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CPO/プロダクトリーダーに必要な10のこと

こんにちは、外資系IT企業でプロダクトマネージャーをしています、ハヤカワです。

私は普段からプロダクトマネージャーとして働く中での学びや気づきをアウトプットしているのですが、約2年ほど前にこのようなnoteを書きました。

ここでは、PMとして働く中で必要な13個の役割や、やるべきこと、重要なポイントをまとめました。

そして、今回はそのCPOバージョンを作ってみました!!!!👏

この内容は先日行われた日本CPO協会の初のイベント「Product Leaders 2021」に登壇された世界中のプロダクトのリーダーの方々の話をまとめたものになります。

自分自身はCPOという肩書で業務した経験は正直ありませんが、彼らの言葉をまとめた、CPOに必要な10コのポイントをお伝えします。

まずは、図解で示したのでこちらをご覧ください。

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「Product Leaders 2021」ではこのような豪華なプロダクトリーダーたちがCPOとしてのあり方や大切なことを語ってくれています。

#1 Opening Special Message | Parker Harris, Salesforce
#2 CPOとは - CEO/CTOとの働き方 | Pratima Arora, Chainalysis. ex-Atlassian
#3 BtoCにおけるPdMの活躍 | Elaine Chao, Adobe
#4 エンジニアリングとプロダクトの役割と連携  | Muts Inayama, Imgur
#5 BtoBにおけるPdMとPMMの役割と連携 | Terrence Tse, Salesforce
#6 プロダクトチームをリードする人材育成 | Marcus Torres, ServiceNow
#7 プロダクトを進化させるアプローチ“Outside-In” | Jay Choi, Qualtrics
#8 新規開発とプロダクトマーケットフィット | Geoff Baum, Acceldata
#9 プロダクト戦略におけるストラテジー | Divya Ashok, Salesforce

どのプロダクトリーダーがどのポイントについて語っているかをマッピングするとこのようになります。

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下記からアーカイブ動画を見れるので、気になるところをぜひアーカイブ動画と合わせて、本記事をお楽しみください。

それではさっそくそれぞれを簡単に解説していきます!👇

1. 顧客の声 🗣️

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まずは、多くのリーダーが共通して語っていたのが、「顧客の声に耳を傾ける」ということです。#2 ChainalysisのPratima Aroraは「ただの通訳者にならず、顧客の声を組織にもたらす、このようなCustomer DNAの文化を作る」ことがCPOの役割として大切であると語っています。

また、#2 Salesforceや#3 Adobeが行う顧客から声を直接聞くためのイベントやプログラム、#7 Qualtricsによる製品の初期段階で顧客から声を聞くプレビュープログラムについても語られています。

#6 ServiceNowのMarcusも全ての考え方の根本には「顧客を大切にすること (Take care of your customer)」があると言っています。

#9 Salesforceのストラテジー担当 Divyaも、長期的な戦略を考える上で、世界中の各地域に住んでいる人々に耳を傾ける大切さを語っています。その中で「市場を理解するためには、顧客と話し、地域ごとの知識を得て、コミュニケーションし、文化を尊重する」と語っています。イノベーションとは安全な環境でしか生まれないため、その環境に居る人々、つまり顧客と話すことの重要性を話しています。

#8 AcceldataのGeoffはスタートアップの支援や、アクセラレータとしての立場としても、「顧客中心の考え方で、顧客のストーリーを聞き、ニーズや喫緊の課題を特定する必要がある」と言っています。そのためにも顧客とたくさん話すべきだと言っています。

また、陥りやすい落とし穴についてこのように言っています。

ビジネスの中心は常に顧客であるにも関わらず、多くの創業者は自身や自社製品をビジネスの中心と考えています。顧客が常にビジネスの中心であり、常に物語の主人公です

一方で、顧客の声が大事であるものの、顧客の言うがままにしているとそれはコンサル会社になってしまう、とも言っています。PMとして顧客の声をそのまま機能として作るのはNG行為です。つまり、顧客の声を聞き、ビジネスの可能性、市場のチャンス、技術トレンドなどの情報を総合的に判断し、自らが意思決定をしインプットすることこそが、PMやプロダクトリーダーには求められるのです。

2. ビジョン&戦略 ⛵

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#2 Pratima AroraはCPOの役割として、大きく2つあげています。

