空から少女が落ちてくるシーン　～アニメ「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」の場合

ショコラ「あなたを助けに来ました！ペコリ！」

アニメ「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」（第1話）

◆概要

【空から少女が落ちてくるシーン】は、多くの作品に描かれるストックシーンである。原則として①物語の序盤に配置され、②主人公とヒロインはここで初めて出会う。

最も有名なのは、映画「天空の城ラピュタ」のシータが落ちてくるシーンだろう。だがこれ以外にも様々なバリエーションが存在する。また、シータの落下に対するオマージュやパロディもある。

本記事では、アニメ「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」（第1話）の当該シーンを取り上げる。

◆事例研究

◇事例：アニメ「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」（第1話）

▶1

甘草奏（主人公、高校2年生）は「絶対選択肢」なる呪いに苦しんでいた。「絶対選択肢」とは……

・Point1：何の前触れもなく、脳内に選択肢が浮かぶ。

・Point2：往々にして2択だが、3択以上の場合もある。

・Point3：いずれかを選択しないと猛烈な頭痛に襲われる。

・Point4：選んだ選択肢の内容は必ず現実となる。

・Point5：選択肢は大体が変態的なものである。加えて「絶対選択肢」について口外することはできない。したがって周囲の人からすれば「甘草奏 = 日常的に奇行に走る変人」であり、彼はいつも奇異の目で見られていた。

「絶対選択肢」の具体例としては、

・【例1】エロ本を公園で偶然発見した時に出現した選択肢：①顔におしつけて匂いをかぐ、②食べる

・【例2】教室でクラスメイトと話している時に出現した選択肢：①「ねぇ、君のおっぱい触らせてよ、おっぱい」と言う、②「ねぇ、俺のおっぱい触ってよ、おっぱい」と言う

……とまぁこんな具合である。

▶2

さて、そんなある日のことだった。奏の脳内に以下の選択肢が出現した。

・①美少女が空から落ちてくる

・②権堂大子さんが空から落ちてくる

※補足：「権堂大子さん」は近所のおばさん。奏に好意を抱いているらしくやたら距離感が近い。いつも奏を辟易させている。

奏は困惑する。これほど訳のわからぬ選択肢は初めてだ。一体どうすれば……しかし、権堂大子さんは嫌だ！

かくして彼は決めた「こうなったら消去法だ！①！！」。

直後、ゴスロリ風のファッションに身を包んだ美少女が、雲の合間から猛スピードで落ちてきた。そして少女はブリッジの体勢で、奏に覆いかぶさるようにして着地した（奏にはパンツが丸見えだったはずだ）。

間もなく少女は上体を起こし、奏を見つめた「むにゅ？あなたは甘草奏さんですね？」。そして微笑んだ「あなたを助けに来ました！ペコリ！」。

▶3

第2話以降、少女の正体が明かされる。

すなわち、彼女は神の遣いだった。「絶対選択肢」を解除するためにやってきたのだと言う。……が、ただいま記憶喪失中。何も覚えていないそうだ。よって、しばらくの間は奏におんぶにだっこの生活を送ることになった。

なお、少女は自分の名前すら失念していた。そこで、好物のチョコレートにちなんで「ショコラ」と名乗るようになる。

▶4

以上ご紹介した「ショコラの落下シーン」の特徴をざっくり整理してみよう。

・特徴1：ショコラは神の遣いだ。にも関わらず、空を飛ぶことはできぬらしい。翼も生えていない。文字通り落下してくる。

・特徴2：ショコラはかなりの高度から落ちてくる。そして落下速度が速い。まるで隕石だ。もしも彼女が生身の人間だったら確実に死んでいただろう。

・特徴3：「ブリッジの体勢で、奏に覆いかぶさるようにして着地」というスタイルが愉快である。

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