとなって出土しました。 各地から出土する土偶も同様であることから、土偶は「わざと壊した」「壊されるために作った」と、考えられるようになりました。 あちらこちらで聞

          土偶は壊され、何処へ…

          今日会いに行きたい!気になる土偶#099伊勢堂岱縄文館

          どこかにいませんか?こんな人。 ちょっと偉そうな態度の…あの人みたい。 『おどる土偶』川沿いの斜面地にある縄文時代の捨て場(ゴミ捨て場)から発見されました。 高さは14.7㎝。 まっすぐな姿勢で胸を張り、腰に手を当て…と少々横柄な態度。 でも下半身を見てみると、一本だけになってしまった脚で踊っているようにも見えてきます。 一説には「縄文ダンス」を踊っている、と言われています。 手の先はかなり反り返り、その手を腰に当てる。 このようなポーズをする土偶は、北海道から中部高地

          今日会いに行きたい!気になる土偶#099伊勢堂岱縄文館

          小さな展示で壮大なスケール感に浸る『海の人類史-パイオニアたちの100万年』

          東京駅近くの博物館「インターメディアテク」で、日本列島に初めて上陸した私たちの祖先を知る特別展示が開催中です。 海を越えて日本列島へ辿りつき、海の恵みを受けながら営みを始める…それは各地で発見された小さな出土物から知ることができます。 展示の一部、旧石器時代の日本列島人の軌跡を見ていきましょう。 「日本列島の人類史の始まり」 私たちの祖先、ホモ・サピエンスがアフリカで誕生したのは30万年~10万年前。 その後彼らは陸を移動し拡散し、やがて海をも越えていきます。そして遅

          小さな展示で壮大なスケール感に浸る『海の人類史-パイオニアたちの100万年』

          今日会いに行きたい!気になる土偶#098御所野縄文博物館

          人々の「祈り」を知ること… それはその時代の暮らしを知る手がかりにもなるようです。 今日の土偶はちょっと風変わりな場所から出土しました。 通常土偶は住居跡や墓、祭祀場と思われる場所から出土しますが、この土偶が生まれた場所は「粘土採掘抗」。土器や土偶などを作る粘土を採掘したと思われる場所です。 ここは世界遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一つである御所野遺跡。 約800年に渡り繁栄し、多くの竪穴住居や墓、祭祀場を持つこの地域の拠点的なムラでした。 ムラの崖の緩やかな斜

          今日会いに行きたい!気になる土偶#098御所野縄文博物館

          土器作り、あなたは得意or不得意・好きor嫌い

          博物館に並ぶ何千年も前に作られた縄文土器。ため息がでるほど繊細な細工や、創造性あふれる土器が数多く見られます。が、…。 それは偶然から始まった? 最初に作られた縄文土器は、器としての役割そのものが重視されるように、何の文様もなく素地そのままでした。 ある時、縄文人はその器面を飾ることを知ることになります。 まだ乾かない土器の表面に偶然に縄が押し付けられ、縄の跡がついたのです。これが土器に文様が付いた瞬間だった、と言われています。 それを機に、土器に文様を付ける創造的な

          土器作り、あなたは得意or不得意・好きor嫌い

          今日会いに行きたい!気になる土偶 #097伊勢堂岱縄文館

          縄文時代の人形と言えば土偶ですが、それと同時に岩で作った 岩偶も作られていました。 「笑う 岩偶」 微笑んでいるようなユニークな表情の高さ7cmの 岩偶です。 素材は比較的柔らかい石である凝灰岩で、体はなく顔だけが作られました。 祭祀が行われたと思われる場所から、祈りの道具とされる土偶や土器などと一緒に見つかりました。 このことからも、 岩偶は土偶と同じ意味を持つものと考えられるようですが、全国的にもその数は圧倒的に少なく、ここ東北でも幾つか見られる程度です。 では同

