見出し画像

マンガ「バクマン。」の構成

サイコー「亜豆さん、僕たちのマンガがアニメになってそのヒロインを亜豆さんがやる!その夢が叶ったから結婚してください!」

マンガ「バクマン。」


◆概要

マンガ「バクマン。」には、【物語の序盤と終盤に「類似性」のあるシーンを配置する】というテクニックが使われている。


◆詳細

本作の主人公はサイコー。14歳の少年である。彼は退屈な毎日を過ごしていた。夢も希望もない。人生なんてくだらない……。

だがある日、同級生のシュージンに誘われてプロのマンガ家を目指すことになる。かくして悪戦苦闘の日々が始まった!


◇序盤

第1話にこんなシーンがある。

・Step1:サイコーは、クラスメイトの亜豆に密かに想いを寄せていた。

・Step2:ある日、サイコーはシュージンと共に亜豆の家を訪問。そして亜豆の家の前で、「2人でマンガ家を目指します」と宣言した。亜豆は目を輝かせる。

・Step3:将来声優になりたいと考えている亜豆。そんな彼女にサイコーは言った「僕たちのマンガがアニメ化されたら亜豆にヒロイン役をやってほしい」。亜豆は快諾する。

・Step4:さらに。サイコーは何を血迷ったかこんなことを口走った「だからその夢が叶ったら結婚してください!」。亜豆は顔を真っ赤にして家の中に逃げ込んでしまった。だがインターフォン越しに、「わかった。約束する……」。そう、じつは亜豆もサイコーに恋していたのだ♥

・Step5:かくしてサイコーは決意した「なってやる、マンガ家に!そして僕は亜豆と結婚する!!」


◇終盤

その後、サイコーとシュージンは努力した。努力に努力を重ねた。ライバルたちと切磋琢磨した。やがてプロのマンガ家になった。人気を得た。そして時は経ち、2人の作品がアニメ化されることになった!

一方の亜豆。彼女も精進した。プロの声優になった。そして厳正なるオーディションの結果、サイコーとシュージンの作品のヒロイン役をゲット!

あの日から10年、彼らはついに夢を叶えたのだ。


というわけで、第176話(最終話)

サイコーは亜豆に会いに行った。そして亜豆の家の前で「亜豆さん、僕たちのマンガがアニメになってそのヒロインを亜豆さんがやる!その夢が叶ったから結婚してください!」

……こうして物語は幕を閉じた。


◇注目ポイント

以上をまとめると、

・序盤:亜豆の家の前で、サイコーは言った「僕たちのマンガがアニメ化されたら亜豆にヒロイン役をやってほしい」「その夢が叶ったら結婚してください!」

・終盤:亜豆の家の前で、サイコーは言った「亜豆さん、僕たちのマンガがアニメになってそのヒロインを亜豆さんがやる!その夢が叶ったから結婚してください!」


そう、場所もセリフも完璧に対応しているのだ!おそろしいまでの大団円感である。これ以外あり得ぬという結末だ。多くの読者は心の底から「いいマンガを読んだなぁ」という満足感を覚えたに違いない。


◆他のアイデアも見る👀

この記事が参加している募集

最後までご覧いただきありがとうございます! 頂戴したサポートはすべてコンテンツ制作に使います!