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その時々の状況にぴったりのあだ名を付けて、相手をからかう

皐月「あら、またお会いしましたね。ペコジマくん」

アニメ「恋と選挙とチョコレート」(第2話)


◆概要

【その時々の状況にぴったりのあだ名を付けて、相手をからかう】は、東雲皐月(アニメ「恋と選挙とチョコレート」の登場人物)の持ちネタである。


◇持ちネタ

「持ちネタ」とはそのキャラ特有のギャグやセリフ、ポーズのことだ。

「そのキャラが登場するたびに1回ずつ」「1エピソードに1回ずつ」など、比較的長期間に渡って繰り返し使用される。そして原則として、「単発で使用されるよりも、繰り返し使用されることで面白くなる」という性質を持っている。

なお毎回まったく同じ形で使用されるとは限らず、様々なバリエーションが存在することも多い。また、時と共にマイナーチェンジしていくことも少なくない。


◆事例研究

◇事例:東雲皐月(アニメ「恋と選挙とチョコレート」の登場人物)

本作の主人公は、大島裕樹(オオジマ・ユウキ)。「オオシマ」ではない。「オオジマ」である。彼は呑気な高校生活を送っていたが、ひょんなことから生徒会選挙に出馬することになる。

一方、東雲皐月。彼女は容姿端麗にして頭脳明晰、現在は生徒会の財務部長を務めている。そして次期生徒会長の筆頭候補。つまり、裕樹とはライバル関係になる。

なお、2人は同級生だが特に接点はなく、言葉を交わしたこともなかった


▶Step0:オオジマ

そんなある日のことである。

道を歩いていた裕樹は、ちょっとした不注意から皐月にぶつかってしまった。彼は「すみません」「ケガはないですか?」「本当にすみません」「どうもすみません」と繰り返し謝罪した。そう、彼は心優しい青年なのだ。

そんな裕樹に皐月は好意を持ったらしい。彼女は微笑んだ「ふふっ。また謝った」。


その後、裕樹は「大島裕樹です。オオシマではなくて、オ・オ・ジ・マ」と自己紹介した。【第2話】


▶Step1:ペコジマ

しばらく後、2人は学校でばったり再会した。

皐月が微笑む「あら、またお会いしましたね。ペコジマくん」。裕樹は苦笑する「ペコジマって!僕はオオジマです」。

皐月はいたずらっぽい口調になって、「あなたが重要視しているのは『ジマ』の2文字のようなので、他はテキトーでもいいのかと」「ずーっとペコペコしていたので似合うかと思ったのだけれど、ダメかしら?」。


ところで。

裕樹はこの時、生徒会選挙に立候補するかどうか迷っていた。何しろ勝ち目は限りなく薄いのだ。

彼は悩みを打ち明けた。すると皐月は「どんな苦境にあっても、諦めてしまっては勝利はあり得ないわ」「勝ち目がないとわかっていながらも戦う姿勢は尊いものよ」。

皐月の前向きな言葉に、裕樹は大いに励まされた「忙しいのに話を聞いてもらってすみませ……じゃない!ありがとうございました!」。皐月が微笑む「ふふっ。『ペコジマくん』と呼ぶ用意をしていたのだけれど、言いそびれたわ」。【第2話】


▶Step2:パコジマ

ついに生徒会選挙に立候補した裕樹。彼は仲間のバックアップを受けて、忙しく準備を進める。

そんな中、またまた皐月とばったり遭遇した。

皐月は微笑んだ「これからはライバルね、パコジマくん」。裕樹は呆れる「パコジマって何ですか……」。

皐月はとぼけた顔になって、「確かパ行だったと記憶していたのですが……少々違ったようですね」。裕樹がツッコむ「パ行じゃないですし、少々でもありません!」。

2人は一緒になって笑う。そして互いの健闘を祈って握手を交わした。【第3話】


▶Step3:ペコジマ(2度目)

しばらく後、裕樹は皐月と葉月先生(教師、皐月の姉)が口論しているのを偶然目撃してしまった。彼は頭を下げる「すみません、立ち聞きするつもりはなかったのですが……」「すみません、本当に」。

皐月は微笑んだ「そんなに謝ると、また『ペコジマくん』って呼びますよ」。裕樹も微笑む。【第7話】


▶Step4:ホシジマ

その後、ひょんなことから裕樹が痴漢に間違われた時のことだ。皐月が部屋に匿ってくれた。

裕樹は礼を言う「おかげで助かりました」。

しかし皐月は「まだ助かったわけではありませんよ、ホシジマくん」。裕樹が叫ぶ「ホシジマって……犯人扱いですか!?」。【第7話】


▶Step5:負けジマ

さらに、将棋で勝負をした時のことだ。皐月の方が圧倒的に強い。彼女は笑った「ふふっ。隙が多いわね、負けジマくん」。【第8話】


▶Step6:キスジマ

続いて、「かつて裕樹は葉月先生とキスをしたことがある」と明らかになった時のこと。

皐月が急に冷たくなった(嫉妬である)。そして彼女は裕樹をこう呼んだ。「キスジマくん」と。【第8話】


▶Step7:コソジマ

数日後、裕樹は皐月と葉月先生の口論を再び目撃してしまった。

皐月が言う「おはよう、コソジマくん」。

裕樹は慌てる「コソジマって何ですか!?」。皐月曰く「コソコソ立ち聞きしてたからコソジマくんだけど、ダメかしら?」。【第9話】


▶Step8:バカジマ

さらにしばらく後、裕樹が交通事故に遭った時のことだ。皐月は取り乱した。だがすぐに、特にケガもなく無事だと知る。かくして全身の力が抜けた「よかったぁ……」。

間もなく、皐月は気恥ずかしくなったのだろう、急にツンツンし始めた「つまらない不注意で心配をかけるなんて、バカジマくんにも程があります!」。【第10話】


▶まとめ

以上、皐月の持ちネタ「その時々の状況にぴったりのあだ名を付けて、相手をからかう」をご紹介してきた。

さて。

ご注目いただきたいのは、この持ちネタが単に笑えるだけではなく、それに加えて「皐月や裕樹の人となりを鑑賞者に伝える」という役割も果たしている点だ。


具体的には、

・1:皐月はその時々の状況にぴったりのあだ名を付けて裕樹をからかう → 皐月は頭の回転が速い、皐月にはユーモアセンスがある

・2:皐月がこんな風にからかう相手は裕樹だけである → 皐月は裕樹に対して特別な好意(恋愛感情 or それに近い感情)を抱いている

・3:裕樹も何だかんだと楽しそうに応対する → 裕樹もまた皐月を憎からず想っている

……という具合。

まったくじつによくできている!!


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