小説家になりたい男の戯言NO.12
どうしていつまで経っても完成しないのか。
今思えば、小説を書く上での基本が全くなかったんだと思います。
まずはどんなテーマで書きたいのかを明確にし、そのテーマにそったプロットを作成する。登場人物や舞台の細かい設定も必要でしょう。
ですが、当時の私は何一つそれらをすることはありませんでした。
頭の中で面白いな、書きたいなと思ったものをそのままダイレクトに、まるで一筆書をするかのように書く。
執筆において、閃きと勢いが大事だと思っていた私。脳内で閃いたアイデアを鮮度が落ちる前に素早く活字化する事が、生き生きした小説をかけるコツだと信じていたのです。
別にその手法が全くの間違いだとは今でも思いません。この記事を読んでくださっている小説家の皆さんの中にも、そういう閃きが大切だと思っている方もいるでしょう。
でも私の場合は、あまりにもその手法が行き過ぎていました。
そしてさらによくなかったのは、これまで何度もお話ししている私の怠け癖。
しばらく執筆から離れていざまた書こうとしても、プロットも何もない上に、脳内のアイデアも鮮度がすっかり落ちてしまっているために、あれ?どうしてここがこうなってるの? これからどうするつもりだったっけ? みたいな事態に陥りまくっていたのです。
この記事を読んでくださっている小説家の皆さんからしたら、私なんか小説家の風上にも置けない存在だと思うかもしれませんね。
結果、折角新人賞に応募しようとしていた章節は、いつまで経っても完成せず。最終的には完全に絶筆になってしまったのでした。
偉大な作家の壁にぶち当たり、そこを越えようと努力するのではなく、別の道を切り拓こうとしたというのに、作家の基本が全くなっていないために、勢いだけの作品になってしまう。でもそんな粗削りであっても、きちんと書き終えればまだ見れたものの、自分の怠け癖のせいで、それすらできないでしまう。
ああ、何て愚かな私なのでしょう。今こうしてこの記事をタイピングしながらも、後悔というか情けないというか、時間の浪費ばかりで何も生み出せていない自分が、恥ずかしくて仕方がないなと思ってしまいます。
ですが、私の小説人生はこれで終わりではありませんでした。これからどうなるのか。それは、私がしがないホテルマンをしていた時に、一つのアイデアとの出会いから始まります・・・。