見出し画像

低山ながら起伏のある稜線は歩き応えあり! 「伊豆ヶ岳」(奥武蔵) △登山の魅力△(0043)

埼玉県秩父山地の手前となる奥武蔵の代表的な山稜のひとつ。”関東ふれあいの道”として認定されており登山者にも人気なトレッキングコース。
(本記事/ 文字数:約4800字、読了:約10分)

《引用》 埼玉県飯能市の伊豆ヶ岳を南東から望む。右の峰が山頂。天龍寺の至近から撮影。
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Izu-take.JPG
Attribution: Ans, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

<伊豆ヶ岳の魅力>

(1)奥武蔵の代表的縦走コース
奥武蔵は秩父山地の手前に広がる埼玉県の山稜地帯の総称です。伊豆ヶ岳を正丸峠から上がって子ノ権現までの稜線歩きは奥武蔵を北から南へ向けて走る代表的な縦走路です。
(2)低山のわりになかなか登り応えと歩き応えがある
正丸峠へは一気に登り上げる急坂があります。また稜線に出てもその先は小ピークがいくつも連続するため、何度も登降を繰り返すことになり、低山のわりにいささか体力を要求される道のりです。


<概要>

伊豆ヶ岳 (いずがだけ)
所在地: 埼玉県飯能市
奥武蔵を代表する山稜のひとつ。標高は約851m。
正丸峠から伊豆ヶ岳を経由して子ノ権現・天龍寺に至るルートは「関東ふれあいの道」として設定されている。また飯能アルプスの一部でもある。
子ノ権現は”足の仏様”として崇められている。


<登山コース>

※標準的タイムによる目安(休憩含まず)
正丸峠から伊豆ヶ岳の登頂を経て子ノ権現・天龍寺に向かう縦走ルート。
西武秩父線「正丸」駅→ 正丸峠分岐・馬頭尊(30分)→ 正丸峠(50分)→ 小高山(30分)→ 伊豆ヶ岳(35分)→ 古御岳(20分)→ 高畑山(30分)→ 天目指峠(40分)→ 子ノ権現・天龍寺(50分)→ 東郷公園(60分)→ 西武秩父線「吾野」駅(20分)
コースタイム/ 6時間程度
標高差/ 600m程度
(正丸駅:290m、正丸峠:630m、伊豆ヶ岳:851m、子ノ権現:640m、吾野駅:250m)

今回の伊豆ヶ岳縦走のルートマッピング(赤線部分)
※電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成

[登山道の特徴]

登山道は全体を通して針葉樹を中心とした森でやや暗いです。
沢沿いの道を過ぎて正丸峠への登りは階段状の急傾斜です。
正丸峠からすこし上がると伊豆ヶ岳への稜線に出てそのあとは小さなピークが連続します。
伊豆ヶ岳の手前で男坂と女坂に分岐します。男坂は岩場・鎖場ですが現在は落石の危険性が高いため立入規制がされています。また女坂も本来の道が崩落しているため迂回路が設置されています。
伊豆ヶ岳から先へ子ノ権現に向かうまでも稜線歩きでピークと峠が続きますので登り返しを何度か繰り返します。
子ノ権現からの登山道を下りきって舗装道路に出ますと右手に武蔵野うどんの有名店「浅見茶屋」があります。
「浅見茶屋」から先を進むと国道299号線に突き当たりますが、その手前で川に沿って右手へ曲がると線路沿いの小路を歩いて吾野駅に向かいます。
●水場やトイレなど
水場は登山道上にはありません。
正丸峠の茶店と子ノ権現には自動販売機があります。
トイレは正丸駅、子ノ権現・天龍寺、吾野駅にあります。

[難易度・危険個所など]

