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編笠山 △登山の魅力△(0001)

巨石がゴロゴロと積み重なった山頂はまるでアスレチックフィールド。八ヶ岳連峰最南端の山岳で、東京近郊から日帰り登山もOK。
(本記事/ 文字数:約4100字、読了:約8分)

《引用》 権現岳から望む編笠山
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mount_Amigasa_from_Mount_Gongen_1994-5-14.jpg
Attribution: alpsdake, Public domain, via Wikimedia Commons

<編笠山の魅力>

(1)山頂の奇観
山頂直下にある山小屋・青年小屋から上は森林限界となっており、山頂域は大きな岩がまるで無造作に放り投げられてちらばっているかのようにゴロゴロと転がっている斜面が広がっています。いわゆる岩稜とはまた一風異なった景観です。
(2)山頂からの眺望
山頂は高い樹木がないため四方が開けており、北には赤岳などの八ヶ岳連峰、西には南アルプスや諏訪湖、東には奥秩父などの山並みの大きなパノラマ風景を見渡すことができます。


<概要>

編笠山 (あみがさやま)
所在地: 山梨県北杜市、長野県諏訪郡富士見町
山裾が広く伸びて編笠を伏せたようななだらかな山容が名前の由来とも。
標高は約2524m。山梨百名山。


<登山コース>

編笠山南麓・観音平から北へ青年小屋を経て登頂し山頂を周回するように元の登山道にふたたび合流し、観音平に戻るルート。
※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
観音平(駐車場)→ 雲海(60分)→ 押手川(50分)→ 青年小屋(70分)→ 編笠山・山頂(40分)→ 押手川(60分)→ 雲海(40分)→ 観音平(50分)
コースタイム/ 6時間10分程度
標高差/ 約1000m(観音平:1560m、押手川2100m、青年小屋:2380m、編笠山:2524m)
※今回ご紹介したルートでは山頂から押手川へは青年小屋のある北側へ戻るのではなく別の南側斜面を下山して、ふたたび往路で通過した押手川に合流します。

[登山道の特徴]

青年小屋まではほぼ樹林帯です。
雲海と押手川の地点は比較的平たいので休憩適地です。
青年小屋から山頂までの間には斜面全体に大きな岩塊が転がっており、その岩を跳びはねながらアスレチックのように登れます。
山頂一面にも大きな石がころがっており、また広くなだらかで、ほぼ360度の視界があり、北に八ヶ岳主峰「赤岳」、北西に諏訪湖、南に南アルプス(富士山・甲斐駒ヶ岳等)が望めます。
山頂から登ってきた道とは別の反対のルートで下山する場合(押手川地点にふたたび合流できる)、目立つ道標等がないため進路が分かりにくいところがあります。
●水場やトイレなど
水場は青年小屋テント場から西岳方面へ5分ほど歩いたところにあります。
トイレは観音平駐車場に簡易トイレがあります。また青年小屋のトイレを利用できます。

[難易度・危険個所など]

とくに大きな難所や危険個所はほとんどありません。
●エスケープルート
基本的に登ってきた登山道を観音平へ戻ることになります。
●山のグレーディング
体力度/ 3 (1→10 低→高)
難易度/ B (A→E 低→高)

[アクセス]

●往路 ※帰路は逆
JR中央本線「小淵沢」駅からタクシーで登山口の観音平まで約20分。
《補足》
小淵沢駅からタクシー利用の場合、運行車両が少ないため事前予約をお勧めいたします。また観音平に呼び出す場合には観音平に到着してからの呼び出しを要請されます。
●乗合タクシー
北杜市が定額制の乗合タクシーを運行しています(要事前予約)。
なお定刻運行・季節運行・定員制であり、また実施は各年度次第です。
リンク先: MOUNTAIN TAXI ※公式サイト

[国土地理院地図]

編笠山

[コースマップ]

山梨県より山梨百名山のコースマップが提供されています。
山梨百名山ピッチマップ (山梨県)