1.「ビジョン&戦略を作り組織の方向性を示すこと」
2.「それを実行すること」

この2つをどちらかに偏ることなく、バランス良く行うのがCPOの役割だと言っています。

ビジョンは、会社を船で例えた時の目的地であり、どこに、なぜ、どうやって行くのかを示すことであり、CPOはその船の帆を調整する役割だと言っています。

戦略には、顧客と会社の両方に対して

1. 独自性 (Unique)
2. 持続性 (Sustainability)
3. 差別化 (Differenciation)

が必要と言っています。非常に高いビジネスのゴールに対して、それを実現するためにこれらの要素を持った戦略が必要ということです。
さらにこれを、目の前のプロダクトチームの1年の目標、四半期の目標、目の前の作業にブレイクダウンして、実行まで持っていくことが大切だとも言っていました。

3. 実行 ⚙️

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ビジョンや戦略を立てても、それを誰かに丸投げでは意味がありません。優れたCPOは掲げたビジョンと戦略を実行するところにも関与すると、Pratimaは言っています。

CPOが関わるさまざまな関係者、リサーチ、デザイン、プロダクト、競合、データ、開発などとコラボレーションしながら、一緒にビジョンを作り、「個人と計画を動かす」ことが大切であると言っていました。

この実行の中には、重要な局面での意思決定もあります。ビジネス面では時にP/Lを担ったり、市場やテクノロジーの変化をキャッチし、顧客ドリブンのイノベーションのためにできることを考え、その文化を作り上げていく、その中で、方向性を変えたり、何かしらの重要な意思決定をしなければいけません。これもCPOの責任であり、重要な役割とのことです。

4. チーム・組織作り 👥

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#6 ServiceNowのMarcusは、組織作りにおいて、様々な考え方を示してくれています。「チームを同じ方向に導くために、共通の目的を作る」ことや、「お互いにチャレンジする」こと、「多様性のある視点を持つ」ことがプロダクトの組織作りに大切であると言っています。

#7 QualtricsのJayは、ある時に組織を抜本的に編成し直した出来事を語っています。今までのような機能別の組織ではなく、顧客への体験別にチームを再編したそうです。"できること"ではなく"顧客への体験"別に、サービス、PM, PMM, 営業組織を再構築したそうです。

さらに会社には5つのコアバリューがあり、

1. Transparency (透明性)
2. All in (オールイン , 全掛け)
3. Customer Obsessed (顧客へのこだわり)
4. One Team (ワンチーム)
5. Scrappy (スクラッピー, 覚悟があり断固とした精神を持っている)

これの頭文字を取ってQualtricsではTACOSと表現しています。
https://www.qualtrics.com/qualtrics-life/tacos-at-qualtrics-a-history-of-culture/

#4 ImgurのMutsは組織を作る上での、エンジニアからPMへのキャリアチェンジについて話しています。注意点としては、「プロダクトは簡単だと思わないほうがいい」ということです。両方を経験した彼だからこそ言える言葉だと思います。Problem SpaceとSolution Spaceの重要性が、PMとエンジニアで入れ替わるわけなので、簡単にモノを作れば問題が解決できると考えてしまうと、落とし穴になってしまうと言っていました。

逆に、PMから開発経験がない中で、エンジニアに転職するのは難しいとも言っています。エンジニアにはやはりテクノロジーバックグラウンドが少なくとも必要であると。一方で、PMには様々なバックグラウンドから来るそうです。エンジニアはもちろん、デザイン、データアナリスト、プロダクトスクール、APM (Associated Product Manager)など、今では必ず開発経験やCSの学位がなくても良い環境になっています。

5. 文化 ☘️

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文化については、さまざまなプロダクトリーダーが語っていました。CPOとして重要な役割の一つと言えるでしょう。個人であるエンジニアやPMももちろん文化作りに貢献はしますが、会社全体の文化を作るのはやはりCPOなのでしょう。

#6 ServiceNowのMarcusは文化作りには2つの大切なことがあると言っています。

1. 個人の貢献を会社のミッションの一部にすること
2. オープンで、安全であること

個人の働きが会社のミッションの一部であり、社員全員がビジョンやゴールに貢献していることを示すことで、チームを鼓舞し、共通の文化を作ることに役立つと言っていました。また、CPO自身がオープンであり、社員からの質問や相談を常に聞ける Ask Me Anythingの時間を作ることで、何でもモノを言える心理的安全性を作り、文化作りをしているという話も興味深かったです。

6. 多様性の尊重 🌏

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文化の話の中で必ず出てくるのが多様性 (Diversity)です。これは、チーム作り、働き方、採用、プロダクト作り、すべてに必要な考え方です。

