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幸せの青い鳥が教えてくれたこと

子どものいない私が

どうしても小さいものを育てたくなって

衝動的に鳥屋さんへ行った

たくさんの雛鳥の中で際立って元気のいい青い鳥がいた

弱々しい仲間を見つけては飛び回り

せっせと世話を焼いている

生き生きした雛鳥にくぎ付けになった

「この元気な青いセキセイインコください」

雛鳥が2千円で、鳥かご一式が5千円ほど

わが子(鳥)はこうしてやってきた


鳥の育て方なんか知らず

鳥屋さんで聞いただけで何とかなると思ってた

狭い部屋のどこに鳥かごを置くのかすら考えていなかったから

4月の花冷えの晩だというのに

初日は鳥かごを冷えたお風呂場に置いた

翌朝見ると、小鳥は寒そうに羽を膨らませて

くしゃみをしたようだった

慌てた、寒かったんだ・・・ごめんね


そんな感じで

育て方を知らない親元に引き取られた小鳥は

苦労したと思う

少しずつ本や鳥屋さんから聞いたりしながら

何とか元気に大きくなってくれた

その名はクーちゃん♂

私の大事な 幸せの青い鳥


クーちゃんは人懐こいけれど

とてもプライドが高く繊細な性格

一番初めに覚えた言葉が「禁煙だよ」だった


セキセイインコは南国の鳥なので

室内の温度を25度前後にしないと

ストレスがかかるという

そんな飼育情報からすると

どうやら冬のわが家の室温では

クーちゃんには寒かったらしい・・・

どうりでしょっちゅう羽を膨らませていたわけだ

そんな心配を夫に話すと

「鳥は自然でいいんだ、そんなに手をかけると弱くなる」

と顔をしかめる

私は抵抗できずに「そうかもね・・・」

クーちゃんは羽を膨らませて頑張っていたのだ


あるとき様子がおかしいと気づいたのに

「しばらく様子をみよう」との夫の言葉に

再び従った私

クーちゃんはつらいながらも上手に元気なふりをしていた

心配しつつも数日が経過

いよいよ私の嫌な予感が抑えきれず

鳥専門病院へ連れて行った時には手遅れだった


もともと腸内にいた菌が

寒さで抵抗力を失ない増殖

命を脅かしていた


私はとっくにクーちゃんの危機を感じていたのに

根拠のない夫の言葉に従った

従うということを選んだのは私だ

夫の意見に背くことができない私だったし

夫を立てる妻でありたかった、というのもある

とにかく、

自分の意思を曲げて判断を夫にゆだねる自分だったのだ

嫌だなと思っても、いつも我慢して

自分が折れることで摩擦をさける生き方をしていた


クーちゃんは入院し注射をいっぱい打たれて

くたくたになって退院した

そこから1週間は用意した温室で看病した


とてもプライドの高いクーちゃんは

強い吐き気があっても、絶対に吐かなかった

私を心配して耐え抜いていたと思う

一生懸命元気なふりをしたり

ご飯を食べるふりをしたり…

薬の時間に温室から出したとき

一度だけ、全身の力を振り絞って室内を一周飛んだ

飛ぶのがとっても上手だったクーちゃんの最後のフライトだった


ある日仕事から帰ると

温室の中に置いた私のハンカチの上で

力尽きたクーちゃん

私を見送った方向を向いていた

誰にも看取られずひとりで虹の橋を渡った


鳥といえども

私に大切なことを教えてくれた先輩

5年間ありがとう

命をかけて教えてくれたのは

自分の直感を信じること

そしてここぞという時には

誰かに従うために自分の意思を曲げてはいけないこと


そして、自分らしく生きていいんだ

そう心から自分に許すことができたのは

この時からかもしれない


未熟者のママを成長させるために来てくれた青い鳥

ありがとう ありがとう ありがとう

自立して尊厳をもって生きられるように導いてくれたんだね

ママはこれからも間違えるかもしれないけれど

そのたびにクーちゃんを思い出して

勇気を出して

自分を信じて行動することにします




chiharuさん
ステキなイラストを使わせていただき
ありがとうございます♪




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