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【臨床栄養学】筋・骨格系疾患

病気は患ってからでは遅い。病気を患ってから、今までの食習慣や運動をしておけば良かったと後悔することになる。闘病生活が始まった後は通院と治療に時間とお金を割かれ、この病気は本当に治るのかと不安や心配にも襲われる。幸せの定義は人それぞれだとは思うが、その幸せな状態を達成するためには身体、精神、自由な時間、お金などが必要不可欠だ。病気になってしまうと、それらのリソースが問答無用で奪われてしまうためQOLが一気に下がってしまう。
こんなことは百も承知だとは思うが、病気を患っていない内はどうも現実味が湧かない。現実味が湧かないから食生活改善などの行動に繋がらない。ではどうしたら現実味を帯びるか。それは病気のことを知識として知っておくということが重要だと自分は考える。
この記事では臨床栄養学の教本を参考に、病気の概要とその症状、治療法についてまとめていきたい。自分の将来に起こり得る症状と、どんな治療法が待っているのか。それらを知っておくだけで日々健康的に過ごそうと思えるはずだ。

筋・骨格系疾患概要

急速に高齢化が進む日本において平均寿命と健康寿命の期間を縮め、健康寿命を延伸し、介護が必要となる状態を短縮することは重要な課題であり、急務である。高齢者や疾病者において、骨粗鬆症、変形性膝関節症、サルコペニアなどの骨格系疾患が見られた場合、適切なタイミングで対策を取らなければ要介護状態へ陥る可能性が高い。いずれの疾患も栄養と密接な関連があり、これらを理解した上での早期の栄養介入が果たす役割は大きい。

骨粗鬆症

・疾患の概要
骨折は骨粗鬆症の合併症であり、骨粗鬆症により全身の骨折リスクが増す。WHOにより「低骨量で、かつ骨組織の微細構造が変化し、そのために骨が脆く骨折しやすくなった病態」と定義された。

・症状
肉眼的に組織を観察すると骨に孔が多数見られ、わずかな外力で骨折しやすい状態である。閉経後の女性、高齢者に多く発症し、生活機能を低下させるだけでなく、死亡リスクを増加させることが知らされている。

・治療
骨折を予防するためには食事療法、運動療法が基本であり、そのうえで薬物療法、生活習慣の改善がある。食事摂取量、栄養のバランス、特にカルシウムやたんぱく質、ビタミンD、ビタミンKなどの摂取量が低くならないよう気をつける。栄養素としてのカルシウムは重要であるが、単独での治療効果の推奨度は低い。治療の基礎的な栄養素として捉え、むしろ栄養素全体を考えることが重要である。

骨軟化症

・疾患の概要
骨基質への石灰化障害により非石灰化の骨基質が過剰になった状態である。成長期に発症したものをくる病と呼ぶ。ビタミンD作用の低下によるもの、血中カルシウム・リンイオン積の低下によるものに分類される。

・症状
筋力低下や骨痛などが見られる。

・治療
ビタミンD欠乏症の場合は食事から積極的にビタミンDを摂取するとともに活性型ビタミンD製剤を投与する。リン欠乏の場合は、経口リン製剤を投与する。

変形性関節症

・疾患の概要
変形性関節症とは、軟骨が変性して関節の形が変化する疾患である。
代表的な疾患として、変形性脊髄症、変形性膝関節症、変形性股関節症がある。高齢者の関節痛の原因として最も頻度が高い。この疾患は関節軟骨の加齢に伴う変化を基盤として生じ、関節に加わる荷重が増加すると発症頻度は高まる。肥満はこの疾患の危険因子である。

・症状
関節の痛み、運動の制限を主な症状とする。

・治療
変形性関節症の予防と治療のためには、関節軟骨に過度の負担をかけないように、適度な運動と適正体重の維持が大切である。肥満がある場合は減量のための食事療法を行う。

サルコペニア

・疾患の概要と症状
サルコペニアは、高齢期に見られる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下により定義される。加齢に伴う骨格筋量の減少は、自立性を失い、転倒、骨折、寝たきりの原因となるなど、高齢者の寿命を縮め、様々な疾患に関連し、その予後に影響を与えることが明らかになっている。

・治療
予防、改善には適切な栄養摂取、特に1日にたんぱく質を最低でも1.0/kg適正体重を取ることが有効である可能性があり、推奨される。ただし、サルコペニアを予防するための栄養療法に関するエビデンスは少なく、「日本人の食事摂取基準」に準じた摂取量の確保に留意する。また、運動習慣並びに豊富な身体活動量はサルコペニアの発症を予防する可能性があり、運動並びに活動的な生活が推奨される。

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