#6 ServiceNowのMarcusは多様性には3つの種類があると言っています。

1. 考え方の多様性
2. 経験の多様性
3. 他者の視点への共感

また、採用面においても、多様なバックグラウンドや多様な文化、考え方を持った人を採用することで、チームとしても強くなり、また作られるプロダクトもさまざまな視点によって作られた堅牢なものになります。

#3 Elaine, #9 Divyaは女性としてのプロダクトチームでの働き方について語っています。PMの働き方が変化している中で、以前はプロダクトの成長こそがPMの評価であり、プロジェクトが失敗すれば、解雇になってしまうことも少なくなかったようです。しかし、今ではPMがもたらす全ての価値、PMが語るストーリー、チームのベストを引き出したり、他のPMを鼓舞したり、全てのアウトプットが評価に繋がるようになっていると言っています。これは、PM一人ひとりの個人的な安心感、金銭面での安心感、心の安心感を与え、PMとして働くことにリスクがあるかどうかを考える上で、後押しになると思います。女性だけではないと思いますが、欧米ではPMとして働きやすくなってきている環境であるとのことです。

7. 優先順位付け 👍

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CPOやPMは、その役割の多様性、幅の広さが度々語られることがあります。そのようなすべてをやらなければいけない中で、優先順位付けはとても大切です。

#6 ServiceNowのMarcusは何より大切なのは「顧客を大切にする (Take care of your customer)」という原理原則に従うことこそが全ての優先順位付けに通ずると言っています。つまり、やらなければいけないことに優先順位をつける時に、顧客を大切にすることに繋がっているかという観点で考えるのが、根本的なベースの考え方になるとうことです。

また#3 AdobeのElaineは優先順位付けの中でもタイムマネジメントをうまく行うことで、こなしているという話がありました。自分自身の優先順位をチームに共有するために、ホワイトボードをチームに共有して、そこで今どういうタスクを担っていて、どういう順番で優先順位を考えていて、何に着手しているのかをチームにホワイトボードの写真を共有しているそうです。これによりプロダクトチームとのクリアなコミュニケーションと、彼らの期待値をコントロールすることに繋がっているそうです。

8. プロダクト戦略 📦

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CPOが考える戦略の中でも、重要なのがプロダクトの戦略です。

#9 Divyaはストラテジー担当として長期的な市場やテクノロジー動向を捉えながら、PMと密に連携をしPMにインプットし、プロダクトのビジョンやロードマップの作成に貢献しているとのことでした。

ストラテジーとして、最小のコストで最大のROIを出すことを目指すため、時には自社開発せずにパートナーとの協業をしたり、M&Aで買収したりすることで、MVPを実現しながら、機会損失を防いで、PMが目指すTAMの獲得に貢献しているとのことでした。

また、#7 QualtricsのJayは製品戦略として以下の3要素が重要であると言っています。

1. 説得力のあるカスタマーバリュー
2. 差別化要素のあるプロダクト
3. 説得力のあるROI・ファイナンシャルの論理的根拠(Financial Rationale)

このように、PMが考えたそれぞれの機能や製品をまとめあげ、より広い視野で会社としてのプロダクトの戦略を考えるのがCPOのメインのミッションとも言えるでしょう。

9. 成功指標 📊

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プロダクトの成功や、CPOとしての組織の成功、ビジネスとしての会社の成功を目指す上でメトリックス、指標を使うのはとても重要です。

#8 AcceldataのGeoffはスタートアップにおける指標について話しています。プロダクトの指標は、ビジネスモデルや製品特性によるとした上で、顧客の利用データや、エンゲージメント、利益、CAC (顧客獲得単価), 解約率を追う必要があると言っています。

また、多くのスタートアップはPMFをゴールとして目指してしまっていることに警鐘を鳴らしています。PMFとはとある時点で、ユーザーがこれまでにないくらい製品を使うようになり、エンゲージメントが上がり、非常に素晴らしい体験を経験し、製品が伸びる状態を表します。GeoffはこのPMFの状態でアクセルを踏み、GTM Fitにまで加速できるかが重要であり、多くのスタートアップにかけている点だと言っています。そして、GTM Fitの中で、製品のスケーラビリィてやビジネスのスケールを行うべきとも言っています。逆に、多くのスタートアップでは最初からスケールすることを考えすぎであルトも言っています。