とくに大きな難所や危険個所などはほとんどありません。
伊豆ヶ岳の山頂直下にある、男坂は岩場・鎖場ですが現在は落石の危険性が高いため立入規制がされています。また男坂の巻き道である女坂も本来の道が崩落しているため迂回路が設置されています。
起伏に富んだ稜線歩きで何度も登降を繰り返し意外に道も長いので時間的余裕をもって登山を計画を立てた方がよいかと思われます。
”関東ふれあいの道”であり道標などが要所に設置されていますが、森のなかの作業道などと交錯したり並行しているところもあるので迷いこまないように注意が必要です。
●エスケープルート
今回の行程上ですと、伊豆ヶ岳手前の大蔵山もしくは五輪山から「正丸」駅にルートが通じていますが、正丸駅に戻るならば伊豆ヶ岳まで来た道を戻ってもあまり変わりはないと思われます。
天目指峠は県道395号線と交差していますので舗装道路の395号線を東側へ歩いて「西吾野」駅に出ることができますが徒歩で90分程度を要します。同じく395号線を西側へ歩くと飯能駅と名郷を結ぶ路線バスが運行している県道53号線に出ることができます(徒歩60分程度)が、バスの運行本数は少ないです(最寄のバス停は「森河原」バス停)。

[アクセス]

●往路
西武秩父線「正丸」駅から徒歩
●帰路
西武秩父線「吾野」駅まで徒歩
≪補足≫
西武池袋線秩父線の特急(有料)が季節運行で一部の便が吾野駅もしくは西吾野駅に臨時停車することがあります。

[国土地理院地図]

伊豆ヶ岳

[コースマップ]

●西武鉄道からコースマップが提供されています。
西武鉄道で行くハイキングコース24選「奥武蔵 正丸峠」 (西武鉄道)
●埼玉県から「関東ふれあいの道」のコースマップが提供されています。
関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)「3.伊豆ヶ岳を越えるみち」 (埼玉県)

<こんな方にオススメ>

(1)都心から比較的近いところでトレッキングをしたい
(2)低山だけどそこそこ登り応えのある山に登りたい
(3)歴史や由緒ある神社仏閣が好き


<関連情報>

[売店等]

正丸峠にお茶屋さんがあり軽食の提供もしています。
子ノ権現・天龍寺には売店と自動販売機があります。
吾野駅には売店と自動販売機があります。
正丸駅にあった売店は閉鎖しました。また自動販売機もありません。

[日帰り温泉など]

休暇村 奥武蔵 ※公式サイト
奥むさし旅館 (飯能駅) ※公式サイト
宮沢湖温泉喜楽里別邸 (飯能駅) ※公式サイト

[お食事処]

浅見茶屋 (食べログ)  武蔵野うどん
正丸駅の近く(国道299号線沿い)に飲食店があります。
飯能駅周辺には数多くの飲食店があります。

[名産品]

四里餅/大里屋本店 (奥むさし飯能観光協会)  大福のような餅菓子
わらび餅/御菓子処 亀屋 ※公式サイト
みそ付けまんじゅう/新島田屋 (奥むさし飯能観光協会)

[付近の山]

関東ふれあいの道
武甲山
飯能アルプス(天覧山や多峰主山など)
顔振峠
棒ノ折山
蕨山

[お天気情報]

伊豆ヶ岳/山の天気 (tenki.jp)

[そのほか]

●ぷらっと飯能
「飯能」駅そばにある観光案内所。各種パンフレット等備置。
ぷらっと飯能 (奥むさし飯能観光協会)
●子ノ権現・天龍寺
古くから足腰守護の信仰を集めている仏様。境内にある鉄製の大草鞋がシンボル(重量2t、日本一とも)。
子ノ権現・天龍寺 ※公式サイト
●関東ふれあいの道
環境省の長距離自然歩道構想に基づき関東地方各自治体が整備しているトレッキングコース(首都圏自然歩道ともいう)。関東地方をぐるりと周回するように160コースが区分して設定されており総延長は約1800km。首都圏以外の地域にも同構想による自然歩道の設定がある。
長距離自然歩道を歩こう! (環境省)


<私なりの楽しみ方>

伊豆ヶ岳は、低山ながら歩き応えのあるなかなかハードなコースだなーという印象です。

まず正丸峠手前の急坂で洗礼を受けます。階段状の道はけっこうな斜度です。歯を食いしばり脚を上げます。すこし登るとお茶屋さんの建物が見えてきますのでそこを目指して息を切らしてようやく登り切ります。そのあと伊豆ヶ岳を乗り越えても連続する小ピークを通るため何度も下っては登り返すことになり、正直、ちょっとウンザリ…。精神的にへこたれます。

