やりたいことを 言ってみる
再発治療中になったことがきっかけで、年賀状を出さなくなった。
かれこれ、もう3年になる。
そんな私にも いまだに年賀状を送ってくださるありがたい人々には、
お正月のぼんやりした時間を利用して、心をこめて返信をする。
年末の慌ただしい時間に、ほぼやっつけのように書くのと違い、
この方が、私の性に合っている。
まあ、たくさんの失礼は重々承知。
だけど、こういう時に、闘病中だからってのを理由にするのは、とっても便利。
病気になんて、なりたくてなったわけじゃないんやから、たまには、こうして利用してしまえ~~~。
で、その貴重な年賀状の中の1通に、
「大学で勉強をされてると聞きましたが、本当ですか?」
という文面のものがあった。
ただ、それだけが書かれている。
つまり、その情報が本当かどうかを知りたいだけなんやな。
普通は、
お元気ですか?
とか、
私は、今、〇〇〇な日々を送っています。
とかくらいは、あるよね。
まあ、私が、何をしてようが、その人には何の関係もないんだけど、
なんとなく、そんな情報を知りたがるその人のことを、久しぶりに思い出した。
そういう心がざわざわすることが、随分と減っていたこの頃だったので、ざらっとしたこの懐かしい感触を、ちんまりと味わう。
お返事としては、私は、大学で勉強してるわけでもなく、退職してから、週に2日、前職に関連した仕事を、パート勤務で行っているだけの生活。
別に、なんでもええやろ~~~と、
毒づきながら、返信を書き(心をこめてな)、
ふと、ちょっと乱れた自分の文字を見る。
あれ?
今、大学なんかいってるわけないやろ
とか思ってる?わたし?
退職した私が、しかも、まあまあ年齢のいってる私が、大学で再び学ぶなんてあるかいなって、そう思ってる?
いやいや、待てよ。
そうとも、言い切れへんやん。
あんがい、そういうこともありかもしれん。
勝手に、退職した後の人生は、残りの人生やと、思い込んでいたんかもしれん。
もしかしたら、ざらっとしたこの嫌な気持ちは、わたしの、そんな後ろ向きな気持ちに、年賀状を送ってくれた人の言葉が、ぐさぐさ来たからかもしれんなあ。
やりたいことを、
ほんまにやってみたらいいやん。
大学だって、学びたかったら行ったらいいやん。
今やったら、シニア向けにも、門戸がたくさん開かれている。
そうやん、そうやん。
と、ここで煮え切らない自分を振り返る。
前職が好きすぎて、でも、体力的に自信がなく退職を選び、
それでも、なお、心のどこかで、
病気にさえならんかったら・・・・
と思い続け、3年半。
くどい。
ひつこい。しつこい。
わかってるねん。
それも、わかってるねん。
退職したからこそ、在職中には思いもしなかった、今の仕事にトライすることもできたわけやし。
それは、かなり楽しい仕事やし。
仕事だけでなく、生活面でも、発見することはたくさんあったし。
それも、わかってるねん。
でも、でも、やっぱり、ここはひとつ、やってみたいことに動き出したっていいんとちゃうやろか。
どうせ、もう年齢やしとか、前職とは全く関係ないことやからキャリアもゼロやしとか、ぐちぐち言うてんと、ちょっと動き出してみいへんか。
私がのぞむような、そんな贅沢な話があるかいなとか言うてんと。
そうやん、そうやん。
私のやりたいこと。
それは、大好きなパンのにおいに囲まれること。
1人で、囲まれるんと違うで。
そんなパンを作る人と共に過ごしながら、お客さんと美味しさを共有すること。
「あ~~。いい匂いやなあ。」
「これ、ほんまに美味しいよね~~。」
「あっ、今日はこれでいきます?うわ~~。感想聞かせてね~。」
などなど、そんなセリフが、ぽんぽん浮かんでくる。
店先にたつ自分の姿が、見えてくる。(かなり若め)
店の窓を磨いたり、店頭の植物に気を配ったり、そして、一生懸命にパンを焼く人を眺める。
そんなことをやってみたい。
おいおいおいおい。
それやったら、自分で、パンを焼いたらいいやんか。
とは、思わない。
ちゃうねんなあ。
自分で焼くのは、パン教室で十分。
大好きなものを作っている人の、お手伝いをしたい。
大好きなものを作っている人を、眺めていたい。
大好きなものを作っている人とそれを求める人とがいる、そんな場に身をおきたい。
とまあ、この年齢になっても、まだ、こんな夢見る夢子ちゃん(古すぎ・・)であることが、やっぱり恥ずかしく、なんだか言い出せず、実行にも移せず、ここまで、悶々もんもん。
しかも、新年早々のおみくじ’(小吉)は、すべての項目が
時まだ早し
焦らずに待て
やったし。
待つのは嫌いやのに。
おみくじにまで、いろいろと、足ひっぱられるけど。
でも、パン屋さんで働きたいという願いは、もう何十年も持ち続けてる。
これは、ほんまもんとちがうか?
このまま、お客さんで終わっていいんか?
顔の皺は、日いちにちと増えていく。
接客するなら、ちょっとでも、皺の少ないうちに。
薬の影響で、爪がぼろぼろなんも、あきらめてたけど、いやいやいやいや、接客するなら、ちゃんと手入れをしようや。
髪の毛も、整えにいこ。
若作りのために、久しぶりに、前髪をつくろうかなあ。
(若作りって表現している時点で、苦しいか?)
そうやそうや。
パン屋さんで働きたい。
できれば、大好きな琵琶湖が見える場所で。
美味しいパンを焼くことを、楽しんでいる店主の元で。
店主は、へんこもんでも大丈夫。
へんこもんには、慣れてる
何を言われても、ちゃんと毒づいて自分で消化できるから。(心の中でやで)
ただ、毎日、焼き立てのパンの香りをかいでいたい。
焼き立てのパンが、オーブンから出てくるところを見たい。
できれば、サンドイッチづくりのお手伝いをしたい。
できれば、小麦などの原料の種類を知りたい。
発注先も知りたい。
天然酵母についても、知りたい。
お店のレイアウトについても、一緒に考えたい。
新作の味見をして、感想を言いたい。
お客さんと仲良くなって、どんどん売り上げを伸ばしたい。
アレルギー対応のパンを、どんどん取り入れてもらえるように、提案したい。
ちょっとしたイートインスペースでの珈琲を担当したい。
お店のご近所さんとも、仲良くなりたい。
なんなら、SNSを担当したり、地域のマルシェなんかに参加する計画をしたり、通販を検討したり、なんなら、キッチンカーも考える???
うわっ。
これって、ほぼ、のっとりやん。
パンも焼けへんのに。
またもや、妄想癖がとまらない。
でも、パン屋さんで働きたい思いは、ほんまもん。
さっそく、本気で探してみる。
希望は、週に一日、日曜日の出勤。
具体的やわあ。
そして、何より、被災地で避難生活を強いられているみなさんに、焼き立てほかほかのパンを届けたい。
離乳食が必要な赤ちゃんには、パンがゆを。
アレルギー対応として、ちゃんとたまごなしも用意するよ。
米粉パンも、用意するよ。
豆乳パンも、用意するよ。
栄養バランスを考えて、お野菜も練りこむよ。
はやく、少しでもはやく、あたたかい食べものが、みなさんの元に届く日がやってきますように。
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