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「親が子どもになるころに」を読み、母の環境について思いを巡らせたこと

老後は死んだ後のことじゃない

親が子どもになるころに: てんてん、介護問題に直面す。

細川貂々さんの著書「親が子どもになるころに」で出てくるこのことば。
親の介護に直面しているわたしは、深くうなずきながら読みました。
本書は、細川貂々さんが3人の親(実父、義父、義母)と介護の課題にどのように向き合い取り組んだか、実体験を描いています。

細川貂々さんのお父さんが、アルツハイマー型認知症、術後せん妄と診断されたところから、ケアマネージャーへの連絡、要介護認定、施設探しについて時系列で話が進みます。

親に「いくら年金もらっているの?」
「貯金の額教えて」

なんてきいたことがなかった
そもそも聞く状況になる?

親が子どもになるころに: てんてん、介護問題に直面す。

「親がどれだけ資産を持ってるか」は、親を介護するにあたって避けられない課題です。
本書の場合、3人の親御さんは施設で暮らすことを選びました。自宅介護については描かれていません。

施設へ入るためには、介護認定によって基準があります。国から補助を受けている公的な施設は費用が安くなっているため、入居待ちのところが圧倒的に多くなります。民間の施設は入居待ちは少ないですが、費用が高くなります。本書にある施設探しの内容は参考になりました。

資産がどれくらいあるのか、年金をどのくらいもらっているのか、親とお金の話をすることは大切です。この内容をいつどのように切り出すのかは、今までの親との距離感によって、むずかしいことも多いですが、親が自分の身の回りのことをできるうちから、話す機会を持つのが理想です。

親が元気で判断力があるうちに、どこで、どんな暮らしがしたいのか、日頃から、関わる人みんなで話をして、一方的にならないようにしていくことができれば、ひとつのよい形なのでしょう。

また親との関係にわだかまりがある場合、どうしたら解消できるか、どう折り合いをつけるか自分の納得できる形にしておくことができれば、介護の課題に直面したときに、貂々さんのように自分の立ち位置が明確になり、心理的に楽になれるのだろうと本書を読みながら認識しました。

わたしの母の場合は、現在要介護1です。今後、介護認定が上がったとしても、母ひとりでは予算的に施設に入ることはむずかしいでしょう。母はできないことが増えていく中、どのような暮らしがしたいのかについて明確な意思がありません。

うちの家族の場合は、事前に話し合う機会もなく、介護生活に突入しました。それでも自宅で、母とわたしがお互いなるべく負担にならない落とし所を探しながら日々過ごしています。

わたしはフルタイムで働いているため、利用できるサービスは使えるだけ使っています。介護サービスも認定基準によって料金が変わります。

母の場合は、訪問看護で入浴補助、薬の管理、24時間受付の緊急対応、理学療法士による訪問リハビリをそれぞれ週2回お願いしています。

現在の体調では通院がむずかしいため、内科診察全般、血液検査などは月2回の訪問診療をお願いしています。

その他に移送サービスを申請して、検査など外出の必要があるときは、タクシーの補助を受けられるように準備をしています。わたしが家を留守にする場合は、ショートステイを利用できるようにしてます。

解説で青山ゆみこさんが、「親が老いて弱っていくことを子どもは簡単に受け入れられない」と書かれていましたが、親もまた、自分が弱り、できないことが増えていくことを受け入れられず、とまどいがあるのだろうと、母を見ていて感じることです。

細川貂々さんは、親が近くの施設に入り、毎週差し入れを持っていったときに、顔を見るだけでお互いに安心できた、「すごくいい距離感だな」と本書の中で描かれています。

わたしも母との距離感が変われば、貂々さんのように感じることができるのだろうか、とつい施設についても考えました。施設に預けられたら、塩分を制限するための食事準備や、夜中の母の部屋から聞こえる物音に反応して、心配で目が覚めることなく休めるのかなあ、と読みながら自分本位で思いを巡らせていることに気がつきました。

今は介護認定も、予算としても施設に預けることはできないけれど、わたしは、わたしのできる範囲で、時に妹に頼りながら、介護サービスで支えてくださる皆さんと、ゆるやかなチーム体制を作り、「わからない」「考えられない」が口癖になっている母の意思を尊重しながら、できるだけよい方法を探して進みます。

母に対する怒りが爆発しそうになるときも、数多くありますが、そういう時こそ、一旦立ち止まるため、いいことも悪いことも日々書き出すことで、自分を見つめ整えています。

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ひゃくたけえり
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