稜線歩きですが、基本的には樹林帯の中で眺望はほとんどありません。しかも針葉樹中心のやや暗めの変わりばえしない景色なのですこし飽きる。途中にあまり楽しみがない。

しかしながら、考え方を変えればこれはよいトレーニングになるかもしれません。夏に八ヶ岳や北アルプスなどの遠征登山を計画するのであれば、春に登山を再開するにあたり絶好のトレッキングコースといえるではないでしょうか。また晩秋・初冬になり高山地帯への登山が難しくなった時期にはそこそこ歩き応えのある低山登山コースとして楽しむことができると思います。

そんなわけで、伊豆ヶ岳は東京近郊のため手軽にアクセスできて、ちょっと手応えのあるコースの選択肢のひとつとしてはとてもいいルートなのではないかなーという感想です。


<備考>

ハイキング(通行情報・登山届など) (飯能市)
登山に関する情報 (埼玉県警察)
登山・登山道に関する情報 (埼玉県)

<参考リンク>

「はんのう。いい塩梅」 (奥むさし飯能観光協会)
関東ふれあいの道 (埼玉県)
山と高原地図「23.奥武蔵・秩父 武甲山」 (昭文社)
飯能警察署 ※公式サイト


<関連記事>

伊豆ヶ岳周辺の登山に関する上町嵩広の関連記事です。一部、外部サイトの記事もあります。


<バックナンバー>
バックナンバーはnote内マガジン「登山の魅力」にまとめております。

[奥多摩]
0004/三頭山  0009/御前山  0010/雲取山  0020/浅間嶺と浅間尾根
0028/御岳山
[丹沢・箱根]
0005/大山  0030/塔ノ岳  0035/金時山
[秩父・奥武蔵]
0023/金峰山  0026/棒ノ折山  0032大菩薩嶺
[八ヶ岳]
0001/編笠山  0007/飯盛山  0014/天狗岳  0017/北八ヶ岳周遊(冬)
[北アルプス]
0012/燕岳~常念岳  0024/涸沢カール  0033/立山
[南アルプス]
0011/北岳
[関東そのほか]
0006/赤城山  0008/大楠山  0018/一ノ倉沢(冬)  0021/男体山(日光)  0025/那須岳  0031/鳴虫山  0034/戦場ヶ原  0036/奥高尾縦走路
[東海]
0016/城ヶ崎海岸  0019/幕山  0027/沼津アルプス
[山梨県そのほか]
0022/三つ峠
[長野県そのほか]
0029/黒斑山
[その他の地域]
0002/雨飾山  0003/宮之浦岳  0012/大杉谷~大台ヶ原  0015/苗場山


<ご留意点>
(1) URLはリンク先の運営方針等によりリンク切れなどになっている場合があります。ご容赦ください。
(2) 詳細な情報等はリンク先へご確認、お問い合わせ等をお願いいたします。
(3) 各項目は本運営者の自己の裁量で掲載させていただいております。なお、リンク先およびその記載情報等について、正確性、信頼性、安全性、有用性や合法性等を保証するものではございません。また、本ページへの掲載は、運営者のリンク先の掲載情報への賛意等を意味するものではございません。ご理解ください。
(4) 本ページの掲載内容は、諸般の事情により運営者の判断で変更されることがございます。ご了承ください。
(5) サービス改善や向上などのご意見等がございましたら、お聞かせいただければ助かります。よろしくお願いいたします。
(6) 不定期更新です。 毎月一度を目安に更新を予定しております。
(7) カバー写真と、今回ご紹介した山とは、関係はありません。
(8) 情報は掲載日時点の内容です。
(9) 登山道等の状況については、適宜、現地の観光協会、ビジターセンターや山小屋などの各関係機関にあらかじめご確認くださいますようお願いいたします。
(10) 自治体により登山届や各種装備の義務化などの条件がありますのでご留意ください。詳細は各自治体や警察等にご確認くださいますようお願いいたします。
(11) 今般の新型感染症の影響で各種施設等の利用については制限などが行われている可能性があります。ご利用の際には詳細について事前に各種施設等へご確認などをお願いいたします。

(2024/09/04 上町嵩広)