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透明なキラキラに心は踊らない?

「2492カラットのダイヤモンドが発掘された」
史上2番目の大きさのダイヤモンドの原石が、アフリカのボツアナで発掘されたとのニュース。
手の平をすっぽりを覆う大きさの映像に、指輪やイヤリングがいくつ作れるのだろう…と思い浮べたのは、きっと私だけではありませんよね。

でも縄文人がそれを見たら…これは良い道具になりそう!と言うだけかもしれません。


こんなにも美しく輝く黒曜石

日本各地の縄文遺跡から出土する黒曜石。
光輝く黒い塊は、既に旧石器時代から広く知られていました。
その産地は北海道~東日本に点在し、中にはいくつもの山を越えて運ばれたものや、丸木舟で川を下ったり海を越えたものも確認されています。

黒曜石の原石
山梨県立考古博物館

私たちが今見ても充分に美しい宝石。
いくつもの光を放すキラキラした輝きに、アクセサリーに、部屋に飾るオブジェに、と思いが膨らみます。

でも、縄文人はというと…

黒曜石は割れ目が鋭く加工がしやすいため、矢じりやナイフなどの材料として利用されていました。
獲物を仕留め捌いたり、植物を切り裂いたりするなどの石器を作るために使われ、その評判は産地から遠く離れた土地へも伝わっていました。

縄文時代のナイフ
山梨県立考古博物館

更に時代を遡った2万年前の旧石器時代には、既に木の槍の先に鋭く加工した黒曜石を括り付け、川に遡上するサケを射止めていたと推測されています。

旧石器時代の矢じり
田名向原遺跡旧石器時代学習館

同様に、光輝く水晶もナイフなどの材料として使われていました。

水晶の原石
山梨県立考古博物館

装身具はキラキラの材料で作らない

「あくまでも生活のための道具作りが最優先」であった時代。それでも、余った破片で小さなペンダントなどを作ることがあっても良いのでは?と思いますが、黒曜石や水晶を使った装身具はどこにも見当たらないのです。

使う石はもっと別のもの。奥底にある輝きを見つけられるもの…だったようです。

その最たるものがヒスイ。
鈍く光る緑の中に、輝きだけでない美しい何かを見つけたのでしょうか。
全国各地で見つかるヒスイの装身具。広い日本列島の隅々まで、この秘めた輝きの魅力が伝わっていました。

ヒスイの装身具
伊勢堂岱縄文館

天空を見上げれば

当時を想像してみると…夜空を見上げれば、満天の月に降り注ぐ星々。
恐らく私たちが思い描く以上に、明るくキラキラした美しい世界に包まれていたことでしょう。

これに勝るキラキラは無かった…のかもしれません。
それがたとえ、どんなに大きなダイヤモンドであったとしても。

最後までお読みくださり有難うございました。

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