読書と平凡な日常36 黄泉がえりと冥界くだり
どうも、紅りんごです。ギチギチに詰まった時間割、ようやく始まった授業にへとへとの毎日。眠気眼をこすりながら更新していきます。
36冊目は綾辻行人『Another2001』。Anotherシリーズ三作目である本作は、全二作の集大成となっている作品。(更に次回作の構想もあるみたいです。)本作では、更に呪いの本質について切り込まれており、世界観がより分かりやすくなりました。これからどんな展開していくのか、次回作がとても楽しみです。
人間の根底にある「死」への恐怖を描いた本作ですが、語り継がれている伝説には死を克服しようとする神や人間の姿が描かれています。有名なのは黄泉がえりと冥界くだりでしょうか。どちらも死を克服しようとするものの、あと僅かというところで失敗する結末が待っていますよね。開けてはならない、もしくは振り返ってはならないという禁忌を破ってしまうことで、愛する人と離れ離れになってしまう。(他には不老不死の薬を作ったけれども、人の身に余る行いが逆鱗に触れてゼウスサンダーとかもあります。)死が二人を分かつまで、死にあらがえない人間の悲しみが表現されているように思います。
しかし、中には死が愛を完全なものにすることもあります。その代表格はロミオとジュリエット。生前既に心が通じ合っていた二人ですが、二人とも死を迎えることで二人の愛は永遠のものに。心が別の人に移ることも、気持ちが冷めてしまうこともない。一番美しい状態で保たれたままの愛。死が二人を分かたないこともある、と思わせてくれますね。
まぁ、ロミオとジュリエットが他に気移りすることも無さそうですし、幸せな老後を送って欲しいとも思います。ですが、それはそれ、これはこれ。芸術としては、一番美しい状態で切り取りたくなります。愛は結ばれるか否か、というあたりが一番熟した食べごろの時なのかもしれません。
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