オデッサの階段シーン ~映画「戦艦ポチョムキン」の場合
◆概要
「オデッサの階段」、それは映画「戦艦ポチョムキン」のワンシーンに付けられた名前だ。6分ほどの短いシーンだが、映画の歴史において極めて重要なものとしてよく知られている。
そして、この「オデッサの階段」に対するオマージュやパロディが【オデッサの階段シーン】である。多くの作品で描かれてきた。
本記事では、大元たる映画「戦艦ポチョムキン」の当該シーンを取り上げる。
◆事例研究
◇事例:映画「戦艦ポチョムキン」
▶1
舞台は、20世紀初頭のロシア帝国。様々な問題が噴出し、人びとは政府に対して不満を抱えていた。そしてついに爆発。革命が始まった。
一方、戦艦ポチョムキンでは水兵たちが怒りに震えていた。上官や政府の対応があまりにもひどいのだ。というわけで彼らも立ち上がった。叛乱である。将校をぶちのめし、戦艦を手に入れた。
▶2
やがて、ポチョムキンはオデッサという街の港に入った。
人びとは水兵を熱烈に歓迎した。特に、港の傍の「オデッサの階段」(屋外の巨大な階段。街に入る時に通る玄関口のような場所)には多くの民衆が集まり、ポチョムキンを眺めたり、水兵たちに歓声を送ったりした。
ところが。しばらくしてそこにロシア帝国の軍隊がやってきて……集まった民衆を無差別に殺し始めた!
銃で撃つ。
剣で斬る。
民衆は逃げ惑う。助けを乞う。だが容赦ない。老若男女を問わず、人びとは無残に殺されていく……。
そう、無抵抗の人びとに対する虐殺行為である!
この虐殺場面こそが「オデッサの階段」と呼ばれるシーンだ。
◇注目ポイント
このシーンの特徴を大雑把にまとめると、
・Point1:舞台は大きな階段。
・Point2:階段には、たくさんの人(民衆、兵士)が集まっている。
・Point3:銃撃が行われる(兵士が無抵抗の民衆に発砲する)。
・Point4:顔面に銃弾を受けた女性の顔がどアップで映る(「メガネが割れ、目から出血している」というインパクト大の映像だ)。
・Point5:混乱の中、乳母車が階段を落ちていく。そしてやがて横転。中の赤ん坊がどうなったか直接は描かれてはいないが、推して知るべしだ。
・Point6:緊迫感や残酷さを表現するために様々な撮影技術が使われている。例えばスローモーション、モンタージュ(断片的な映像をつないで1つのシーンを作る手法)、クローズアップ(Step4のようなどアップ映像)などである。
※補足:本シーンのオマージュ・パロディの多くは、「Point1は必須(舞台は大きな階段) + Point2-6の内のいくつかを採用」となっている(つまり、必ずしも上記の特徴すべてを満たしているわけではない)。詳細は別記事でご説明する。
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