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2000回の好きを君に #2000字のドラマ


「俺の家水飲み放題やから」
そう言って君は私を家に誘ってきた。

今まで付き合った事もない男の人の家に入るのは初めてで、少し緊張していたけどお酒も入っていたしその緊張は少し和らいでいた。



彼とそこまで親しくなるのに時間はかからなかった。

初めて会った時からカッコいいって少し思ってたから。

私の初出勤から2日後、仕事終わりに彼と残っていたことがあった。

「みゆちゃんは彼氏おるん?」
「1年前に分かれました」
「どのくらい付き合ってたん?」
「3年くらいかな」
「ははっ!意外と一途なんや」
「ひどい!一途ですよー!大毅くんは?」
「俺も別れて1年くらい。これでも5年は付き合ってた」
「それこそ意外ですね」

そんな他わいもない会話をきっかけに少しずつ一緒に飲みに行ったりして仲良くなって敬語などがなくなりタメ口で話すようになった


「なぁ翔平!俺ずっとみゆちゃん来た時からめっちゃタイプって言いよったよな〜?」

酔っ払い始めた大毅くんが職場の後輩の翔平に言う。

「言ってましたね!確か!」

「絶対嘘。やめてよ」

「ほんとやし!みゆちゃんいつ俺と付き合ってくれるん?」

「気が向いたら」


そんなやりとりは何回も続いたのを今でも覚えている。
今思えば私の強がりで、好きと言う感情ではなく彼と一緒にいると安心する、落ち着くが当てはまっていたから。


それから翔平と別れて私は大毅くんと2人に。

「俺の部屋水飲み放題やから」
そう行って彼に着いて行った私は酔っ払っていたのかもしれない。


「俺の部屋綺麗な方やろ?」
そう自慢げに部屋に入って行く彼の後ろ姿を着いていき、部屋を見て驚いた。

「ほんとだ。男の人の割に綺麗」
「そうやろ」

「水飲み放題ってウォーターサーバーじゃん!」
「でも飲み放題」

そのまま彼は笑いながらシャワーを浴びに行ってしまい、私は部屋に取り残された。

思い返せば出会ってすぐだった。

「いつ結婚してくれるん?」
「いつ付き合ってくれるん?」
そう彼はずっと言ってきていた。
正直遊びだとか、次の女の繋ぎだとしか思わなかったから、私はずっと流していた。


彼がシャワーから出てくるとベットに横になった

「こっちきて」
「なんでよ」
「いいから」

私は言われた通り彼の隣に寝転がった

すると彼は私を後ろから抱きしめてきた

「抱き枕」

そう言って彼は安心したように眠ってしまった。

私は緊張して眠れなくて、でも手を出して来ない彼に安心していた自分もいた。

明日も仕事なのに…って思いながらも私もゆっくり彼の呼吸に合わせて眠りについた。


その頃だったかもしれない。


だんだんと彼に惹かれて行く自分もいた。
仕事熱心なところ。
酔っ払うと楽しそうに飲んでるところ。
2人きりだと子どもみたいになるところ。
それが好きだった。

いや、好きになっていた。


一緒にいて落ち着いて、安心できる。
そんな存在にいつの間にかなっていた。


出会って1ヶ月、気づけば私は彼の家に泊まりに行く事が増えた。

「服とか必要なものもう持ってきたらいいやん」

「付き合ってないのに?」

「キリ悪いから11月なってから付き合う」


なんて変なこと言ってた彼。
きっと記念日とか忘れないように、覚えやすい日にちにしたかったのかなって思ってた。


そして11月になったとき、一緒に部屋でゴロゴロしてる時に私から言ったんだ。

「大毅くん、11月なったよ」
「付き合おうか、おめでとう」

なんのおめでとうかはわからなかったけど、大人の恋愛の告白なんてそんなもんなんだって感じてた。


ある日仕事終わりに翔平と話してた時があった

「大毅さんから聞きましたよ!おめでとうございます」

「ありがとう」

「幸せになってくださいね」

「どうかな」


少し不安はあった。
本当に私の事を好きなのか。

彼からは絶対に好きとは言わないし、私も恥ずかしくて言えない。

大人の恋愛ってそんなものなの?


でも彼なりの覚悟と今後が見えたとき、私は少し安心したんだ。


「広いところに引っ越そう」 

「私も一緒にいいの?」

「じゃぁみゆちゃんはここで1人やね〜」
って笑いながらふざけて私をいじめるんだ。


それが彼の愛情表現。


私たちの恋愛はまだ始まったばかりで、これからどんな試練や困難が待っているかはわからない。


もしかしたら別れがあるかもしれない。


でも…


それでも私は彼に好きと伝えたい。


そして彼からも好きって言葉を聞きたい。


2000回。

いや、2000回なんて少ない。

もっとたくさんの好きを君にあげたい。伝えたい。


あなたからも好きじゃなくていいから、2000回以上の愛情を私にください。



「行ってきます」


引っ越したばかりの新しい部屋は全部一緒に選んだ家具たち。

「いってらっしゃい!」


これからもずっと一緒に。


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