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ここぞという場面で「これまでのすべてを肯定するセリフ」を口にする

ネテロ会長「感謝するぜ。お前と出会えたこれまでの全てに!!!」

マンガ「HUNTER×HUNTER」(第291話)


◆概要

【ここぞという場面で「これまでのすべてを肯定するセリフ」を口にする】は、創作の技術の1つである。

ジャンルは不問だ。例えば、命がけの戦いが始まる直前に。意中の人に愛を告白したものの上手くいかなかった時に。あるいは、長年推してきたアイドルが自分を認知し、大舞台で固定レスを送ってくれた時に。そんな時にこのセリフをかまそう!

きっと読者・鑑賞者の心に残る名シーンになるはずだ。


◆事例研究

◇事例:マンガ「HUNTER×HUNTER」(第291話)

人類最強の男ネテロ会長は、全生物の頂点に立つ怪物メルエムと対峙した時にこう独白している「感謝するぜ。お前と出会えたこれまでの全てに!!!」

嗚呼、なんと格好いいのか!作中屈指の名シーンである。


◇事例:マンガ「ハチミツとクローバー」(第64話)

物語終盤、竹本ははぐみに愛を告白した。だがフラレてしまう。

ところがエンディングで、竹本はこう独白する「はぐちゃん、オレは君を好きになってよかった……」。彼の青春は決して成功ばかりではなかった。というか失敗の方が多かった。しかし、そのダサさも情けなさもすべて丸ごと肯定した上で彼は次のステップへ進むのである!

格好いい!!


◇事例:アニメ「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(第2、5話)

▶1

第2話にこんなエピソードがある。


-Step1

注目度抜群、オシャレ度抜群のファッションイベント「岡山ガールズフェスタ」が開催された。地下アイドルグループ「Chamjam」のメンバーも、スペシャルゲストとして参加する。


-Step2

まずは、Chamjamのリーダー・れおが登場!が、観客はしんと静まり返ってしまった「……えっ、誰?」。

そう、Chamjamは地下アイドル。その知名度は限りなく低い。ましてや会場に集まったオシャレ女性たちがChamjamを知っているはずもなく……。


-Step3

れおがランウェイを歩く。彼女は笑顔を作る。しかしその表情は硬い。無理もあるまい。かつてない大舞台だ。彼女は緊張しているのだ。その上、このアウェイ感である。


-Step4

とその時、れおは気がついた。観客の中に見知った顔がある。典型的なオタクルックスの中年男性、あれは……くまさ氏だ!

くまさ氏は、れおの大ファン(トップオタ)である。彼は大変気まずい思いをしながらも、れおの雄姿をひと目見ようと、オシャレ女性ばかりが集まるこのファッションイベントに駆けつけてきたのだ。

れおは一瞬驚いた顔になった。そして次の瞬間、彼女は満面の笑みで固定レスを送った!!(補足:「固定レス」とは特定のファンに向けたポーズや合図のこと。ここでは、れおはくまさ氏に向けてクマのポーズを披露した)。それは、いつも自分を支えてくれるくまさ氏への感謝のレスポンスに違いない。


-Step5

くまさ氏は、れおの固定レスに息を飲んだ。そして号泣した「僕……れおのこと、好きでよかったです……!!」。

くまさ氏が涙を流すのも無理ないだろう。だって彼の愛がれおに届いたのだから!彼のこれまでのアイドルオタク活動(オタ活)がいま報われたのだから!


▶2

本作には、他にも似たようなシーンが何度か登場する。

例えば第5話、人気投票でゆめ莉が3位になった時のこと。ゆめ莉を推してきたオタクは感極まって叫んだ「俺はゆめ莉ちゃんのことを応援していてホントによかった!」


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