見出し画像

はじめの一歩にちょうどいい 企画展が開催中です  

「縄文時代の土器や土偶が大好きです!」と公言している私ですが、正直に言うと子供の頃からずっと関心を持っていたわけではありません。
美術はスキだけれど、先史時代の遺物はアートとは全く無関係と勝手に思い興味を持たなかったのです。
そんなある日、博物館へ陶磁器を見に行った時、たまたまと言うか、ついでにという感じで初めて縄文土器を観て、「エッ、これって、なに⁉」となったのです。
この時の驚きと感動が、縄文時代のことをもっと知りたい!という好奇心に繋がっていきました。

でもよく考えると縄文土器と出会ったのは、初めてではなかったのです。
小学生の時に地元の博物館へ初めて行ったのを皮切りに、県立の博物館や東京国立博物館へと何度となく足を運んでいるので、縄文土器を見ているはずなのです。
見ていたけれど観てはなかった、ということだったのです。

かの有名な芸術家の岡本太郎は、10年過ごしたフランスから帰国後に、東京国立博物館で初めて縄文土器を観て衝撃を受け、美術誌に縄文土器の素晴らしさを紹介しました。
そのお陰もあって、今日美術としての側面から語られることも多くなったのですが、そのエピソードから観ることから何かが始まると気が付きました。

博物館で、そして教科書や美術書で何度も見たはずの土器や土偶。
実際に観ることで、今までに気が付かなかった発見や感動に出会えることがあるかもしれません。

そんな私のように、見るでなく初めて観る人にもお勧めの縄文の企画展が、山梨県立考古博物館で開催されています

タイトルの副題にある人面・土偶装飾付土器とは、
 人面‥顔が描かれて土器
 土偶装飾付‥土偶が付いている土器。
簡単に言えば色々な顔がついている土器です。
顔には、人の顔、ヘビやカエル、イノシシやミミズク、正体不明なものまで色々あります。

これだけ知っていたらもう大丈夫、難しいことは何も知らなくても、「エッ、これって、なに⁈」の世界へ突入です。

では早速、顔を観にいきましょう。

トップバッターは、何とも愛らしい顔の人面装飾付土器です。

ミミズクが羽を広げているところでしょうか。
ミミズクは土器や土偶にしばしば登場する動物の一つです。

こちらはハート形の顔が愛らしい。
よく見ると、体と思われる部分に不思議な模様があります。
頭の上の鶏冠のようなものや、
顔廻りから連なる鱗状のものが、リアル感を感じさせます。


これが土偶装飾付土器土偶部分です。
単体の土偶であるか、このような土偶装飾付土器の土偶部分であるか、
判明していないものもあります。
かお、かお、かお・・どの顔が好きですか?
壊れて顔だけになったもの他に、
儀礼として、故意に壊されたと思われるものもあります。
ビーム光線を出していそうな・・
私は敵ではありませんよ。仲間です。
描かれた動物をわかりやすく解説してくれています。
こういうのがあると嬉しいですね。
カエルが描かれています。
わかりますか?
イノシシとヘビは、
この時代の山梨の土器の常連さんです。
もはや何が何だかわからない状態です・・ね。
出産土偶と呼ばれるものです。
上の顔がお母さん、
下の顔が子どもを表しています。
子どもの顔のアップです。
表情がなんともいえませんね。
こちらは亡くなってしまった子どもを埋葬する為の土器です。
赤ちゃんを思わせるような顔が描かれています。
人とヘビの合体です。
ヘビは甦りの象徴とされていたようです。
こちらは上の土器の逆バージョン?
土器の顔がどこか神々しく思えます。
大きくデフォルメされた人体が描かれています。
抜群のデザインセンスに脱帽です。
笑顔が描かれた釣手土器です。
香炉or祭祀の時に高い所へ吊り下げられたなど、用途はわかっていません。
壊れた顔が痛々しい・・土偶が埋め込まれたような釣手土器です。
たくさんの顔が会場を埋め尽くしています。

可愛い顔、面白い顔、怖い顔、何だかわからない顔‥
これらは今から約5.000年位前の縄文中期に、山梨県で作られたものです。
創造性豊かで、バリエーションも豊富、さらにそれらを作り上げた技術の高さを思うと、不思議がいっぱいの世界です。

岡本太郎は、東京国立博物館で縄文土器を観た後に、今度は視るために全国を廻りました。そしてそれが多くのものと融合して創造性豊かな作品を生み、「芸術は爆発だ!」に繋がったのです。

一歩踏み出して観ることをした私たちも、それぞれの持っているものと不思議な縄文の土器とが融合して、もしかしたら何かが爆発するかも⁉しれませんね。

最後まで読んでいただき有難うございました☆彡

この記事が参加している募集

私のイチオシ

休日フォトアルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?