          今日会いに行きたい!気になる土偶 #097伊勢堂岱縄文館

          気になるのは『土製の耳飾り』

          おしゃれ、していました! 文字のなかった何千年以上も前の縄文時代。 その頃の様子を知る主な手がかりは、遺跡から見つかる縄文土器をはじめとする様々な遺物です。 縄文人がどんな装いをしていたのか、と考える時、遺跡から出土する数々の頭飾りや耳飾り、腰飾りなどの装身具(体に身に付ける装飾品)が参考になります。 さらにこのような飾りをつけた土偶の姿から、縄文人が様々な飾りを身に付けていたことが想像されています。 マストアイテムは「土製の耳飾り」 その中でも、遺跡から出土する量

          気になるのは『土製の耳飾り』

          今日会いに行きたい!気になる土偶#096十日町市博物館

          長い両手を大きく広げ、天を仰ぐ。 聖職者が聴衆の前で祝祷を捧げている…かのように。 「手をあげる土偶」 この土偶が作られたのは、縄文時代が最も繁栄した約5000年前。気候が安定し食料が豊富になったことで人口が増え、多くの集落が営まれました。 それに伴って土偶も各地で多く作られるようになり、土偶の形にも変化が表れます。 もともと土偶はボディを重視して作られましたが、そこへ小さな頭や小さな手が付き始めます。 やがて目鼻口を表現した顔のある頭部が作られ、手足も人のように象られ

          今日会いに行きたい!気になる土偶#096十日町市博物館

          プライドポテトと国宝土偶カックウの意外な関係

          「北海道・北東北の縄文遺跡群」が、2021年7月に世界文化遺産に登録されてから早3年。 日本で最も古い時代の世界遺産である遺跡群は、今から約1万5千万年前の縄文時代の始まりから2400年前の終末までを、北海道、青森、岩手、秋田の4道県にまたがる17の縄文遺跡で構成しています。 この3周年を記念したタイアップ商品 湖池屋プライドポテト 「日本の神業 縄文香る帆立だし」が7月に全国で販売されました。 縄文香る…とはどんな香りか?気になるところですが、 先ず最初に気になったの

          プライドポテトと国宝土偶カックウの意外な関係

          今日会いに行きたい!気になる土偶#095秋田県立博物館

          笑みを浮かべて寝そべる土偶? よくよく見ると…顔がついたかなり風変わりな形の縄文土器です。 『人面付環状注口土器』 まるでドーナツのように環状なっている土器の端に、土偶のような人面が付いている珍しい土器です。 土器の全体は空洞で、頭の部分は液体を入れる注ぎ口になっているようです。この時代に多く作られた注口土器と呼ばれるものです。 全長は15.5㎝、高さは8.5㎝、 全体にぽつぽつと付いた小さな瘤のようなものが、この時期の土器の特徴を表しています。 土器の表面は艶々と黒

          今日会いに行きたい!気になる土偶#095秋田県立博物館

          ふぅ~、ちょっと一休み

          とろけそうな暑さの毎日に、 「昔はこんに暑くなかったのに~」と嘆く声がしばしば聞こえてきます。 その言葉のイメージする「昔」より、もっともっとずーと昔の縄文時代の夏はどうであったのでしょうか。 そよ風が木々を吹き抜け、小川のせせらぎが聞こえてくる…そんな涼し気な光景が思い浮かびますが、平均気温は今より1~2度ほど高かったと言われています。 「今日も暑いね~」 きっと縄文人たちも、挨拶代わりに口にしていたことでしょう。 そして暑さで食欲も減退気味?の縄文人たちの食卓はと

          ふぅ~、ちょっと一休み

          今日会いに行きたい!気になる土偶#094伊勢堂岱縄文館

          土偶の多くは頭部や手足が無くなり、体は欠け、バラバラの欠片となって出土する…人形として完全な形であるのはごく稀なことです。 今日の土偶も同じように頭は欠け…と思いきや、頭部がないのは壊れて無くなったのではなく、「もともと頭が作られなかった」とされるとても珍しい土偶です。 『頭部なし土偶』 肩の線が一直線に象られ、首につながる余韻を一切持たない造形です。最初から頭部や頸部を作ろうといった意思が無かったようです。 その分、肩全体にくっきりと刻まれた刺突文(何かで刺した丸い文様

          今日会いに行きたい!気になる土偶#094伊勢堂岱縄文館