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乾徳山 △登山の魅力△(0040)

山頂直下20mの垂直の岩壁と鎖場が大人気! 奥秩父の代表的岩峰のひとつです。
(本記事/ 文字数:約5200字  読了:約10分)

《引用》 「南から見た乾徳山」 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Mt_Kentokusan.JPG
Attribution: アラツク, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

<乾徳山の魅力>

(1)連続する岩場・鎖場
とくに山頂直下の約20mの垂直にも見える岩壁をよじ登る鎖場は有名です。そのほかにも山頂域には奇岩巨石が断続しており見応え登り応えがあります。
(2)360度全方位を見渡せる山頂の眺望
山頂直下の20mの岩場・鎖場を登りきるとそこは山頂です。360度ぐるりと視界が開けておりパノラマ風景が広がっています。奥秩父、南アルプスや富士山の山並みがよく見渡せます。


<概要>

乾徳山 (けんとくさん)
所在地: 山梨県山梨市
奥秩父に位置する岩峰。標高は約2031m。
山頂域に連続する岩場・鎖場が有名。
日本二百名山、新・花の百名山(イワインチン)


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
麓の乾徳公園から国師ヶ原を経由して有名な鳳岩の鎖場をよじ登って登頂し同じ道を下るピストンルート。
「乾徳山登山口」バス停→ 登山道入口(30分)→ 銀晶水(50分)→ 国師ヶ原(60分)→ 月見岩(40分)→ 乾徳山(70分)→ 月見岩(60分)→ 国師ヶ原(30分)→ 銀晶水(50分)→ 登山道入口(30分)→ 「乾徳山登山口」バス停(20分)
コースタイム/ 7時間強程度
標高差/ 1050m程度 (乾徳山登山口バス停:988m、国師ヶ原:1570m、乾徳山:2031m)

[登山道の特徴]

バス停のある乾徳公園からしばらくは舗装道路を上がり、途中から砂利の林道となります。
林道の途中にある登山道入口から本格的登山道になります。
登り初めは杉などの針葉樹林のなかの石が多い道です。
銀晶水のあたりから唐松やブナ・ナラなどの広葉樹が目立つようになります。
国師ヶ原は草原状となった広場のようになっており、高原ヒュッテという無人の休憩所があります。
月見岩の上あたりから奇岩巨石などが始まります。
月見岩と山頂の間の道の後半から長い鎖が付いたカミナリ岩や山頂直下約20mの岩壁を登る鳳岩の鎖場があります。
山頂は突起しており360度全方位を見渡せることができ、奥秩父や南アルプスそして富士山がよく分かります。
●水場やトイレなど
水場は、登山道入口から国師ヶ原の間に2つありますが、秋から春先までの間は涸れることもあります。期待はしない方がいいと思われます。
トイレは、バス停そば(乾徳公園)と国師ヶ原の高原ヒュッテにあります。高原ヒュッテは無人休憩所(兼避難小屋)として開放されていますが、トイレは冬季には閉鎖されるようです。※要確認。

[難易度・危険箇所など]

月見岩から上は岩場・鎖場が連続します。とくにカミナリ岩と鳳岩の鎖場が長いです。いずれも垂直気味の岩壁で鎖を頼りに上がっていきます。
カミナリ岩の鎖場はスタンスが豊富です。鳳岩はスタンスがあまりありません。またいずれも多くの登山者が登っているため岩壁が摩耗して滑りやすく登りにくいです。
鳳岩は迂回路があります。カミナリ岩は迂回路がなく登りよりも下りの方が難易度が増すと思われます。
岩場・鎖場の経験が少ない方は経験値の高い方と一緒に行き、必要に応じてセルフビレイをするなどして通行すると安全安心かと思われます。また心配な方はヘルメットをご着用ください。
●エスケープルート
山頂直下の岩壁以外はおなじ道を歩きますので、時間的に間に合わない場合などはどこかの地点で来た道を戻ることになります。
●山梨 山のグレーディング
※山梨県による設定
体力度/ 3 (1→10 低→高)
難易度/ C (A→E 低→高)

[アクセス]

●往路
JR中央本線「塩山」駅から路線バス(山梨交通バス)で「乾徳山登山口」バス停まで30分程度。
●帰路
「乾徳山登山口」バス停から路線バスが2路線あります。
「塩山」駅行き(山梨交通バス)で同駅まで30分程度。
「山梨市」駅行き(山梨市民バス)で同駅まで35分程度。
《補足》
「塩山」駅と「山梨市」駅は中央線特急「あずさ」や「かいじ」が停車する便もあります。
塩山駅~乾徳山登山口間の山梨交通バスは季節運行で冬季から春先は運休です。※運行時期はその年により異なるため事前要確認。
山梨市民バスはPASUMO・Suicaなどの交通系ICカードは利用できません。

[国土地理院地図]

乾徳山

[コースマップ]

山梨県より山梨百名山のコースマップが提供されています。
山梨百名山ピッチマップ (山梨県)

<こんな方にオススメ>

(1)岩場・鎖場が好き
(2)岩場・鎖場の通行の練習がしたい
(3)中央線でアクセスしやすい山に登りたい


<補足情報>

[売店等]

登山道上に売店等にありません。
「塩山」駅には駅舎内売店があります。駅前にはお土産物店があります。
「山梨市」駅には駅舎内に売店があります。駅そばにコンビニエンスストアがあります。
「乾徳山登山口」バス停そばに自動販売機があります。

[日帰り温泉など]

