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【気になる土偶#108】空っぽの頭/花巻市総合文化財センター

大きな耳の穴からあちらが見えています。
頭の中は空っぽ⁉

今から約5000年前 縄文時代中期

立脚りっきゃく土偶』

まるで容器のような頭部に、板のように薄ぺらい体を持つ土偶です。『立脚りっきゃく土偶』という名前がついていますが、自立することは難しいようです。
高さ24.8㎝。土偶としては大きい部類にはいります。

花巻市博物館 企画展にて

平たい体に横に伸びる短い手、足の表現のない形は、この時期の東北地方に多くみられる土偶の特徴です。
よく見ると僅かに「つま先」があります。立つことを目指して作られたのでしょうか。

そして小さな乳房の下には2つの貫通した孔があります。土偶を木に吊るすために開けられた「紐穴」とも考えられるようです。

何より気になるのはこの頭部。
薄作りの器のような頭は、両耳の位置に大きい孔があります。

この土偶が出土した遺跡は、多数の竪穴住居や墓などからなる大きな環状集落(真ん中に広場などを設けたの形をした集落)でした。
そこからは大量の土器や道具類が見つかりました。

大集落と言えるこの場所では周囲からも人々が集まり、大規模なマツリが行われていたと考えられます。

皆の女神であったと思われる土偶は、当時の流行の体を持ちながらも、頭部には独自の造形が施されたようです。
それはここに集う人々特有の世界観なのでしょうか。

*参考資料
土偶美術館 小川忠博/原田昌幸 平凡社

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最後までお読みくださり有難うございました☆彡

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