<こんな方にオススメ>

(1)八ヶ岳登山を日帰りで楽しみたい
(2)奇観・奇景に興味がある
(3)山頂からの眺望がすばらしい山に登りたい


<補足情報>

[売店等]

登山道上に売店等はありません。
青年小屋では軽食の提供をしています。

[日帰り温泉など]

延命の湯 ※公式サイト
八峯苑 鹿の湯 ※公式サイト

[お食事処]

ビストロ バカブー ※公式サイト 
かつみ食堂 ※公式サイト ジンギスカン鍋など/小淵沢駅
「小淵沢」駅構内に立ち食い蕎麦屋さんがあります。

[山小屋等の宿泊施設]

青年小屋 ※公式サイト
権現小屋 ※2024年現在、休業中のようです。
小淵沢駅周辺に複数の旅館等があります。

[名産品]

ウイスキー「白州」 (SUNTORY)
八ヶ岳チーズケーキ工房 ※公式サイト

[付近の山]

権現岳
入笠山
飯盛山
赤岳
八ヶ岳横断歩道

[お天気情報]

編笠山/山の天気 (tenki.jp)

[そのほかの補足]

●小淵沢駅観光案内所
駅舎内に併設された観光案内所。各種パンフレット等備置。
●道の駅こぶちざわ
上記の”延命の湯”も併設した地元生産品等の商業施設。食堂および宿泊施設も隣接。
●リゾナーレ八ヶ岳
星野リゾートが運営するショッピングモール等を併設した宿泊滞在型商業施設。


<私なりの楽しみ方>

編笠山は登り応えがあり、変化に富んだ登山道そして山頂眺望の絶景と登山の面白さの要素が詰まった、初級者が登山の魅力を感じることができる山という印象です。

初めて編笠山へ登り、青年小屋から山頂を見上げたとき、その乱雑に積みあがった将棋倒しのゲームの山のような奇観には目を見張りました。大岩の上をぴょんぴょんと飛び跳ねながら頂上を目指して上がっていく登りはちょっとしたアスレチック気分で面白かったです。巨石の道を自分で好きなように進んでいくのでゲーム感覚があります。

逆に足元がおぼつかないようなところもあるので、その点に不安がある方は困惑してしまうかもしれません。一応、推奨の目印もあるのでそれを頼りに進めば比較的安定した姿勢と動きで登っていくことができると思います。

難点を挙げるとしますと、最寄駅の小淵沢駅から登山口(観音平)までのアクセスが不便です。路線バスなどの公共交通機関はありません。しかし最近はマウンテンタクシーという乗合制タクシーが運行されるようになりました(定刻運行・定員制・予約制)ので、そちらを利用すると以前よりはアクセスしやすくなりました。

東京近郊からで2500m級の山へ日帰り登山(公共交通機関利用)しようとするとなかなか選択肢がありません。ほかには日光の男体山くらいでしょうか。そのため2500m級高山で標高差も1200mほどあるなかなか登り応えのある比較的手軽に楽しめる高山として希少な行先であるかと思います。

そんなわけで編笠山は、私にとってちょっと気分転換に高山へふらっと行きたいなーというときに気軽にアクセスできて楽しめるお気に入りの山のひとつです。


<備考>

山梨の登山・山岳情報ポータル (山梨県)
山岳情報 (山梨県警察)
山梨 山のグレーディング (山梨県)
リゾナーレ八ヶ岳 ※公式サイト

<参考リンク>

ほくとナビ (北杜市観光協会)
ほくとの山 (北杜市)
八ヶ岳中信高原国定公園 (Wikipedia)
山と高原地図「35.八ヶ岳 蓼科・美ヶ原・霧ヶ峰」 (昭文社)
北杜警察署 ※公式サイト
茅野警察署 ※公式サイト


<関連記事>

編笠山周辺の登山についての上町嵩広の関連記事。一部、外部サイトの記事もあります。


<バックナンバー>
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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2020/08/14 上町嵩広  改訂:2024/06/10)