塩山温泉「宏池荘」 ※公式サイト  塩山駅
「はやぶさ温泉」 ※公式サイト  
最寄バス停:「放光寺入口」(山梨交通バス)または「隼上」(山梨市民バス)
「花かげの湯」 (山梨市)  
最寄りバス停:「花かげの湯」(山梨市民バス)

[お食事処]

「甲州ほうとう 完熟屋 本店」 ※公式サイト  ほうとう等/塩山駅
「御食事処 歩成 本店」 ※公式サイト  ほうとう等/山梨市駅

[名産品]

もも
ぶどう

[付近の山]

西沢渓谷
笠取山
甲武信ヶ岳
金峰山
雁坂峠

[お天気情報]

乾徳山/山の天気 (tenki.jp)

[そのほかの補足]

塩山駅北口に武田信玄の銅像があります。
●甲州市観光案内所
塩山駅そば。
●山梨市観光案内所
山梨市駅そば。
●恵林寺
武田信玄の墓所。夢窓疎石が開山し、「心頭滅却すれば火もまた涼し」の言葉で知られる快川紹喜が住職を務めた。塩山駅から北へすこし離れた場所にある。山号は乾徳山。


<私なりの楽しみ方>

乾徳山といえば、山頂直下の約20mのほぼ垂直にも感じられる岩場・鎖場が圧倒的な存在です。乾徳山を紹介する記事等ではだいたいトップ画像に用いられます。

岩場・鎖場に慣れていないときに初めて見たときは「こんなとこ登れるのかなー」という印象を受けました。実際、初めて登ったときはなかなか苦労しました。これまで数多くの登山者が登っているので、岩壁はかなり摩耗しておりつるつると滑ります。鎖を握りしめ、小さな足場をさがしつつ靴底をかけて摩擦力を活かしながら攀じ登るように上がっていきます(クライミングに慣れた方は造作もないと思いますが)。けっこうムズカシイ…。

岩稜登山の初心者などの方は岩登りの経験者に同行してもらい、いろいろとアドバイスを受けた方がいいかと思われます。岩登りの勝手が分からないとズリ落ちてなかなか上がっていけないかもしれません。そのため、岩場・鎖場の登山の初心者向けコースとしてツアーも組まれてよく利用されており、また槍ヶ岳登山などの予行練習のために登りに訪れる方も多くいらっしゃいます。

乾徳山の難点は、帰路のバスが早く終わってしまうのでけっこう忙しない山行になりがちなところでしょうか。コースとしては下山道を利用した周遊ルートや道満山を経由して下山するルートなどもあるのですが(いずれも「乾徳山登山口」バス停に戻ってくる)、岩場での渋滞や山頂での休憩時間などを考慮して判断が必要になるかと思われます。手っ取り早いのは今回ご紹介したピストンコースになるかと思います。

20mの鎖場を登り切れば乾徳山・山頂です。そこには360度の大展望が開けています。奥秩父の山並みが北から西へ長く伸び、南西側には南アルプスそして富士山がそびえています。岩場で一苦労した先に目にすることができるパノラマ風景に「おー!」と感嘆の声も上がります。とくに金峰山の五丈石がぴょこんと突き出ているのがよく分かり面白いです。

乾徳山は岩場・鎖場がなにかと注目されがちですが、個人的には林相も美しいなーと思います。登山口からの登りはじめは暗めの杉などの針葉樹林ですが、標高を上げていくと落葉広葉樹も増え、またカラマツもよく目にするようになります。初夏から夏は青葉が鮮やかで秋ともなれば紅葉も楽しめます。

とはいえ、乾徳山といえばやはり岩場・鎖場が最大の魅力。けして難易度は高くなく危険性もそれほど大きくありません(もちろん滑落したら大怪我しますので慎重に登降する必要がありますが)。東京近郊在住者であれば日帰り可能ですので、岩場・鎖場初心者の方の練習や、これからの北アルプスなどへの岩稜登山のための入門コースとして最適といえるかと思われます。

そんなわけで、乾徳山はひとことでいえば”岩場・鎖場のレジャーランド”といえるかもしれません。


<備考>

イワインチン (Wikipedia)
恵林寺 ※公式サイト
山梨の登山・山岳情報ポータル (山梨県)
山岳情報 (山梨県警察)
山梨 山のグレーディング (山梨県)

<参考リンク>

山梨市観光協会 ※公式サイト
秩父多摩甲斐国立公園 (環境省)
山梨交通バス ※公式サイト
山梨市民バス (山梨市)
山と高原地図「28.金峰山・瑞牆山 奥秩父」 (昭文社)
日下部警察署 ※公式サイト


<関連記事>

乾徳山周辺の登山に関する上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイトの記事もあります。


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「登山の魅力」にまとめております。

[奥多摩]
0004/三頭山  0009/御前山  0010/雲取山  0020/浅間嶺と浅間尾根
0028/御岳山
[丹沢・箱根]
0005/大山  0030/塔ノ岳  0035/金時山
[秩父・奥武蔵]
0023/金峰山  0026/棒ノ折山  0032大菩薩嶺
[八ヶ岳]
0001/編笠山  0007/飯盛山  0014/天狗岳  0017/北八ヶ岳周遊(冬)
[北アルプス]
0012/燕岳~常念岳  0024/涸沢カール  0033/立山
[南アルプス]
0011/北岳
[関東そのほか]
0006/赤城山  0008/大楠山  0018/一ノ倉沢(冬)  0021/男体山(日光)  0025/那須岳  0031/鳴虫山  0034/戦場ヶ原  0036/奥高尾縦走路
[東海]
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[山梨県そのほか]
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[長野県そのほか]
0029/黒斑山
[その他の地域]
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(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2024/05/02 上町嵩広)

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