余談ですが最後にGeoffは、日本のスタートアップとシリコンバレーのスタートアップの違いを語っています。良し悪しではないが、日本のスタートアップはテクノロジー、製品、機能、ケーパビリティを重視しすぎだということです。シリコンバレーの多くのスタートアップは「やる前に売る (Sell before they do)」の考え方で、その製品やサービスのビジョンやなぜ?というコンテキストや考え方で売るそうです。これは、常に成長のマインドセットだからであり、成長のために何をするのかという考え方に一貫しているからだと言えます。

#5 SalesforceのTerrenceはPMMとPMの両方を経験した中での両者のKPIについて語っています。
PMMというのは、プロダクトマーケティングマネージャーのことで、会社の一般的なマーケティング(Corporate Marketing)ではなく、個別の製品一つ一つの認知度やVisibilityを上げる役割を担う人のことを指します。

PMMには大きく5つの役割があります。

1. プロダクトを理解する
PMと協業しどう売るべきか、誰に売るべきか、価値はなにか、なぜ売るべきなのかを理解します
2. 営業促進やディストリビューションを考える
誰が売るのか、いくらなのか、ポテンシャルの売上はどのくりあか、GTMやTAMについて考えます
3. イベント
イノベーションを顧客に知ってもらうために、Visibilityのためにイベントを開催したり、スピーカーとして喋ります。
4. リリースマーケティング
特に既存製品において、新しいイノベーションや価値、機能を顧客に伝えるための活動です。プロダクトが変化するにしたがって、ポジショニングやメッセージングを柔軟に応用していきます。
5. GTM
営業チームがより売るために、プレゼン資料やデモを用意し、売りためのアセット作りを行い、GTMを加速させます。

このような活動を担うPMMのKPIは、

1. 潜在的なパイプライン(案件)
2. イベントの参加者数
3. イネーブルメントされた営業の数

これらが重要なKPIとしています。

10. コミュニケーション 💬

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そしてTerrenceは、PMMとPMが頻繁に、かつ早い段階でコミュニケーションをとることが、プロダクトの成功につながると言っています。PMMは市場や顧客を深く知っていて、PMは解決すべき課題と、ソリューションに長けているので、両者が互いに補完しあうことが大切だと言っています。

他にも多くのプロダクトリーダーがコミュニケーションの重要性を語っていました。

#4 ImgurのMutsはPM組織とエンジニアリング組織の両方のリーダーとして、Imgurを運営しています。両方を見るのはとても珍しいですし、難しい役職ですが、その中でプロダクトとエンジニアリングを行き来する彼の働き方に、ヒントがありました。例えば、両方を担う彼としては、それぞれと関わるときには完全に頭を切り替えると言っていました。

プロダクトはハイレベルな製品ビジョン、要件、Northstar Metricsを考えますが、エンジニアはインプリメンテーション、どう作るか?、機能の開発がメインです。この両者は全く異なる考え方をしていることを理解することが大切です。また、両者はそれぞれの領域にできるだけ入らない方がいいというアドバイスもありました。PMからエンジニアには、やり方に口を一切出さずに、なぜ?何のために、どんな問題を解決し、なぜ顧客のためになるかを伝えるだけで、どう作るかについてはエンジニアチームに任せるべきだと言っています。

#3 AdobeのElaine Chaoは「PMは、デザイン、エンジニア、PMMの声をまとめあげ(Correlate)、それを顧客の声で確認をするロールである」とも言っています。

#6 ServiceNowのMarcusも、多様性の視点でお互いにチャレンジしあえるようにチームを作り、 #9 SalesforceもDivyaもストラテジーチームとPMチームとのコミュニケーションの重要性を話していました。

さいごに

ここまで、CPOに必要な10のことを話してきました。この円の中心にはまだ語っていない要素があります。

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これはCPOとして必要な考え方、あるべき姿、人としてのポイントを書いています。どれも世界中のプロダクトリーダーからの言葉を引用したものです。

ここでは多くを語りませんが、「自分に正直でオープンであること」「情熱があること」「謙虚であること」はCPOという多くのメンバーの上に立つ人間として必要なことなのだと思います。また、#6 Marcusが語っていたプロダクトマインドセットはChief "Product" Officerである以上必ず持たなくてはいけない考え方だなと思います。

詳しくは、下記Makuakeから応援するとアーカイブ動画が見れるので、そちらを見ていただければ、CPOに必要なコアバリューが伝わると思います。他にも、CPO協会の理事による各セッションの振り返りトークや、Q&Aセッションもアーカイブから見れるそうです!お時間ある方はぜひ見てみてください!

さいごに、この記事が良かったと思う方は、Twitterのフォロー(@kzkHykw1991)、noteのスキをお願いします!🙇


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